連載:[完全版]究極のC#プログラミングChapter1 C# 3.0らしいプログラミングとは?川俣 晶2009/07/31 |
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1.3 コードの遅延実行という例
もう1つ簡単な例、リスト1.3を見てみよう。
同じ同人ゲームのコードの一部である(ただし、例としてわかりやすいように実際のコードから改変している部分がある)。
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リスト1.3 コードの遅延実行(C# 3.0) |
このメソッドでは、いくつかのイレギュラーな条件をカウントし、それによって動作を分けるとともに、それぞれの条件によってリアクションとしての「語り」が発生する場合がある。
この処理で問題になるのは、成立した条件の数を知るためにはすべてのイレギュラーな条件の判定を行う必要があるため、条件を判定した瞬間にはまだリアクションができない点にある。
そこで、条件を判定した瞬間に、未来に行うべきリアクションの内容をデリゲート型の変数にラムダ式として代入して保管しておき、後で語るべき時が来たら語らせるという構造を取った。
このような「遅延実行」は、C# 1.xプログラミング……というよりC++からJavaを経由して続くPC上のOOPプログラミングではあまり見られないものかもしれない。しかし、JavaScriptプログラミングでは、SetTimeOut関数を用いた遅延実行はよくあるテクニックである。もちろん、上記のコードはSetTimeOut関数による遅延実行とは機能性においてまったく異なるものだが、「まだ実行できないコードを事前に記述しておく」というアイディアはSetTimeOut関数からの連想である。
おそらく、JavaScript(やそれに類するほかの言語)になじんだプログラマーは、このようなコードをC# 3.0でもあたりまえのように平然と書くだろう。しかし、C# 1.xプログラマーは、このような書き方に慣れていない可能性があり、驚くかもしれない。
INDEX | ||
[完全版]究極のC#プログラミング | ||
Chapter1 C# 3.0らしいプログラミングとは? | 1.はじめに/本書の位置づけ | |
2.1.1 意外性あり? 本書で解説すること/C# 3.0の適用範囲/筆者の来歴 | ||
3.1.2 C# 3.0らしいソースコードとは? | ||
4.1.3 コードの遅延実行という例 | ||
5.1.4 インターフェースとの比較 | ||
6.1.5 後退するクラスの立場 | ||
7.1.6 クラスベースとプロトタイプベース | ||
8.1.7 クラスベースの問題点/【C#olumn】クラスの問題とは何か? | ||
9.1.8 JavaScriptとの相違点 | ||
10.まとめ/【C#olumn】金のハンマーと銀の弾丸―クラス至上主義 | ||
「[完全版]究極のC#プログラミング」 |
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