連載:[完全版]究極のC#プログラミングChapter1 C# 3.0らしいプログラミングとは?川俣 晶2009/07/31 |
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1.4 インターフェースとの比較
ここまで見てきた2つの事例には、ラムダ式を使わずとも、継承、インターフェース、ポリモーフィズムなどを使ってきれいに実現できる……という反論がありうるだろう。
これに答えるために、インターフェースとラムダ式を比較するサンプルを紹介しよう。
内容は簡単で、名前と年齢のペアを含むオブジェクトの配列を年齢順にソートするというだけのものである。ただし、コマンドラインに引数を与えられた場合は逆順にソートするとしよう。
リスト1.4は、ラムダ式のほかに「ジェネリック」(ジェネリックについては第2章で詳しく解説する)を使った例である。リスト1.5は、インターフェースを使い、できるだけ同等になるようVisual Studio .NET 2003(C# 1.x)で作成したものである。
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Pリスト1.4 ラムダ式とジェネリックを使ったソート(C# 3.0) |
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リスト1.5 C# 1.xによるソート |
リスト1.4では、ソート条件の処理をラムダ式1つで処理している。その内容は、実質的に式1つである。内容が式だけである場合、ラムダ式は中カッコ({})とreturnを書かなくてよい。「()=>{return x;}」と「()=>x;」は等価なのである(詳しくは第7章で「式形式のラムダ」として解説)。この式には、コマンドライン引数の有無を調べる部分が含まれるが、もちろんラムダ式は上位のメソッドのスコープに含まれるので、上位メソッドの引数(この場合には変数args)にアクセスできる。
これに対して、リスト1.5は比較にならない複雑さを持っている。クラスPersonComparerを宣言し、IComparerインターフェースを実装するだけでも行数の増加だが、それだけではない。実は、Compareメソッド内で正順か逆順かを判断するために、コンストラクタで順序の指定を受け取って、値をインスタンス内に保存しておかなければならない。そのためのコードにより、PersonComparerクラスはより大きく膨らんでしまっている。
そのうえ、ジェネリックもないので、コンパイル時には安全性を確認できないキャストも入ってしまっている。
以上で最初の問いに答えられるだろう。
まず、インターフェースを使ってもラムダ式と同じことが可能なのは間違いないが、そのために費やされる文字数が大きく異なる。しかも、本質とは無関係の記述が多い。ソートのための比較機能は、たった1つのメソッドさえ渡せば済む話であるのに、わざわざ本質的に必要のないクラスを宣言したうえで、インターフェースを実装するという余計な手間をかけている。
これは単にラムダ式を使うと文字数が少ないという話ではない。本質と関係ない記述を極限まで切り落としたシンプルな記述を可能にした、ということである。それゆえに、このケースでは、インターフェースを使うよりも、ラムダ式を使うほうが可読性や保守性の高いソースコードが得られていると見るべきだろう。
INDEX | ||
[完全版]究極のC#プログラミング | ||
Chapter1 C# 3.0らしいプログラミングとは? | 1.はじめに/本書の位置づけ | |
2.1.1 意外性あり? 本書で解説すること/C# 3.0の適用範囲/筆者の来歴 | ||
3.1.2 C# 3.0らしいソースコードとは? | ||
4.1.3 コードの遅延実行という例 | ||
5.1.4 インターフェースとの比較 | ||
6.1.5 後退するクラスの立場 | ||
7.1.6 クラスベースとプロトタイプベース | ||
8.1.7 クラスベースの問題点/【C#olumn】クラスの問題とは何か? | ||
9.1.8 JavaScriptとの相違点 | ||
10.まとめ/【C#olumn】金のハンマーと銀の弾丸―クラス至上主義 | ||
「[完全版]究極のC#プログラミング」 |
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