Insider's Eye
Microsoft PDC 2001レポート(3)デジタルアドバンテージ 遠藤孝信 2001/11/02 |
遠くの.NET My Servicesより近くのASP/ADO?
テクニカル・セッションでは、Microsoftのプログラマなどが壇上に立ち、特定のテーマごとに、踏み込んだ説明を現場の開発者から聞くことができる。今回筆者は、.NET My Servicesに関連するテクニカル・セッションを中心に参加した。最初はどのセッションも満員になるだろうと考えていたが、実際はそうでもない。確かに、初日の.NET My Servicesの概要に関するセッションは盛況だったが、2日目以降の.NET My Servicesの個々のサービスについてのセッションは、空席が目立つものが少なくなかった。それでは、何に人気があるのかと思い、とある時間にすべてのテクニカル・セッション会場を回ってみた。すると、ASP .NETやADO .NETに関連するセッションはどこも満席で、ものによっては、用意されたイスでは足らず、立ち見や、床に座り込ん聞く人で埋まるほどの会場もあった。日本に比べ米国では、ASPを使用したシステムが多いと聞く(確かに米国では、ASPプログラミング関連のサイトが多い)。あくまで筆者の推測だが、現場の開発者にとっては、まだどうお金になるか分からない.NET My Servicesよりも、目の前にあるASPやADOが、.NETでどう変わり、どう開発をサポートしてくれるかのほうが気になるということかもしれない。それとも、第一線のプログラマにとっては、仕様書とSDKが手に入ってしまえば、わざわざセッションを聞く必要などないということだろうか(ASP .NET関連では、概要的なセッションはあまりなく、応用事例に関するセッションが大半だった)。
今回に限ったことではないが、米国で開催されるこの手のカンファレンスに参加していつも感心するのは、1時間以上に及ぶ長いセッションでも、途中で居眠りする参加者が皆無だとういことだ(眠い人は、さっさと会場を後にする)。参加はするが居眠りするという人が目立つ日本とは大きな違いだ。
セッションが行われているホールの様子 |
人気セッションでは立ち見も。居眠りする人などいない。 |
ネットワーク対戦ゲーム「Terrarium」
最後にビル・ゲイツ氏のキーノート中でもデモが行われていた「Terrarium」を紹介しておこう(Terrariumゲームのホームページ)。これは、.NETで作られたネットワーク対戦ゲームである。自分でプログラミングした昆虫のような生き物(草食動物と肉食動物がおり、草食動物は草を食べるが、肉食動物は他の動物を食べる)をecosystemと呼ばれるフィールドに放ち、他のユーザーの生き物と戦わせ、生き残ることが目的だ(実行にはVisual Studio .NET RC版が必要。残念ながら筆者の環境では現在のダウンロードしたバージョンは正しく動作しなかった。おそらく現在はまだ開発中であると思われる)。
PDC期間中は、このゲームの大会が行われていた(優勝賞品はXboxだったが、残念ながら筆者はプログラムを書いている時間がなかった)。プログラマ心をくすぐるおもしろそうなシステムなので、Visual Studio .NET RC版を入手したら、ぜひとも挑戦していただきたい。
■
やっと.NET FrameworkとWebサービスの概要をつかみかけてきたところへ、.NET My ServicesやGlobal XML Web Serviceといった次の波が容赦なく押し寄せてきたという感じだ。特に.NET My Servicesの波は大きい。そして漠然とではあるが、この大波の向こうに、コンピューティングのさらなる可能性とビジネス・チャンスの存在が感じられたPDC 2001であった。と同時に、Windowsで世界を制覇しながらも、未来のコンピューティングを追及するMicrosoftの野望にゴールはないのだと実感した。
■お知らせ |
INDEX | ||
Insider's Eye | ||
Microsoft PDC 2001レポート(1) | ||
Microsoft PDC 2001レポート(2) | ||
Microsoft PDC 2001レポート(3) | ||
Insider's Eye |
- 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている - 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう - 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える - Presentation Translator (2017/7/18)
Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
|
|