Insider's Eye.NET Framework 3.0の中身をのぞいてみよう!デジタルアドバンテージ 一色 政彦 |
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先日の11月7日(米国時間)、ついに.NET Framework 3.0(RTM版)が公開された。
■.NET Framework 3.0とは
.NET Framework 3.0は、すでに「Insider's Eye: .NET Framework 3.0とは?」でも紹介しているように、現行の.NET Framework 2.0の次バージョンとなる.NETの実行環境だ。
ただし、その実行エンジン(CLR)と基本クラス・ライブラリは.NET Framework 2.0から何も変更されておらず、まったく同一のもの(バージョン「2.0.50727」)が含まれている。そこに新たに次の4つのテクノロジを追加したものが.NET Framework 3.0である。
- WPF:Windows Presentation Foundation(プレゼンテーション技術)
- WCF:Windows Communication Foundation(コミュニケーション技術)
- WF:Windows Workflow Foundation(ワークフロー技術)
- WCS:Windows CardSpace(ID技術)
.NET Framework 3.0はもともとWindows Vista向けの開発フレームワークとして提供される予定だったが、市場のニーズなどにより、Windows XPやWindows Server 2003向けにも提供されるように路線変更されたという経緯がある(ちなみにWindows 2000向けには提供されない)。
今回リリースされたのは、そのWindows XP/Windows Server 2003を(主な)ターゲットとした.NET Framework 3.0である(なおWindows Vistaでは.NET Framework 3.0がプレインストールされている)。
■.NET Framework 3.0のインストール要件
.NET Framework 3.0をインストールするためのWindows XP/Windows Server 2003それぞれの要件(Service Packの適用)は次のとおりだ。
- Windows XP Service Pack 2
- Windows Server 2003 Service Pack 1
なお、この要件を満たしたOSは、DirectX 9.0cがインストールされている状態となる。DirectX 9.0c(主にDirect3D 9)は、.NET Framework 3.0で追加されたWPFによって活用されるグラフィック・テクノロジの基盤である。ちなみに、DirectX 9対応ビデオ・カードが搭載されていないコンピュータ上では、グラフィック処理をソフトウェアでエミュレーションするようになっている。
■.NET Framework 3.0のセットアップ
それではさっそく.NET Framework 3.0をインストールしてみよう。次のリンク先のサイトにある.NET Framework 3.0セットアップを実行すると、.NET Framework 3.0をインストールできる。その際、自動的に.NET Framework 3.0の日本語ランゲージ・パックも導入されるようになっている。
.NET Framework 3.0は先ほども述べたように.NET Framework 2.0を内包している。このため上記のパッケージでは、そのインストール先のクライアント環境にすでに.NET Framework 2.0が導入されていれば、新しいコンポーネントのみがインストールされる。
.NET Framework 2.0がインストールされていない場合には、自動的に.NET Framework 2.0セットアップをダウンロードして暗黙的にインストールするようになっている(さらにこの際、.NET Framework 2.0の日本語ランゲージ・パックも同時にインストールしてくれる)。
■.NET Framework 3.0のフォルダ構成
.NET Framework 3.0インストール後のフォルダ構成についても見ておこう。
.NET Framework 2.0では、.NET Framework 2.0を管理・構成するための各種ツールやコンポーネントから、基本クラス・ライブラリ、そしてコンパイラおよび実行エンジン(CLR)までのすべてが、
%windir%\Microsoft.NET\Framework\v2.0.50727
内に格納されていた。しかし.NET Framework 3.0では、このフォルダ構成が変更されている。
.NET Framework 3.0(の追加機能)を管理・構成するための各種ツールやコンポーネント
まず「%windir%\Microsoft.NET\Framework」の下には「v3.0」というフォルダが追加される。このフォルダの配下には、.NET Framework 3.0で追加された機能(WPF、WCF、WFなど)を管理・運用するための各種ツールやコンポーネントなどが格納されているようだ。
%windir%\Microsoft.NET\Framework\v3.0」の内容 |
追加されたライブラリ
それではWPF/WCF/WFのライブラリはどこにあるのかというと、ここがポイントだが、実は、
%ProgramFiles%\Reference Assemblies\Microsoft\Framework\v3.0
に格納されている。従って、.NET Framework 3.0で追加されたアセンブリをプロジェクトで参照するには、このフォルダ内から.DLLファイルを探さなければならない(.NET Framework 2.0に含まれるアセンブリは以前と同じ場所を探せばよい)。
「%ProgramFiles%\Reference Assemblies\Microsoft\Framework\v3.0」の内容 |
コンパイラおよび実行エンジン
最後に.NET Framework 3.0で開発したプログラムをビルドするためのコンパイラや、生成されたプログラムを実行するためのCLRだが、これらは.NET Framework 2.0のものが使われる。つまり、コンパイラ(csc.exeやvbc.exeなど)は「%windir%\Microsoft.NET\Framework\v2.0.50727」内のものが使われることになり、アプリケーションは.NET Framework 2.0のCLR上で動作することになる。
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