連載
|
|
|
■■ブロードバンド・コミュニケーション■■
そこで、次に「情報の帯域」ということを考えてみたい。ここで帯域というのは時間当たりの情報量のことだとする。
というわけだ。 例えば、以下のプロジェクトの進ちょくを伝える2つの方法を比べてみてほしい。
進ちょく自体の情報量は同じだとしても、下の方が伝わる情報量はずっと多く、伝わるのに掛かる時間も短い。すなわち、下の方が帯域が広い、つまりブロードバンドなコミュニケーションということになる。 |
|||||
なるほど。 | |||||
では以下で、顧客の要望に関するコミュニケーションの5通りの例を、仕様書に頼ったコミュニケーションの例から順番に見ていこう。
|
|||||
A)〜E)は、下に行くほど情報の帯域が広い。つまり、下のコミュニケーションほどブロードバンド(=広帯域)だ。以下のような関係といえよう。 |
|||||
一般的に以下のようなことがいえるだろう。 |
|||||
後ろに行くほど、ブロードバンドになる。言葉だけ文書だけの場合と比べて時間当たりにより多くのコミュニケーションが可能だ。 しかし、ここでいっておく。
例を挙げよう。
|
|||||
当然のことだが、こんなことはばかげている。 日単位の見積もりの精度すらものすごく怪しいのに、時間単位にすることに意味はない。有効数字が1けたしかないデータの記述を2けたに書き換えただけで精度が上がったりしない。情報を冗長にしているだけだ。こんなことでより多くの必要な情報が伝わったりはしない。 別の例を挙げよう。
|
|||||
|
|||||
はい! 習いました! | |||||
相手に伝えるべきことをきちんと伝える。それが「コミュニケーションにコミットする」ということだと知れ。
|
■■和のコミュニケーション■■
さらにコミュニケーションの例を挙げてみる。
|
|||
UMLを使うこと自体は別に悪くない。 実は私はUMLは好きだ。特にUML 1.Xはシンプルでよい言語だと思う。UMLを使うな、ということではない。ただ、上の例では、どちらもUMLに不慣れなのにUMLを使ったことに問題がある。読まれないドキュメント(=WOD:Write Only Document)に価値はない。 ここでいいたいことは次のメタファ(=隠喩、例え)だ。 「日本人が日本人に話し掛けるのに外国語を使うな!」慣れない言語でまくし立てるのが、質の高いコミュニケーションではない。何も双方が不慣れなコミュニケーション方法を選ばなくてもよい。 何度でもいうが、大切なのは「伝わること」だ。 |
INDEX | ||
開発をもっと楽にするNAgileの基本思想 | ||
第2回 伝わるコミュニケーションとは | ||
1.ドキュメントを書くことが重要? | ||
2.ブロードバンド・コミュニケーション | ||
3.和のコミュニケーション | ||
4.創造的コミュニケーション | ||
「開発をもっと楽にするNAgileの基本思想」 |
- 第2回 簡潔なコーディングのために (2017/7/26)
ラムダ式で記述できるメンバの増加、throw式、out変数、タプルなど、C# 7には以前よりもコードを簡潔に記述できるような機能が導入されている - 第1回 Visual Studio Codeデバッグの基礎知識 (2017/7/21)
Node.jsプログラムをデバッグしながら、Visual Studio Codeに統合されているデバッグ機能の基本の「キ」をマスターしよう - 第1回 明瞭なコーディングのために (2017/7/19)
C# 7で追加された新機能の中から、「数値リテラル構文の改善」と「ローカル関数」を紹介する。これらは分かりやすいコードを記述するのに使える - Presentation Translator (2017/7/18)
Presentation TranslatorはPowerPoint用のアドイン。プレゼンテーション時の字幕の付加や、多言語での質疑応答、スライドの翻訳を行える
|
|