連載:〜ScottGu氏のブログより〜Silverlight 2がリリースScott Guthrie 著/Chica 訳2008/10/16 |
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本日(2008年10月14日)、Silverlight 2の最終リリース版を出荷しました。Silverlight 2および、それをサポートするVisual Studio 2008とExpression Blend 2のツールはここからダウンロードできます。
クロス・プラットフォーム/クロス・ブラウザにおける.NET開発
Silverlight 2は、クロス・プラットフォームのブラウザ・プラグインで、ブラウザ内でリッチなメディア・エクスペリエンスや.NET RIA(Rich Internet Application)を可能にします。
Silverlight 2はサイズも小さく(4.6MBytes)、マシンへの新規インストールに4〜10秒ほどしかかかりません。実行するのに.NET Frameworkをインストールする必要はありません。Silverlightのセットアップ・ダウンロードには、ビデオの再生やアプリケーションの起動に必要なものがすべて含まれています。
開発者は、どの.NET言語(VB、C#、JavaScript、IronPython、IronRubyなど)を使用しても、Silverlightアプリケーションを書くことができます。Silverlightでは、開発に必要な次のようなリッチな機能を一式提供しています。
- WPF UIフレームワーク:Silverlight 2には、リッチなUIフレームワークが含まれており、それによりリッチなWebアプリケーションをより簡単に構築できます。例えば、強力なグラフィック機能やアニメーション・エンジン、さらには、さまざまなコントロール、レイアウト管理、データバインディング、スタイル、テンプレートのスキンなどの、より高レベルなUI機能がサポートされています。SilverlightのWPF UIフレームワークは、フルの.NET FrameworkにあるWPF UIフレームワーク機能と互換性のあるサブセットで、リッチなクロス・ブラウザのWebアプリケーションやリッチなデスクトップのWindowsアプリケーションを構築する際には、開発者は技術、コントロール、コード、コンテンツを再利用することができます。
- リッチなコントロール:Silverlight 2には、リッチなビルトイン・コントロールが含まれており、開発者やデザイナーは、それらを使用して簡単にアプリケーションを構築できます。これには、コアとなるフォーム・コントロール(TextBox、CheckBox、RadioButton、ComboBoxなど)、ビルトインのレイアウト管理パネル(StackPanel、Grid、Panelなど)、共通機能コントロール(Slider、ScrollViewer、Calendar、DatePickerなど)、データ操作コントロール(DataGrid、ListBoxなど)が含まれています。すべてのSilverlightコントロールはリッチなコントロール・テンプレート・モデルをサポートしており、開発者とデザイナーが、より洗練されたソリューションを協調しながら構築できるようになっています。
- リッチなネットワーク・サポート:Silverlight 2には、リッチなネットワーク・サポートが含まれており、REST、WS-*/SOAP、POX、RSS、通常のHTTPサービスの呼び出しを、手を加えることなく扱うことができます。クロスドメインとなるネットワーク・アクセスもサポートされています(Silverlightクライアントが直接Web上のリソースやリソースからのデータにアクセスできます)。また、ビルトインでソケット通信のサポートも含まれています。
- リッチなベース・クラス・ライブラリ:Silverlight 2には、リッチな.NETのベース・クラス・ライブラリの機能(コレクション、IO、ジェネリック、スレッド、国際化対応、XML、ローカル・ストレージなど)が含まれています。その中には、HTML DOM/JavaScriptと.NETコードを統合できるリッチなAPIもあります。(データの簡単な変形や検索を可能にする)LINQやLINQ to XMLライブラリのサポートや、ローカル・データ・キャッシングやストレージ・サポートも含まれています。Silverlightにある.NET APIは、フルの.NET Frameworkに互換性のあるサブセットです。
- リッチなメディア・サポート:Silverlight 2には、高精細ビデオの再生や、それをWebを通じてストリーミング(ライブおよびオンデマンド両方のサポートを含む)するためのビルトインのビデオ・コーデックが含まれています。Silverlightは、ネットワークの状態に応じてその場でビデオのビットレートを調整でき(ユーザーは恐ろしい“バッファリング……”メッセージを避けることができます)、ビデオのストリーム内への広告の設置およびその管理、またコンテンツの防御を可能にします。
最終のSilverlight 2リリースは、非常に大きなパワーと柔軟性によりブラウザ上でできることの限界を驚異的に押し広げ、素晴らしいエンドユーザー・エクスペリエンスを可能にしています。
Silverlightの顧客
過去数カ月に渡り、数多くの非常に質の高いサイトがSilverlight 2のベータ・リリースを使用して順調に立ち上がっています。
8月にNBCがオリンピックのライブをnbcolympics.com上にホストしたところ、13億のページビュー、7千万回のビデオ・ストリーミング、時間にして6億分のビデオ・コンテンツに達しました。それはWebにおける、これまでで最大のメディア・イベントになりました。そのサイトを訪れたユーザーは平均27分間そこでビデオを見ており、これはこれまで先例のないオンライン・トラフィックとなりました。
また8月、Silverlightを使用した民主党大会のライブのストリーミング配信があり、そのイベントやスピーチの2Mbitのライブ・ビデオがブロードキャストされ、それを見ていた観衆から相当のフィードバックがありました。
今月、Silverlight 2の最終リリースに伴い、そのほかにも質の高いサイトが数多く公開されていきます。CBS College Sports Networkは、150を超えるパートナーの大学に対して、2万時間のゲームの生中継をストリーミングする予定です。AOLは、新しいAOLメールのブラウザ版を、Silveright 2を使用して6千万人のユーザーへ公開します。Blockbusterは、新しいMovieLinkの購読サービスを、Silverlightを使用して公開します。Yahoo! Japanでは、動画サイトでメジャーリーグの野球中継をライブ・ストリーミングします。Hard Rock Internationalでは、新しい機能であの印象深いサイトを更新します。また、トヨタやHSNなど、そのほか何百の会社が今週公開予定です。
Silverlight Toolkit
Silverlight 2は、アプリケーション構築に使用できる数十個のビルトインされたUIコントロールとともに出荷されます。以下は、Silverlight最終リリースにあるDataGrid、RadioButton、CheckBox、DatePickerのスクリーンショットです(図1)。
図1 |
本日は、“Silverlight Toolkit”についても公開しました。これは、Silverlight 2で使用できる数十個のコントロールを提供します。引き続き新しいコントロールを今後数カ月に渡り、コントロール・パックへ追加していきます(最終的には100個以上のコントロールを予定しています)。ツールキットの最終リリースには、TreeView、 DockPanel、WrapPanel、ViewBox、Expander、NumericUpDown、AutoCompleteなどが含まれます。すべてのコントロールは、完全なソースと、目的を問わずそれらのソースを修正・使用できるOSIライセンス付きで出荷されます。
相互運用性
本日はまた、クロス・プラットフォームであるEclipse開発プラットフォームを使用してSilverightアプリケーションを開発するための追加ツールを提供するために、MicrosoftはSoyatecとパートナーになったことも発表しました。ここをクリックすると、これに関する詳細と、Silverlight Eclipseのプラグインが無償でダウンロードできます。ここをクリックすると、Silverlight 2アプリケーションを構築するためのEclipseツールの使用方法についてのチュートリアルがあります。
また、Silverlight XAMLの用語とスキーマをOpen Specification Promise(OSP)としてリリースすることも本日発表しました。これにより、Silverlight向けのXAMLを読み書きする製品を誰でも作成することができるようになります。この発表についての詳細はここにあります。
Silverlight 2の習得
Silverlight 2を学ぶ最善の方法は、www.silverlight.netというWebサイトをご覧いただくことです。オンラインのチュートリアル、ビデオ、トレーニングが無料でお使いいただけます。サイトにオンラインのフォーラム・システムもホストしており、そこではMVPやMicrosoft Silverlightチームのメンバーが技術的な質問に答えてくれます。また、日々のSilverlightのコンテンツとしては、SilverlightコミュニティRSSフィードや、Jesse Liberty氏のブログ、Tim Heuer氏のブログなどの購読をお忘れなく。
最近、自分のDiggクライアント・チュートリアルを最終のSilveright 2リリースに対して更新しました。これは、Silveright 2アプリケーションの作成を最初から最後まで示すためのもので、その背景にある異なるプログラミング概念の説明にも心掛けています(コントロール、レイアウト管理、ネットワーク、データバインディング、スタイル、ユーザー・コントロール、コントロール・テンプレートなど)。もしSilverlightやWPF開発が初めてであれば、基礎を理解するために一度通してご覧いただくことをお勧めします。
- パート 0:始めに
- パート 1:“Hello World”をSilverlight 2とVS 2008で作成
- パート 2:レイアウト管理の使用
- パート 3:データ取得とDataGridへのひも付けにネットワークを使用
- パート 4:よりよいルック&フィールのカプセル化にスタイル要素を使用
- パート 5:ListBoxの使用とデータ一覧表示のためのデータバインディング
- パート 6:マスター/詳細シナリオの実装にユーザー・コントロールを使用
- パート 7:コントロールのルック&フィールのカスタマイズにテンプレートを使用
- パート 8:WPFを使用したDiggアプリケーションのデスクトップ版を作成
Visual Studio 2008のどのバージョンでも、Silverlight 2アプリケーションを開発できます。Silverlight Tools for Visual Studio 2008をダウンロードしてインストールするだけで、Silverlight用ツールのサポートを得ることができます。
もしVS 2008をお持ちでなければ、代わりに無償のVisual Web Developer 2008 Express SP1 Editionをインストールすることも可能です。この無償ツールは、素晴らしいASP.NET開発のツール・サポートを提供していますが、本日からはSilverlight 2の開発サポートも始まりました。Visual Web Developer 2008 Express Edition(IntelliSense、デバッグ、配置はフルサポートされています)を使用して、上記のチュートリアルにあるステップはすべて行うことができます。
ベータからのアップグレード
もしVS Tools for SilverlightのBeta2やRCバージョン、Silverlight 2 Beta SDK、Silverlight 2のDeveloper Editionをお持ちの場合、本日のリリースをダウンロード、インストールされる前に、必ずすべてアンインストールしてください。
Silverlight 1およびSilverlight 2のBeta1もしくはBeta2のエンドユーザーの方は、今月末から自動的に最終のSilverlight 2リリースにアップグレードされます。それまでは、もしSilverlight 2(最終リリース)のサイトに訪れた場合、Silverlightがマシンにインストールされていないときに表示される通常のインストール・プロンプトが表示されます。それをクリックするとマシンは最終リリースのSilverlight 2へアップグレードされます(この場合には何もアンインストールする必要はありません。Silverlight 2はSilverlight 1または以前のベータを上書きして、クリーンにインストールされます)。
Silverlight 2 Beta2と最終のSilverlight 2リリースとの間には大きな変更がいくつかあるため、最終のSilverlight 2リリースをインストールしたエンドユーザーは、Silverlight 2 Beta2をターゲットにしているアプリケーションを起動できなくなります。ほとんどの主要なSilverlight 2のサイトは、24時間以内に最終のリリースへアップグレードする予定です(これにより、この問題は修正されます)。もしそれ以前にBeta2で構築されたサイトにたどり着いたら、問題が発生するかもしれません。すべてのサイトが更新されれば、その日のうちに問題は解決するはずです(これが、最終リリースに対して開発者がサイトの準備ができるようにするために、先月リリース候補版をリリースした理由の1つです)。
まとめ
Silverlight 2は、素晴らしい新たなアプリケーションやメディア・エクスペリエンスを構築可能にするメジャー・リリースとなります。また開発者は、その構築を行う際に、どのブラウザでも.NETを使用できます。
昨年の開発の際には、サポートやフィードバックをいただきありがとうございました。Silverlightチームにかかわるすべてのメンバーは、Silverlight 2により構築されたものが公開されるのを非常に楽しみにしています。 :-)
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