特集 J#の真実 Part 1

インタビュー:
Javaプログラマに.NETの世界を開くJ#(2)

2001/11/14

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―― Visual J++ 6.0が国内で発売されたのは1998年9月で、3年以上も前になります。その後、特にバージョンアップなどはされていませんが、国内での利用状況はどのようなものでしょうか? ユーザーは多いのでしょうか?

 米国版のVJ++ 6.0は、Visual Studio 6.0のパッケージ発売開始時期が合わず、VS 6.0を購入した人が後からVJ++ 6.0を取り寄せるという形式になりました。しかし日本国内では、VS 6.0のパッケージに最初からVJ++ 6.0を入れて発売することができました。VJ++ 6.0の単体パッケージも販売されているのですが、VS 6.0のユーザーがどれだけVJ++を使っているのか分かりませんので、正確なユーザー数はつかんでいません。ただし、相当数のユーザーがいらっしゃると考えています。J#は、こうした方々に.NET Frameworkへの移行パスを提供するものです。

正確には分かりませんが、VJ++ 6.0には相当数のユーザーがいると考えています。J#はこうした方々に.NETへの移行パスを提供します。

―― 現時点でダウンロード可能なJ#は英語版ベータ1のみですが、日本語版ベータ1は提供されるのでしょうか?

 残念ながら、日本語版ベータ1を提供する予定はありません。日本語版のJ#については、英語版のJ#次期ベータ版をベースとするものを提供する予定です。J#次期ベータ版(英語版)の提供は来年の第1四半期が予定されています。日本語版はこのタイミングからプラス60日ということで、第2四半期をめどに提供する予定になっています。VS .NET製品版(日本語版)の提供予定は2002年第1四半期ですから、日本語に対応したJ#の次期ベータ版は、これよりも後ということになります。なお、ここでは「次期ベータ版」と述べたのは、それが「ベータ2」かどうか分からないからです。

スケジュール 提供されるJ#バージョン
2001年 10月11日 J#英語版ベータ1ダウンロード・サービス開始
2001年 第4四半期 Visual Studio .NET英語版 製品提供
2002年 第1四半期 J#次期ベータ版(英語版)提供
Visual Studio .NET 日本語版 製品提供
2002年 第2四半期 J#次期ベータ版(日本語版)提供
2002年 中旬 J#製品版(英語版)提供
2002年 第3四半期 J#製品版(日本語版)提供
J#の提供予定

―― 現在提供されているJ#ベータ1(英語版)を日本語環境にインストールして使うことは可能でしょうか?

 残念ながら、OS、VS .NETベータ2ともに英語版の環境でなければJ#をインストールすることはできません。

―― 編集部で試したところでは、日本語版のWindows 2000に英語版のVS .NETをインストールすることで、J#ベータ1(英語版)のインストールに成功しました。

 動かすことは可能かもしれませんが、そのような使い方は公式には保証されません。

―― 既存のJavaプログラムを.NET環境に移行させる戦略として、2001年初旬に発表された「JUMP to .NET(Java User Migration Path to .NET)」では、JavaバイナリからMSILへの変換ツールとJavaソースコードからMSILへのコンパイラに加え、ライブラリの変換も含めてJavaのソースコードをC#のソースコードに変換するツールが含まれていました。J#ベータ1にはこのツールが見当たりませんが、どうなったのでしょうか?

 ご指摘のとおり、現在のJ#ベータ1には、JavaソースコードからC#への変換ツールは含まれません。当初のシナリオではJavaソースコード→C#ソースコード→MSILという手順も含まれていましたが、J#ベータ1ではJavaソースコードをMSILに直接コンパイルする形になっております。

―― 現場でJavaを使っているプログラマの中には、C#に移行したがっている人も少なくないと聞きます。こうしたプログラマにとっては、既存のJavaソースコードをC#ソースコードに変換してくれるツールは有用だと思いますが、このツールはもはやなくなったということですか? それとも今後発表されるのでしょうか?

 はっきりと提供が中止されたかどうかは不明ですが、少なくとも現時点では提供する計画はありません。JavaのソースコードをC#に置き換えなくても、そのままコンパイルできればよいし、またJ#の単体製品をパッケージ化したときに、C#コンパイラを同梱しなければコンパイルできなくなるという問題もあります。

―― Javaの思想を尊重して100% pure Javaのプログラムを書こうとすると、不足する機能があまりに多く、何とか作っても十分なパフォーマンスが得られないという話を現場のプログラマから聞いたことがあります。Javaの欠点を知るこのようなプログラマがC#を見ると、そのよさを瞬間的にピンと感じるそうです。言語仕様だけの変換なら比較的簡単にできますが、クラス・ライブラリを呼び出す部分の変換は容易ではありません。こういうプログラマにとっては、やはりC#へのソース・コンバータがあるとうれしいと思います。

 なるほど、ニーズはあるということですね。検討しておきます。

―― 提供形態はどのようになりますか?

 まだ最終的に決定したわけではありませんが、VJ++のときのように、VS .NETにクーポン券が入っており、J#が発表されたら、それを使って後から取り寄せられるという形式になる可能性が高そうです。また、職業プログラマばかりでなく、学生さんなどに気軽に使ってもらえるためにも、J#だけの単体パッケージも提供する予定です。End of Article

 

 INDEX
  [特集]J#の真実
  Part 1 インタビュー:Javaプログラマに.NETの世界を開くJ#
     Javaプログラマに.NETの世界を開くJ#(1)
   Javaプログラマに.NETの世界を開くJ#(2)




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