特集
Visual Studio .NETベータ2 オーバービュー

4.Windows FormsとWeb Forms

槙邑 恭介
2001/09/06

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 VS .NETを用いて、CLR上で動作するアプリケーションを作成する場合に、ユーザー・インターフェイスの中心となるのが「Windows Forms」と「Web Forms」である(マイクロソフトは、CLR環境で動作するコードを「マネージド・コード」と呼んでいる。一方Win32 APIを直接利用するようなコードは「アンマネージド・コード」と呼ぶ)。これらを構成するクラスは.NET Frameworkのクラス・ライブラリに含まれている。

Windows Forms

 Windows Formsは、.NET Frameworkで提供されるクラス・ライブラリに含まれており、CLR上でローカルなアプリケーションとして動作する際に利用するグラフィカルなユーザー・インターフェイスを提供するライブラリである。C#、VBなどでローカル・アプリケーションを作成する場合は、Windows Formsを利用することになる。Windows Formsを使ってアプリケーションを作成する手順は、これまでVBで行ってきた、フォームによる作業とほとんど変わらない。ツール・ボックスからフォームにコンポーネントを貼り付けるだけである。コンポーネントで興味深いのは、コンポーネントの位置指定として、フォームとコンポーネントの「上下左右」の位置関係が指定できる点である(もちろんピクセル単位での指定も可能)。Javaのレイアウト指定でいうところのNorth、Southなどと同じように、コンポーネントの位置を設定することも可能である。これにより、ユーザーがウィンドウのサイズを変更した場合に、サイズ変更に応じてコンポーネントが自動的に移動するようになる。従来のVBでは、ウィンドウ・サイズ変更のイベントを自分自身で処理して、コンポーネントの位置やサイズを1つ1つ変更する必要があったのだが、これが非常に簡単に行えるようになった。Windows Formsで利用するコンポーネントは、ツール・ボックスから選択する。メニューやツール・バー、ステータス・バーなどもここからドラッグしてフォームに追加してUIを作成していく。

Web Forms

 Windows FormsがCLR上で動作するローカル・アプリケーションのためのユーザー・インターフェイス・コンポーネントであるのに対して、Web Formsは、ASP .NETでWebアプリケーションを作成する際に利用するユーザー・インターフェイス・コンポーネントである。Web Formsでは、特殊なタグ(“<asp: >”)を用いて、Web FormsコンポーネントをASP .NETファイル(.aspx)中に記述する。そしてページに貼り付けたコンポーネントのプロパティやイベントなどの処理は別ファイルで用意し、そこにC#やVBで処理コードを記述することになる。これらのコンポーネントはブラウザからのリクエスト時にサーバ側で処理されて、最終的には通常のHTMLに変換されてブラウザに送られる。そのためどのようなブラウザでも表示可能なページになる(ただしブラウザに返されるHTMLのコードを見る限り、JavaScriptをサポートしている必要はありそうだ)。

 Web Formsを用いたASP .NETページの利点は、ソース・ファイル上でユーザー・インターフェイスの記述とロジックの記述を分けられる点と、ロジックの部分にCLR上で動作するさまざまなコンポーネントを利用できるところにある。ASPでは、複雑なロジックの部分はCOMオブジェクト(MTSオブジェクトなど)をVBやVC++などで作成していたが、これらのオブジェクトはC#やVB .NET、Managed C++などでより簡単に作成できるようになる。


 INDEX
  [特集]Visual Studio .NETベータ2 オーバービュー
    1.Visual Studio .NETの概要
    2.統合開発環境の概要
    3.作成可能なプロジェクト
  4.Windows FormsとWeb Forms
    5.Visual C++でのアプリケーション作成の変化
    6.Visual Basicでのアプリケーション作成の変化
    7.Webアプリケーション開発環境として見たVS .NETとC#


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