特集 次世代XML Webサービスを試す Part 1 − Web Services Development Kitイントロダクション − インフォテリア株式会社 |
始めに
2002年初頭に出荷が開始されたVisual Studio .NET 2002と.NET Framework 1.0では、XML Webサービスの時代の幕開けを告げるべく、SOAP 1.1、WSDL 1.1、UDDI 1.0、さらにXML SchemaやXML電子署名などの基盤仕様に対応した実装が含まれており、すでにこれらの機能を利用してXML Webサービスの開発と運用を始めている読者も多いことだろう。
しかし、XML Webサービスが本格化するにつれて、いくつかの問題点が頭をもたげ始めた。例えばSOAPメッセージを保護する仕様の不備、複数のXML Webサービス間でのトランザクション処理、バイナリ・データの送受信などの問題である。現在、MicrosoftとIBMはこれらの問題に向けて再びタッグを組み、それぞれの分野のリーディング・ベンダと協力して一連の「Webサービス・フレームワーク」とでも呼ぶべき仕様群を策定しようとしている。このWebサービス・フレームワークの目的をひと言でいえば、J2EEやCOM+がLAN上のサーバ・アプリケーションにもたらした恩恵を、インターネット上のXML Webサービスにももたらすことである。すなわち、分散アプリケーション間でのセキュリティ、トランザクションなどの基盤サービスを、いちいちコーディングするのではなく、設定によって提供できるようにするということだ。さらに、XML Webサービスならではの目標として、各社の異なる実装同士での互換性を確保することも挙げられる。
Webサービス・フレームワークを実現するために、MicrosoftとIBMを中心とする有力Webサービス・ベンダは、たくさんの仕様を公開してきた。
- DIME(Direct Internet Message Encapsulation)
- WS-Attachments
- WS-Inspection
- WS-Routing
- WS-Referral
- WS-Security
- WS-Coordination
- WS-Transaction
- Business Process Execution Language for Web Services
これらはいずれも、われわれ開発者がLAN上での分散アプリケーション開発環境ではすでに手に入れているものだ。いまどき分散トランザクション機能をイチから作り始める人間はいない。ネーミング・ディレクトリ・サービスやアクティベーション・サービスなどもすでにアプリケーション・サーバによって提供されていて、われわれ開発者がコードを書く必要はない。各ベンダは、自社のプラットフォーム上にいる開発者に対して、同じ環境をXML Webサービスの開発においても提供しようとしているのだ。
Microsoftは、これらの仕様とその実装によって構成される「次世代XML Webサービス」のためのさまざまな取り組みを総称して「Global XML Web Services Architecture(GXA)」と呼んでいる。GXAは今後のMicrosoftの製品すべてにかかわるキーワードとなる。将来的にはこれら仕様の実装は次期.NET FrameworkやEnterprise Servers製品に入り込んでいくことになるだろう。だが、まずは開発者の手元に最新の技術を届けて、Microsoftが進んでいる方向性を示すために、Microsoftは2002年8月26日に、「Web Services Development Kit Technology Preview」(以下WSDK)を公開した。WSDKは、上記のうちDIME、WS-Attachments、WS-Routing、WS-Securityの各仕様を実装する開発キットだ。過去にサンプルとしてDIMEの実装が提供されたことはあるものの、SOAP/WSDL/UDDIの先にある仕様群の包括的実装という意味では、これがMicrosoftから出てきた初めての実装になる。
INDEX | ||
[特集]次世代XML Webサービスを試す Part 1 | ||
1.WSDKのインストール | ||
2.WSDKを使ったセキュア XML Webサービスの実装 | ||
3.セキュアXML Webサービスのクライアントの実装 | ||
4.ほかのWS-Security実装との相互運用(1) | ||
5.ほかのWS-Security実装との相互運用(2) | ||
「特集:次世代XML Webサービスを試す」 |
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