特集:VBでOracle Database開発入門(後編)SQL Server開発者のためのOracle DB入門初音 玲2008/12/09 2008/12/16 更新 |
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前回に引き続き、今回は「SQL Server開発者がOracle Database開発に取り組み始めるときのポイント」を説明する。
■SQL Server開発者から見たOracle Databaseの特徴
Oracle DatabaseとSQL Serverは、どちらもRDBMS(リレーショナル・データベース管理システム)だが、その生い立ちや製品特性の違いからさまざまな相違点が存在する。
そこで、SQL Serverを使ったデータベース開発の経験者の視点からOracle Database特有の特徴に注目して、まずは両者の違いを明確にしたいと思う。
●インスタンスの違い
Oracle DatabaseとSQL Serverは、1つのサーバ・マシン上に複数のインスタンス(RDBMSの管理単位)が作成できる。しかし、SQL Serverが1インスタンスで複数データベースを管理できるのに対して、Oracle Databaseでは1インスタンスで1データベースのみを管理する仕組みになっている。
図1 インスタンスとデータベースの関係 |
インスタンスはRDBMSがデータベースを管理する単位であり、起動や停止もインスタンス単位に行われる。また、管理情報を格納するための単位でもあるので、SQL Serverで1インスタンスに複数データベースを作成したときも、管理領域はデータベースごとではなく1つしか存在しない。
図2 データベースの構成要素 |
●セキュリティの違い
SQL Serverには次の2つの認証方式がある。
- SQL Server認証(=SQL Server独自のアカウントを利用した認証)
- Windows統合認証(=Windowsのアカウントを利用した認証)
基本的にWindows統合認証の採用が推奨されている。なお、Windows Server 2003以降ではSQL Server認証でもWindowsパスワード・ポリシー・メカニズムというOS標準搭載の機能を活用したパスワード・ポリシーおよびパスワードの期限の設定が行える。
Oracle Databaseにも以下のような方式があり、データベース認証でも独自のセキュリティ・ポリシーが設定できる
- データベース認証(=Oracle Database独自のアカウントを利用した認証)
- OS認証(=Windows OSのアカウントを利用した認証)
- ネットワーク・サービス認証(=SSLやkerberos認証などのサードパーティ・サービスを利用した認証。Enterprise EditionのAdvanced Securityオプションが必要)
●トランザクションの違い
SQL Serverの既定の設定では、SQL文が実行されるたびにトランザクションがコミット(COMMIT)される。そのため通常はトランザクションをあまり意識しない。
Oracle Databaseの既定の設定では、トランザクションは自動的に始まるが、明示的にコミットやロールバック(ROLLBACK)をしなければトランザクションは終了しない。
なお、ADO.NETやODP.NETでSQL ServerやOracle Databaseを利用する場合、プログラム・コード上ではどちらのデータベースでも明示的にトランザクションを指定しなければ自動的にトランザクションがコミットされるが、これはADO.NETやODP.NETの中で、各データベースにおける動作の違いの補完を行って、コード上での動きを統一させているからだ。
●Oracle Databaseを使うメリットとデメリット(SQL Serverとの比較において)
○Oracle Databaseのメリット
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Windows以外のOSも選択できるため、ハードウェア選択の幅が広い
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1インスタンスに1データベースしか作れないため、運用開始後、同一インスタンスの複数データベースがシステム管理情報を取り合う、インスタンスの停止が必要なメンテナンス時に、データベースごとに停止可能な時間帯がばらばらで停止のタイミングが取りづらい、といった問題が発生しない
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(SQL Server認証では、Windows Server 2003 以降を利用していれば、前述したパスワード・ポリシーを設定可能である。一方)Oracle Databaseのデータベース認証ではデータベース独自のセキュリティ・ポリシーが設定できる
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Oracle Databaseではデフォルトの設定で、読み取り一貫性(=ある行のデータの更新で排他ロックが掛かっていても、ほかのユーザーがデータを読み取れる機能)が有効になっており、バッチ処理時間帯などでデータベースの情報が書き換わっていても、参照系の業務は遂行できる(挿入/更新/削除などの業務処理は行えない)(SQL Serverでも、SQL Server 2005以降であれば、トランザクション分離レベルを変更することで、Oracle Databaseと同等の読取一貫性を提供することは可能になっている)
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(SQL Serverにおいては行レベル・ロックが既定値で、一定の条件下ではロック管理を効率化するための「ロック・エスカレーション」が発生する。一方)Oracle Databaseでは行レベル・ロックは既定値であるが、ロック・エスカレーションは行われない。レコードという扱いやすいロック単位でシステムが動作するため、プログラム・コードのレベルで考慮しなければならない点が「比較的」少ない(なお、SQL Serverで同じように常にレコード単位のロックを利用したい場合は、ロック・エスカレーションを無効にすればよい)
○Oracle Databaseのデメリット
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Linux版の出荷後にWindows版が出荷されるので、最新バージョンをWindows環境ですぐに使えない期間がある
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Express EditionがOracle Database 10g Release 2までにしか存在しない(最新のOracle Databaseでは、いまのところExpress Editionが提供されていない。前編参照)
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読み取り一貫性が備わっているため、バッチ処理中にほかの業務を処理待ちにする必要がある場合には、特別な工夫が必要となる
●Oracle DatabaseとSQL Serverのコードの主な違い
○データベースとの接続
データベースに接続する場合、使用する接続クラス(SQL ServerはSqlConnectionクラス、Oracle DatabaseはOracleConnectionクラス)が異なるだけでなく、接続文字列(ConnectionStringプロパティへの設定値)も異なる。
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データベースへ接続するコード(上:SQL Server、下:Oracle Database) |
なお、.NETデータ・プロバイダでは、接続プーリングにより、プログラム・コード上でデータベースとの接続を切断しても、実際の接続は維持される。そして、同じ内容の接続文字列で接続、つまりユーザーIDや接続先が同一の場合には、維持しておいた実接続を再使用することで、データベースに再接続する際にかかる時間をほぼゼロにする機能が実装されている。
図3 .NETデータ・プロバイダによる接続プーリング |
○エラーの取得
.NETデータ・プロバイダで検出したエラーは、Try〜Catch〜End Tryブロックを使用した.NET Frameworkの例外ハンドリング機能により処理できる。このため、両者の例外処理コードには大きな差異は生じない。
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例外処理のコード(上:SQL Server、下:Oracle Database) |
INDEX | ||
[特集]VBでOracle Database開発入門(前編) | ||
.NETによるOracle Database開発とは? | ||
1..NETで、なぜデータベースが必要なのか? | ||
2.Oracle Databaseの歴史と最新のOracle 11gとは | ||
3.Oracleデータベース開発のテクノロジ | ||
[特集]VBでOracle Database開発入門(後編) | ||
SQL Server開発者のためのOracle DB入門 | ||
1.SQL Server開発者から見たOracle Databaseの特徴 | ||
2.Oracle DatabaseとSQL Serverのコードの主な違い | ||
3.VB6×Oracleから.NET×Oracle 11g移行のポイント | ||
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