連載:世界のWebサービス
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最後に、Mobile Internet Toolkit版MSN Senderのコードを簡単に解説しよう。次のリストは「送信」ボタンをクリックすると呼び出される、イベント・ハンドラである(Command1_Clickメソッド)。ここでは前回と同じようにMSN Messenger Webサービスを呼び出しているが、Webアプリケーション版MSN Senderとまったく同じコードであることが分かるだろう。
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Webサービスを呼び出しメッセージの送信を行うメソッド | |
前回と同じようにMSN Messenger Webサービスを呼び出しているが、Webアプリケーション版MSN Senderとまったく同じコードである。 |
Webサービスを呼び出した後には、その成否を表すbool値を元に、アクティブ・フォームをForm2(送信成功)かForm3(送信失敗)へ切り替える。これはActiveFormプロパティへフォームオブジェクトを代入することで実行する。なお、Form2とForm3には「戻る」リンクが配置されていて、これをクリックするとForm1へと戻るようになっている。これは、LinkコントロールのnavigateURLプロパティに「#Form1」が設定されているため、イベントハンドラに頼らず、Form1へとアクティブ・フォームを切り替えることができる。
次にMSN Senderのビルド手順を示す。
モバイル向けWebアプリケーションとは言っても、実態はMobile Internet Toolkitで追加されたコントロールを利用するごく一般的なWebアプリケーションでしかないので、Mobile Internet Toolkit版MSN Senderのビルド手順は、前回とほとんど変わらない。わずかに、コンパイラ起動時にオプションを1つ追加するだけである。
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インターネット・サービス・マネージャを起動して、仮想ディレクトリを作成する(例:c:\MSNSenderを仮想ディレクトリMSNSenderとして設定する)
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コマンド・プロンプトを起動して、c:\MSNSenderで以下のコマンドを実行し、Messenger.csを作成する。
wsdl /n:MSNSender |
- c:\MSNSenderに以下のソース・ファイルを作成する(ソースファイルのダウンロードはこちら:mitmsnsender.zip(圧縮ファイル))。
- AssemblyInfo.cs
- Global.asax
- Global.asax.cs
- SenderForm.aspx
- SenderForm.aspx.cs
- Web.config
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ディレクトリc:\MSNSender\binを作成する。
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c:\MSNSenderで以下のコマンドを実行し、コンパイルする(c:\MSNSender\bin\MSNSender.dllが作成される)。このとき前回とは異なり、「/r:System.Web.Mobile.dll」を指定して、モバイル・サーバ・コントロール・ライブラリへのリンクを指示する必要がある。
csc /r:System.Web.Mobile.dll /t:library /out:bin\MSNSender.dll |
以上の作業を終えると、http://127.0.0.1/MSNSender/SenderForm.aspxからMSNSenderのWebページを開けるようになる。デジタルアドバンテージと@ITで共同運営するIWebMethod.NETでは、前回同様に、今回のMSNSenderも公開しているので、試してみたい方はこちらをアクセスして欲しい。このURLは次のようになっている(IEからもアクセス可)。
http://www.iwebmethod.net/wwebserv/MSNSender2/SenderForm.aspx
なお前回はこの後Web.configを作成したが、今回はVisual Studio .NETがプロジェクトの一部として生成したWeb.configをそのまま利用している。プロジェクト・タイプとしてMobile Web Applicationを選択すると、モバイル向けWebアプリケーション用にセットアップされたWeb.configが生成されるため、文字コード等の設定は不要である。
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[連載]世界のWebサービス―― 究極のWebサービスを求めて ―― | ||
第9回 モバイルWebアプリケーション | ||
1.モバイル・サーバ・コントロール | ||
2.Mobile Internet Toolkit版MSN Sender | ||
「世界のWebサービス」 |
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