オープンソース イベントレポート

JavaとOSSの最新事情を探る OSC 2007

＠IT編集部
平田修
2007/3/26

主な内容 ・ ExcelからJava、.NET、PHPのソースができる？ ・ 拡張機能はHTMLとCSSだけで作れる ・ Web地図サービスはGoogle Mapsだけじゃない ・ Apache族最後の戦士Geronimo ・ Ajax、EJB、JSF、O/Rマッピングを縫い合わせる ・ Javaのオープンソースコミュニティをのぞいてみよう ・ Rubyのセッションは減少傾向 ―― 秋はどうなる？

　オープンソースソフトウェアのイベント「オープンソースカンファレンス（以下、OSC） 2007 Tokyo/Spring」が、新宿の日本電子専門学校で3月16・17日に開催された。本稿では、さまざまなテーマのカンファレンスの中からJavaやWebアプリケーションに関するものを中心にレポートしていく。

　ExcelからJava、.NET、PHPのソースができる？

　blanco Framework Community会の伊賀敏樹氏が「オープンソース下流開発フレームワーク blanco Framework （ブランコ・フレームワーク）の最新動向」というセッションを行った。blanco Frameworkは独自のフォーマットで書かれた仕様定義書（.xlsファイル）からソースコードを自動生成するもので、EclipseやApache Ant上で動作する。生成するソースコードのプログラミング言語はJava、C#.NET、JavaScript、PHP、VB.NETに対応している。

　例えば、ファイル入出力用のソースコードを生成したい場合、blanco Frameworkのフォーマットに沿ったファイル定義書を作成し、Eclipseのblanco Frameworkプラグインのボタンを1クリックするだけで自動生成されるので、大幅に工数を削減できる。ほかにも、文字列変換定義、バッチ処理定義、文字グループ定義、メッセージ定義、定数定義、Apache Antのタスク定義、そして、blanco Frameworkの起源となったデータベースとのマッピングの定義など、自動化できるものは多岐に及ぶ。しかも、通常のO/Rマッピングと違い、定義書からマッピング用のXMLを生成する必要がない。

セッション中の伊賀氏

　伊賀氏は導入のメリットを、単純作業の自動化による生産性向上、均質なソースコードの自動生成による可読性向上、定義書の変更が即座にソースコードに反映され、仕様と実装が常に一致するという保守性向上とまとめた。一方、デメリットとしては自動生成されるソースの増加による規模の拡大、また、その生成時間が長いことが挙げられた。

　blanco Frameworkに付随する取り組みについて、伊賀氏はこう付け加える。「blanco Frameworkでは、Excelファイルの読み取りにJExcelApi（Java Excel API、Java言語からMicrosoft Excelの文書データに対して入出力を行えるオープンソース）を使っていて、コミュニティはその日本語化パッチにも取り組んでいます。また、自動生成とは関係ありませんが、blanco Frameworkが提供するBlancoSqlEditorPluginというEclipse用のSQL編集エディタプラグインは、SQLの自動整形も行えるもので、blanco Frameworkの中でダウンロード数が最多です」。

　拡張機能はHTMLとCSSだけで作れる

　もじら組と裸電球氏によるセッション「出張！拡張勉強会」について解説しよう。もじら組の主催する拡張勉強会はFirefoxやThunderbirdの拡張機能（プラグイン）を作るための勉強会で、Mozillaの情報の提供、ゲスト講師による拡張機能のセッション、フリーディスカッションなどが主な内容である。

セッション中の裸電球氏

　第3回を数える今回の拡張勉強会では、ゲスト講師に裸電球氏が招かれていた。裸電球氏は多くのFirefoxの拡張機能の日本語化と作成を行っていて、セッションでは「フォクすけといっしょ」という拡張機能の作り方を解説した。

　「フォクすけといっしょ」は「フォクすけ」というキャラクターの画像が拡張機能のオプションウィンドウ、インポートウィザード、ダウンロードマネージャやアドオンマネージャの背景に表示される拡張機能である。しかも、ダウンロードマネージャやアドオンマネージャでは、ウィンドウを動かすと背景画像とアイコンが切り替わるというランダマイズ機能を、JavaScriptではなくCSSにより実現していて、その技術解説中に会場から驚きの声が上がっていた。

　「FireFoxの拡張機能は、主にHTMLとCSS、それにJavaScriptを使ったXULアプリケーションですが、私はJavaScriptの文法は分かりません。しかし、HTMLとCSSの知識があれば、拡張機能は作成できます」（裸電球氏）。

　Web地図サービスはGoogle Mapsだけじゃない

　オープンソース地理空間ソフトウェアの開発支援と促進を目的とするOSGeo財団日本支部の森亮氏が「Google Mapsに負けない! 今どきのオープンソースマッピングツール紹介」というセッションを行い、その中でさまざまなオープンソースの地図利用ソフトウェアが列挙された。

セッション中の森氏

• Webサイトに地図を配信する「MapServer」「MapGuide Open Source」
• ブラウザで扱いやすくするためにフリースクロールを実現するAjaxフレームワーク「Ka-Map」
• PostgreSQLで地理空間データを管理する「PostGIS」
• 地理データ抽象化ライブラリ「GDAL/OGR」
• 経路（ルート）検索エンジン「pgRouting」
• 住所から緯度経度に変換するジオコーディングエンジン「Geocoder.ja」
• 地理情報管理ツール「QuantumGIS」「UDig」「OpenJUMP」
• 地理情報分析ツール「GRASS」

　森氏はこれらについて「現在の地図利用ソフトウェアは、商用のものは廃れてきていて、WebAPIによるマッシュアップとオープンソースのソフトウェアの組み合わせが2大潮流になってきています。紹介したソフトウェアはオープンスタンダードにおいて技術的につながっていて、システム構築が容易になってきているため、地図利用分野でもオープンソースが普及してきています」と解説していた。

■ 関連リンク

• リッチクライアント ＆ 帳票 「メモリリークが少なくなったGoogle Maps APIのバージョン2が登場」

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イベントレポート JavaとOSSの最新事情を探る OSC 2007
	Page1 ExcelからJava、.NET、PHPのソースができる？ 拡張機能はHTMLとCSSだけで作れる Web地図サービスはGoogle Mapsだけじゃない
	Page2 Apache族最後の戦士Geronimo Ajax、EJB、JSF、O/Rマッピングを縫い合わす Javaのオープンソースコミュニティをのぞいてみよう Rubyのセッションは減少傾向―― 秋はどうなる？

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