Eclipseプラグイン実践テクニック（5）

Eclipse Formsでリッチクライアントアプリ開発



NTTデータ先端技術 竹添直樹
NTTデータ 基盤システム事業本部 岡本隆史
2007/1/19


　フォームにHTMLテキストを表示させるには？

　これまでの例でも見てきたとおり、Eclipse FormsはEclipse上にWebページライクなユーザーインターフェイスを提供します。FormTextウィジェットを使用することで、フォームにHTMLを表示することも可能です。FormTextウィジェットはFormToolkit#createFormText()で作成します。

リスト5　FormTextの使用例のコード
FormText formText = toolkit.createFormText(body, true);
formText.setText("<form><li>http://www.google.co.jp</li>"
    + "<li>http://www.yahoo.co.jp</li></form>", true, true);

　FormText#setText()の引数には、表示するテキスト、HTMLとしてパースするかどうか、テキスト中のURLを自動的にリンクにするかどうかを指定します。リスト5のサンプルは図10のように表示されます。HTMLの<li>が解釈され、リスト表示されています。

　また、URLの自動リンクをtrueに設定しているため、URL部分がリンクになっています。

図10　FormTextの表示例
図10　FormTextの表示例

　なお、FormTextは完全にHTMLを解釈できるわけではなく、利用可能なタグおよび属性にはかなり制限があります（利用可能なタグおよび属性については表2を参照してください）。

　また、文法は整形式のXMLになっている必要があるため、<br>は<br/>などと記述する必要がある点にも注意してください。

表2　FormTextで使用可能なタグ、属性の一覧
タグ 属性 説明
p   段落
vspace falseを指定すると垂直方向の間隔を空けません（デフォルトはtrue）
li   個条書き
vspace falseを指定すると垂直方向の間隔を空けません（デフォルトはtrue）
style 個条書きのスタイルをbullet、text、imageのいずれかで指定
value style=bulletの場合：使用しません
style=textの場合：各項目の先頭に表示される文字
style=imageの場合：各項目の先頭に表示される画像
indent 項目の先頭と、項目のテキスト間のインデント
bindent 項目のインデント
img   画像
href 画像（FormText#setImage(String key, Image image)でセットした画像のキーを指定）
align 垂直方向の位置をtop、middle、bottomで指定
a   リンク
href リンク先のURL
nowrap 折り返さない場合true、折り返す場合false
b 太字
br 改行
span   書式
color 色（FormText#setColor(String key, Color color)でセットしたフォントのキーを指定）
font フォント（FormText#setFont(String key, Font font)でセットしたフォントのキーを指定）
control   任意のSWTコントロール
href コントロール（FormText#setControl(String key, Control control)でセットしたコントロールのキーを指定）
fill 水平方向の余白を埋めるかどうかをtrueまたはfalseで指定
align 垂直方向の位置をtop、middle、bottomで指定


　Eclipse RCPにも役立つ

　今回で作成したサンプルは、ここからダウンロードできます。Eclipse Formsを使用したエディタやビューのサンプルを多数含んでいますので、参考にしていただければ幸いです。

　Eclipseのユーザーインターフェイスの中ではPDE以外でもEclipse Formsが使用されている部分があります。また、Eclipse RCP（Rich Client Platform）で見た目の良いユーザーインターフェイスを作成したい、という場合にも、Eclipse Formsが役立つことでしょう。通常のSWTと組み合わせて、見栄えも使い勝手も良いユーザーインターフェイスを提供できるようにしたいものです。

編集部注：Eclipse RCPについては、コラム「安藤幸央のランダウン、第26回 Eclipse 3.0のリッチクライアントとは？」を参照してください。

　次回で本連載も最終回となります。これまでは、既存のAPIや拡張ポイントを使用してEclipseを拡張する方法を解説してきましたが、最後に、「自分で拡張ポイントを作る方法」について触れたいと思います。
3/3

　INDEX
第5回　Eclipse Formsでリッチクライアントアプリ開発
  Page1
Eclipse FormsによるUIは一味違う
Eclipse Formsを使ってみよう
  Page2
Eclipse Formsならではのレイアウト・マネージャを使う
Page3
フォームにHTMLテキストを表示させるには？
Eclipse RCPにも役立つ


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