ユーザーの挑戦
フリーAPサーバで音楽ダウンロードサイトを構築
羽生章洋
有限会社エア・ビート
取締役兼CEO
2001/1/24
後編 バーチャル組織で成功した理由と「Enhydra」の優位性
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遠隔地に離れたメンバー同士で開発 |
■デザイナーとプログラマの完全分業
冒頭でもお話ししましたが、私たちはこのプロジェクトを遠隔地に離れたメンバー同士で完成させることができました。まず、デザイン面ですが、ユーザーインターフェイスの原案となるHTMLを作成して、これをデザイナーの方にそのまま投げてデザイン化していただきました。それを受け取った後、ID属性の付与とPO作成を担当するメンバーと、バックエンドのデータベースアクセスや各種のビジネスロジックを作るメンバーとに分かれて並行作業を行いました。
結合テストの様子。この段階でも画面デザインの変更要求が発生したが、デザインとビジネスロジックが完全分離できるため円滑に作業を進めることができた |
ある程度出来上がった状態で結合を行うのですが、この時点でデザインをさまざまに変更したいケースが出てきました。そこでデザイナーの方に依頼事項を投げてHTMLの修正を行ってもらっている間、POの開発も並行して行っていました。HTML-PO-BO-DOというEnhydraのアプリケーションフレームワークは分業の際の指針として非常に分かりやすく、またJBuilderのIDE上で具体的にフォルダが区別されていることからも、リソース管理の際の混乱を随分と減少できたと感じています。
■わずか3カ月で構築を終了
サイト自体はHTMLの枚数にして100枚程度の規模をデザイナー1名+プログラマー平均3名の体制ながらも、無事に3カ月で作り上げることができました。しかもプログラマーはJava初体験のメンバーもいればRDBMS初体験のメンバーもいたり、何よりもEnhydraそのものが全員初めてであったわけですから、Java+RDBMSという組み合わせ、Javaという言語の持つ生産性や習得の容易性、アプリケーションサーバ導入のメリット、そして何といってもEnhydraのポテンシャルの高さは正当に評価して差し支えないと考えています。
とはいえ、何も問題がなかったわけではありません。いま改めて見直すと、試行錯誤の結果、かなりソースコードが荒れています。また当初パフォーマンスに非常に問題のある個所がありました。DO(データオブジェクト)と呼ばれるEnhydra固有のEJBに似たDBアクセスの機能が生成するSQLの記述に問題があるケースがあり、これらの個所は手で直接書き直したりということをしています。
これらについては、利用者の方々からの多くのご意見を反映させる形で、すでに竜田川(本社近くを流れる川の名称)というコードネームで次期バージョンのサイト開発に入っています。このプロジェクトでもEnhydraを引き続き採用します。今回の取り組みの中で得られたノウハウを整理して投入するとともに、先に書いたBARRACUDAや、現在はアルファ版ではありますがEnhydra Enterprise 4.0によるJ2EEの適用など、限りなく低予算でありながらも大手企業のように予算をお持ちのところにも決してひけを取らないような技術的先進性にもチャレンジし続けていきたいと考えています。当社のような小さな企業においてこのように積極的な取り組みが可能であるのも、Enhydraの優秀性というのが一因としてありますし、何よりもEnhydraが開発に携わったメンバーが非常に愛着を高められるものであったことが大きなポイントです。当社の中ではEnhydraは非常に高い評価を得ています。
今後は、今回Enhydraによって得られた技術的な裏付けを基盤として、いよいよ利用者の方にとって本当に喜ばれるサイト作りに本格的に取り組んでいきます。オープンソースのアプリケーションサーバが持つ可能性を感じていただく意味でも、ぜひ今後ともエア・ビート・ドットコムの取り組みにご注目いただければ幸いです。
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