Linux Book Review
開発言語/環境から見るDBプログラミング
中澤勇
@IT編集局
2001/10/27
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PostgreSQLやMySQLなどのデータベースの解説書は、必ずPerlやPHP、C言語やJavaによるプログラミングについても触れている。データベースとプログラミングは不可分ともいえるので、当然のことだろう。
今回は少々切り口を変えて、開発言語/環境をベースにデータベースプログラミングを解説した書籍を集めてみた。使いたいデータベースを基に書籍が選べるなら、逆に使いたい言語/環境から選べてもいいはずだ。
さすがに主要言語/環境すべてを網羅することはできなかったが、特に人気・需要が高いと思われるPerl、PHP4、Kylixはデータベースプログラミングに特化した書籍が出版されている。
Perlでデータベースプログラムを書く人必携 |
入門Perl DBI Alligator Descartes、Tim Bunce 著 オライリー・ジャパン 2001年8月 ISBN4-87311-050-5 3800円 |
Perlでデータベースプログラミングを行う際に欠かせないのが、DBI(DataBase Interface)である。DBIは各種のデータベースをPerlで扱うためのインターフェイスで高い汎用性を誇り、覚えておいて損はない。本書はこのDBIにフォーカスして、Perlによるデータベースプログラミングを追究したものである。
本書では、まずDBIを使わずにプレーンテキストでデータを管理する方法から始めてデータベースプログラミングの基礎、考え方を説く。そしてDBIのアーキテクチャ、ハンドルやデータソースなどの概念、接続・切断・エラー処理といった処理の解説が登場する。DBIの詳細な仕様やドライバ(DBD::ADO、DBD::DB2など)ごとの情報や扱えるデータ型、SQL方言などがまとめられているのも便利だ。構築したデータベースアプリケーションのターゲットデータベースを変更したり、複数のターゲットデータベースに対応するアプリケーションをプログラムする際などに重宝するだろう。
データベースプログラミングというとPHPなどが使われることが多くなってきているが、「昔から使い慣れたPerlが一番」という人もいるだろう。DBIを使うなら、ぜひ本書を手元に置いておきたい。
データベースプログラミングにフォーカスしたPHP入門書 |
PHP4でカンタンWebDB構築ガイド PostgreSQL7編 屋比久友秀 著 秀和システム 2001年2月 ISBN4-7980-0082-5 2800円 |
Webやデータベースとの親和性が高いPHPは、WebDBアプリケーションの構築に最適な言語の1つだ。本書は、PHPの最新版であるPHP4を使ってWebでデータベースを操作するアプリケーションの構築方法を解説したものである。
ApacheやPHP4、PostgreSQLのインストール/設定方法の解説から始まり、PHP4のコーディングの基本へと進む。一通り言語仕様の解説が終わると、本書のキモであるPHPLIBの仕様とPHPLIBを利用したアプリケーション構築の解説である。ここである程度まとまった規模のアプリケーションが登場する。ここまで通読していれば、サンプルアプリケーションのソースコードを理解するのも難しくないだろう。また、全体の半分近くを占めるPHP関数リファレンスもなかなか有用だ。関数ごとにサンプルコードが用意されているため、初心者が関数の使い方を学ぶのに最適である。
惜しむらくは、PHPの仕様解説と関数リファレンスがページの大部分を占めてしまっており、「WebDB構築ガイド」という特徴が十分に生かし切れていないところだ。だが、この点を割り引いてもPHP4の入門書としてお勧めできる。
ビジュアル開発環境でデータベースプログラミング |
Kylixデータベース構築入門 InterBaseを使ったクライアント/サーバーシステム開発 中西豊 著 カットシステム 2001年9月 ISBN4-87783-042-1 2800円 |
データベースプログラミングに特化したKylix本が登場した。それが、これから紹介する『Kylixデータベース構築入門』である。付録CD-ROMにはフリーの「Kylix Open Edition」はもちろん、「Kylix Server Developer」および「InterBase 5.6」の60日トライアル版も収録されており、Open Editionでは不可能なデータベースプログラミングをすぐに試してみることが可能だ。
本書では、全体を通して書籍管理アプリケーションを構築するという構成になっており、そのうえで必要になるデータベースの作成やユーザー管理機能(データベースの操作などに関係)、ユーザーインターフェイス、Kylixによるデータベースの操作方法などを順番に解説している。最終的にはかなり凝ったアプリケーションが完成するというわけだ。ソースコードも多く掲載されているが、各部の解説は控えめになっている。そのため、掲載されているソースコードを理解するにはある程度Object Pascalの知識が必要になる。
例外処理に1章を割いていたり、現バージョンのKylixの問題点が指摘されているなど、実用的なプログラムの開発に必要な情報も含まれている。本書を読めば、プログラミングのヒントが見つかるだろう。
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Linux Square Book Review |
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