Linux Book Review
2002/3/23更新
このページでは、Linux/UNIX関連書籍を、新旧を問わず紹介していきます。
バイブル『DNS & BIND』の第4版がついに登場 |
DNS & BIND 第4版 Paul Albitz、Cricket Liu 著 オライリー・ジャパン 2002年2月 ISBN4-87311-074-2 5200円 |
本書についていまさら語ることはないようにも思えるが、やはり紹介しないわけにはいかないだろう。名著『DNS & BIND』の第4版がついに登場したのだから。英語版の刊行以来、日本語訳の発売を待っていた人は多いことだろう。
内容はまさに書名のとおり。すでに高い評価を得ているのでその概要については省略し、第4版で書き換えられた部分に注目してみよう。
最も重要な点は、BIND 9.xに対応した解説が加わったことだろう。BIND 9.xを標準採用したディストリビューションも増え始めているので、BIND 9.xに対応した信頼できる書籍の存在は心強い。当然ながら、BIND 9.xで追加されたセキュリティ機能についても詳述されている。トランザクション署名「TSIG」やDNSセキュリティ拡張「DNSSEC」、ファイアウォールに対応したネームサーバの設定方法などは必読である。
また、動的更新(Dynamic DNSとかDNS UPDATEと呼ばれるもの)に関する解説が第3版よりも強化されている。IPv6の正引き/逆引きの解説やWindows 2000とBINDの併用方法が加筆された点も見逃せない。
第3版から第4版になっても、変わらないことが1つだけある。DNSサーバの管理者が必ず読むべき「名著である」ということだ。
受験しない人にもオススメの試験対策本 |
LPI Linux認定試験 クイックリファレンス Jeffrey Dean 著 オライリー・ジャパン 2002年1月 ISBN4-87311-070X 4900円 |
本書は、LPIC(Linux Professional Institute Certification)のレベル1(101テストおよび102テスト)を対象とした試験対策本である。
2部構成になっており、I部は101テスト、II部が102テストの範囲をカバーする。それぞれLinuxの設定・管理方法やコマンドの使い方などを解説しつつ、各所に「試験対策ポイント」というコラムを設けて注意点を指摘しているなど、受験参考書のような作りになっている。各章の最後には復習/演習問題、そして模擬試験とテストの要点が用意されており、各テストでどのような問題が出るのかを体験することもできる。この辺りは赤本的でもある。
本書を読むと、LPICレベル1といえども幅広い知識が要求されることが分かる。ソフトのインストールでは、ソースのコンパイルだけでなくRPMやdebを使う方法も含まれるため、特定のディストリビューションの知識だけでは十分ではない。また、筆者はLAN環境でばかり使っているため、PPPの設定方法が完全に盲点になっていた。普段使わない機能についても目を向ける必要がある。
本書は、基本的にはLPICレベル1試験を受ける人が対象だ。だが、Linux全般について要領よくまとめられているので、受験しない人でも手元に置いておくと重宝しそうだ。
Kylixプログラミングを始めよう |
Kylixプログラミング入門 中村拓男、大坪保行 著 ソフトバンクパブリッシング 2001年7月 ISBN4-7973-1662-4 2700円 |
Linux用の本格的なビジュアル開発環境として注目を集めたBorland Kylix。本書は、その初の解説書である。
KylixはDelphi for Linuxともいうべき存在であり、Delphiの知識がほぼ通用する。その意味では、すでに多く出回っているDelphi本が大いに参考になるわけだが、やはりKylixとDelphiはイコールではないし、Linux特有の部分を意識する必要がある。本書は、読者がDelphiをまったく知らないという前提で書かれており、これからビジュアルプログラミングを始めようとしている人には最適である。
Kylixの概要からインストール/設定方法、IDE(統合開発環境)各機能の使い方、Object Pascalの解説と続く。続いてテキストエディタの作成方法を段階を踏んで紹介しており、ここまでくればKylixによる開発の流れをマスターできる。後半はKylixによるグラフィック操作やデバッグ、そしてKylixの魅力の1つでもあるデータベースプログラミングやインターネットプログラミング、Webサーバアプリケーション開発など、やや高度な開発方法の解説だ。
全体的に図版を効果的に使っており、解説は非常に分かりやすい。これからKylixを始めようとしているすべての人にお勧めしたい。
パッケージを作りたくなったらコレを読め! |
「もっと知りたい」人のための パッケージ管理&構築入門 西村めぐみ 著 ソシム 2001年3月 ISBN4-88337-191-3 2600円 |
本書は、RPM(Red Hat系)、deb(Debian系)、tgz(Slackware系)といった主要パッケージの構築方法や管理方法に真っ向から取り組んだ力作である。各パッケージのインストールや管理の方法、そしてパッケージの作り方を詳細に解説している。
パッケージの作成となると、必ずソースのコンパイルの話が付きまとう。この部分についてもなおざりにせず、各種のコツを交えながら説明している。「よくもこれほどまで」と思うほど多岐にわたる周辺知識についても触れている。例えば、ソースのmakeを扱う章ではpatchやdiffコマンドの使い方からパッチの作り方、CVSの仕組みや使い方にまで話が及んでいる。しかし、それでも全体として脱線したり焦点がボケたりしていないところは高く評価したい。
本書には、ソフトウェアのインストールおよびパッケージに関するあらゆる情報が詰まっている。読者が内容を消化し切れないのではないかと心配になるほどである。自分でバイナリパッケージを構築してみたい、と思ったら迷わず本書を手にすることだ。
このジャンルでは、日本語でこれよりも詳しい書籍は存在しないだろう。
PHPを学ぶならコレ! |
プロフェッショナルPHPプログラミング Jesus Castagnetto、Harish Rawat、Sascha Schumann、Chris Scollo、Deepak Veliath 著 インプレス 2001年 ISBN4-8443-1483-1 5200円 |
データベースとの親和性や少ないオーバーヘッドで人気のサーバサイドスクリプト言語PHP。本書は、このPHPの最新版であるPHP4を使って、さまざまなインターネット技術やデータベースと連携させるプログラミング方法を解説したものである。
書名に「プロフェッショナル」とあるが、ひるむ必要はない。実際にはPHPの歴史からインストール/設定方法(LinuxおよびWindows)、サーバサイドスクリプトの概念、初歩的なコーディングという具合に、基本から丁寧に解説されている。BASICやPerlを多少でも使ったことがある人であれば、問題なく理解できるだろう。
とはいえ、本書は単なる入門書ではない。演算子、条件文、関数や配列といった基本仕様の解説の後は、ファイルやデータベースの操作、LDAPやXMLの利用、WebサーバおよびPHP自体のセキュリティなど、すぐにでも試したくなるプログラミング技法が詳説されている。また、後半ではショッピングカートアプリ、Web掲示板、Webメール、データベースアプリなど、具体的なアプリケーションの開発方法まで紹介されており、裏表紙でうたわれている「現場で使われる実践的なサンプルを使用」に偽りはない。
PHPの解説書は多いが、本書はその中でも特に優れたものの1つといえる。PHP4に興味のあるすべての人に自信を持ってお薦めできる1冊だ。「PROGRAMMER TO PROGRAMMER」というこのシリーズ。今後の続刊が楽しみである。
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Linux Square Book Review |
- 【 pidof 】コマンド――コマンド名からプロセスIDを探す (2017/7/27)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、コマンド名からプロセスIDを探す「pidof」コマンドです。 - Linuxの「ジョブコントロール」をマスターしよう (2017/7/21)
今回は、コマンドライン環境でのジョブコントロールを試してみましょう。X環境を持たないサーバ管理やリモート接続時に役立つ操作です - 【 pidstat 】コマンド――プロセスのリソース使用量を表示する (2017/7/21)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、プロセスごとのCPUの使用率やI/Oデバイスの使用状況を表示する「pidstat」コマンドです。 - 【 iostat 】コマンド――I/Oデバイスの使用状況を表示する (2017/7/20)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、I/Oデバイスの使用状況を表示する「iostat」コマンドです。
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