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eMbedded Visual Tools 3.0で CE用データアクセスアプリケーションを作る(1) eMbedded Visual Tools 3.0でCEアプリを開発 マイクロソフト アジア リミテッド プロフェッショナル サポート本部 井上裕章 2001/7/6
本連載では、Windows CEのアプリケーション開発ツールである「eMbedded Visual Tools 3.0」を紹介し、CEのアプリケーション開発について解説していきます。そして、ADOCEを利用し、ネットワークデータベースとデータの同期をとるデータベースアクセスアプリケーションのサンプルを作ります。 Windows CEと聞くと、Pocket PCやHandheld PCといった携帯端末を思い浮かべる方も多いと思いますが、eMbedded Visual Tools 3.0は、それらWindows CEデバイスのアプリケーション開発に特化したツールです。 Windows 2000などのデスクトップWindowsのアプリケーション開発者から見ると、その動作環境の違いなどからWindows CEのアプリケーションを開発するためには、何か特別の知識や手法が必要なのではないかと思われるかもしれません。しかし、eMbedded Visual Tools 3.0は、Visual Basic 6.0やVisual C++ 6.0の統合開発環境(IDE - Integrated Development Environment)を基本に開発されており、これらの開発ツールを使った経験があれば容易にWindows CEのアプリケーションを開発できます。 本題であるeMbedded Visual Tools 3.0に入る前に、そのターゲットとなるWindows CEについて簡単に解説しておきましょう。
Windows CEは、組み込みシステム用のオペレーティングシステムであり、その最新バージョンであるWindows CE 3.0では、高度なリアルタイム機能のサポート、Windows Media技術やDirectX APIなどのマルチメディア機能のサポートなどにより、工業用コントローラ、POS端末、カーナビゲーション、携帯電話など数多くのデバイスで使用されています。 それらのデバイスの中で最もなじみ深いものは、Pocket PC(Microsoft Windows for Pocket PC)やHandheld PC 2000(Microsoft Windows Powered Handheld PC 2000)などの携帯情報端末ではないでしょうか。Pocket PC、Handheld PC 2000は、オペレーティングシステムとしてWindows CEを採用し、さらに携帯情報端末に必要な最新のソフトウェアを組み込んだプラットフォームです。現在では、多くのメーカーからこのプラットフォームを使用した製品が販売されています。 これらのデバイスに対応したアプリケーションは、特別なものに見えるかもしれませんが、実際はそうではありません。Windows CEアプリケーションの基本技術がデスクトップWindowsのアプリケーションとあまり変わらないことをAPIとユーザーインターフェイスの2つの側面から見てみましょう。 開発者から見た場合、オペレーティングシステムの機能を最大限に利用できるのはAPI(Application Programming Interface)ではないでしょうか。これまで、デスクトップWindowsのWin32 APIを使用してアプリケーションを開発された方も多いと思いますが、Windows CEにおいても、Win32 APIが用意されているので、Windows CEの豊富な機能をアプリケーションから使用することができます。また、デスクトップWindowsのWin32 APIのサブセットとなっているので、多くのAPIは名称、パラメータからその仕様に至るまでデスクトップWindowsのAPIと変わりません。ただし、一部のAPIに関しては、Windows CEの機能に合わせて変更が加えられていたり、サポートされていない場合がありますので注意が必要です。 ユーザーインターフェイスに関しては、デバイスの仕様に合わせていくつかの違いがありますが、ウィンドウを動作させるための基本的な概念に違いはありません。これは、デスクトップWindowsと同様、ウィンドウプロシージャとメッセージを基本にして動作しているためです。従って、デスクトップWindowsでの開発経験は、そのままWindows CEアプリケーションの開発に生かされるわけです。違いは、ディスプレイの大きさからくる制約や、メモリやプロセッサのリソースを最小限にするために最適化されているコントロールなど、見た目の部分がほとんどです。
「Windows CEデバイス用のアプリケーション開発ツール」といってもPocket PCなどで動くわけではなく、Windows 2000などのデスクトップWindowsで動作します。以下がアプリケーション開発の基本的な流れです。
Microsoftは、これまでにも「Windows CE Toolkit for Visual Basic 6.0」や「Windows CE Toolkit for Visual C++ 6.0」といった開発ツールを提供してきました。これらはそれぞれVisual Basic 6.0やVisual C++ 6.0にアドインする形で使用していましたが、eMbedded Visual Tools 3.0は単独で動作する製品であり、eMbedded Visual Basic 3.0とeMbedded Visual C++ 3.0という2つの言語製品とSDKを含んでいます。従って、ほかの言語製品などは必要ありません。
なお、図2中の緑色の製品は無料で提供されています。eMbedded Visual Tools 3.0も無料で提供されており、これだけでも、Windows CE のアプリケーション開発のハードルがこれまでと比べ、低くなっているといえます。 では、eMbedded Visual Tools 3.0に含まれる個々の製品について説明していきましょう。 ■eMbedded Visual Basic 3.0 eMbedded Visual Basic 3.0では、Form Designerを使って、コントロールをフォームにドラッグ&ドロップするだけで、アプリケーションが短時間で設計できます。また、IDEに統合されたデバッガにより、デバイス上で実行されているアプリケーションをデバッグすることが可能です。Visual Basicの利点である、アプリケーションを短期間で作成、デバッグ、実行、配布するという特徴を備えています。
■eMbedded Visual C++ 3.0 eMbedded Visual C++ 3.0では、Windows CEが提供するAPIに直接アクセスでき、デバイスやWindows CEのすべての機能を使用したアプリケーションを開発することができます。Visual C++ 6.0の特徴である、ウイザード機能、MFC(Microsoft Foundation Classes)、ATL(Active Template Library)、デバッガ機能など、多くの機能を備えています。
■SDK Windows CEデバイスは、前述したようにさまざまな種類が存在しているため、各デバイスの特徴に合わせたアプリケーションを開発するためのSDKが必要となります。eMbedded Visual Tools 3.0には、Palm-size PC 1.2、Handheld PC Pro、Pocket PC、Handheld PC 2000向けのSDKが含まれており、各デバイス向けのヘッダファイル、ライブラリファイル、ランタイムモジュール、サンプルプログラムなどが用意されています。そのほかの組み込みデバイスに対応したアプリケーションを開発する場合には、デバイス専用のSDKが必要かどうか、ハードウェアベンダに問い合わせる必要があります。 ◇ 今回は、eMbedded Visual Tools 3.0の全体像について説明しました。画面イメージなどからVisual Basic 6.0やVisual C++ 6.0にとてもよく似た製品であるということが理解できたかと思います。しかし、注意深く見ていくと、取り除かれている機能があったり、新しいメニューが追加されていたり、Windows CE向けに再設計されていることに気付きます。 次回以降は、下記のような内容を予定しています。
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