Windows CE
【ウィンドウズ・シー・イー】
通信機器やホームエンターテインメント機器、モバイル情報機器などでの利用を想定して開発されたWindowsファミリのOS。特定のプラットフォームに依存しないアーキテクチャを備えており、さまざまなハードウェアに搭載することが可能である。Windows CEの「CE」は「Consumer Electronics」の略だとする説があるが、マイクロソフトからの正式なアナウンスはない。Windows 98やWindows NTなど、WindowsファミリOSは基本的にパッケージ販売されるが、機器の特性からいってWindows CEはROMなどでハードウェアに組み込まれるのが一般的であり、OS自体はパッケージ販売されない。
Windows CEには、オペレーティングシステムだけでなく、ワードプロセッサ(Pocket Word)やスプレッドシート(Pocket Excel)、WWWブラウザや電子メールクライアントなどが標準で付属している。これらはパッケージで販売されるフル機能のOfficeのサブセット版で、これらで作成したドキュメントはOfficeとの互換性がある。
最初のWindows CE(Ver.1.0)は、1996年末に米国でハンドヘルドPCに搭載されて発売が開始された。国内では、翌年の1997年6月に日本語版Windows CE Ver.1.01を搭載したハンドヘルドPCがNECとカシオから発表された(NECはMIPSプロセッサ搭載機、カシオは日立SHプロセッサ搭載機)。この日本語版Windows CE 1.01では、日本語変換システムとして、MS-IME 97 for WindowsをベースとするMS-IME 97 for Windows CEが組み込まれた。このMS-IME 97 for Windows CEには、スタイラスペンを利用した手書き文字認識機能が用意されており、手書認識による漢字入力が可能にされた。
その後1997年9月に、米国で次バージョンであるWindows CE Ver.2.0が発表された(日本語版Windows CE 2.0の発表は1998年3月)。このVer.2.0では、タスクスケジューリングや仮想メモリ機構などの改良、UNICODEの完全サポート、32bitカラーディスプレイサポート、Windows Socket APIサポート、WinINET APIサポート、ActiveXコントロールのサブセットAPIサポートなどが新たに追加された。また標準アプリケーションでは、電子メールアプリケーションにおけるアタッチメントのサポート、VGA出力が可能なPowerPoint(デスクトッププレゼンテーション・ソフトウェア)のサブセット版が追加された。なおこのWindows CE 2.0では、キーボードを備えたハンドヘルドPCだけでなく、キーボードを持たないパームサイズPC(表示面をペンで操作する)や、車載型のAuto PCも登場した。
Windows CEは、マルチタスク、マルチスレッドに対応した32ビットオペレーティングシステムであり、APIとしては、Win32のサブセットをサポートする。基本的にAPIレベルでは、いずれのCEマシンも同等であるが、メーカーによって搭載されるマイクロプロセッサが異なるので、コンパイル後のバイナリプログラムをそのまま別のCEマシンで実行することはできない(これには、プログラムの再コンパイルを行う必要がある)。
Windows CEアプリケーションの開発環境を構築するには、Microsoft社が提供するC++プログラム開発環境のVisual C++に対し、CE用のツールキットを追加インストールする。これにより、ターゲットとしてWindows CEが追加される。この開発環境には、Windows NTで動作するWindows CEエミュレータが用意されており、このエミュレータでひととおりの動作テストを行った後、本来のCEマシン向けにコンパイルし(ターゲットとなるマイクロプロセッサを指定する)、実機でのテストを行う。
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