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携帯電話対応
コンテンツ変換ミドルウェアカタログ

佐藤 崇
2001/8/1

 

紹介する製品
CAFEMOON C3GATE Sever
x-Servlet
UbiquinoX AnyMobile
cMagic for WTP、cMagic.i for WTP
MobilenetServer/WEB
OpenKSP

 携帯電話向けのコンテンツが花盛りだが、コンテンツを提供するに側にとってみれば、携帯電話事業者(キャリア)ごとに記述言語が違うなどさまざまな違いが存在するため、すべてのキャリア向けに対応するコンテンツの作成は困難なのが実情だ。

 そのような問題を解決するためにコンテンツ変換ミドルウェアが誕生した。本稿では、携帯電話に対応したコンテンツ変換ミドルウェアを集め、主にその機能を解説していく。

 

■コンテンツ変換が必要となる3つの理由

 キャリアごとにコンテンツの記述言語が違うことはよく知られているが、それ以外にもコンテンツ変換が必要となる要因がいくつかある。順に解説していこう。

1 コンテンツ作成のための記述言語が統一されていない

 携帯電話向けのWebコンテンツは、基本的にマークアップ言語で記述されるが、世界的にも日本国内でもその仕様はバラバラだ。国内では、iモード向けのiモード対応HTMLとEZweb向けのHDML、そしてJ-スカイ向けのMMLもしくはJ-スカイ対応HTMLの4つだ(MMLの利用にはJ-フォンとNDAを締結する必要がある)(表1)。また各記述言語には、複数のバージョンが存在し、それを最初から把握してコンテンツを開発することはかなり複雑だ。

iモード
iモード対応HTML 1.0 W3Cに提出されたCHTMLをベースに501i向けに作成されたもの。
iモード対応HTML 2.0 <BLINK><MARQUEE>などのタグを追加。アニメーションGIF、カラーコードなどにも対応している。502iシリーズに対応。
iモード対応HTML 3.0 iアプリ対応やアクセスした端末の製造番号表示機能などの機能が追加された。503iシリーズに対応。
EZweb
HDML 3.0 旧Phone.comが開発した世界的に利用されているHDML。カード&デッキ、ラベル機能などが特徴。
HDML 3.1 HDML 3.0をベースに、WMLに対応するいくつかの拡張機能が加わった。
WML 1.1 WAPフォーラムで策定されたもので、ヨーロッパなどで販売されている端末ではこれに対応しているものが多い。EZwebでも対応。
WML 2.0(WAP2.0) 2001年中に発表されるといわれている新規格。XHTML BasicとWMLを融合した形となるといわれている。
J-スカイ
MML MML(Mobile Markup Language)は、HTML 4.0のサブセットで、タグに記述される文字列を短縮しているのが特徴。
J-スカイ対応HTML J-フォンののネットワークには、HTMLをMMLに翻訳するゲートウェイがあるため、その変換に対応したHTMLで記述する。サウンドやバイブレーションの機能にも対応。
表1 各キャリアで使われる記述言語

 また、記述言語だけではなく、絵文字や画像フォーマットについても注意が必要だ。特に、画像は、キャリアごとに使えるフォーマットや色数が異なっている(表2)。画像サイズについては次の項で述べるが、端末により差異が出てくる。PCと同様、古い端末からアクセスする人の数はゼロにはならないので、時間が経てば経つほどますますコンテンツ制作のための仕様が複雑化していくことは避けられない。

iモード EZweb J-スカイ
GIF BMP、PNG PNG、JPEG
256色 4階調、256色 256色
表2 各キャリアで使われる画像フォーマット

2 端末による機能の差別化

 携帯電話にはPCと異なり、統一化された標準OS、標準アプリケーションといったものがまだ存在していない(いままさにその競争が始まろうとしているというのが正確なところだろう)。各端末メーカーは、「標準」というものを見据えながら、自分たちの端末の商品力を高めるために拡張機能を付けることに必死だ。もっとも日本の携帯電話の場合、通信キャリアが携帯電話としての機能・デザイン・仕様をかなり細かく端末メーカー側に発注したうえでの開発となり、通信キャリアの影響力が色濃く出ることは有名な話で、表面的な携帯電話の機能はメーカーごとにそれほど大差がないように見える。ただ、コンテンツ開発者から見ると、着信メロディの対応データ形式の違い(和音数・対応フォーマット)、表示画像・液晶カラーパレットの差など、互換性を考えると非常に頭の痛い問題が山積している。また、端末によってサポートされるキャッシュの容量にも違いがあるので、コンテンツ作成の際に1ページの大きさが左右される。

端末種類 キャッシュ容量
501i 2Kbytes
502i/209i以降 6〜10Kbytes
EZweb(モノクロ)  1.5Kbytes
EZweb(カラー) 8Kbytes
J-スカイ対応端末 6Kbytes
表3 サポートされる各端末のキャッシュ容量の差

3 買い替えサイクルの短縮化で、
より新しい技術・仕様への対応が求められる

 2の問題をさらにややこしくしているのが、携帯電話の買い替えサイクルだ。よくいわれるのが「2シリーズおきに端末が買い替えられる」というパターンだが(例えば、501iを買った人は次に503iを購入する)、このことは、端末に新機能が搭載され、それに対応する形でコンテンツ作成者側も考えていかなければならないことを意味している。着信メロディの和音数が典型的だが、端末ごとの液晶のドット数なども重要な問題となってくる。また端末の発売サイクルも年2回と早まってきており、そのたびにコンテンツのリニューアルかシステム変更を余儀なくされることにもなりかねない。

 このような要因により、携帯コンテンツを開発し、コンテンツビジネスを展開していくためには、

  • なるべく初期のころからノウハウを集積する
  • 技術力とサイクルの速い携帯電話に対応できる体制・人材の整備・体力補充

といったことが必然的に求められる。ただし、これらをすべてのコンテンツプロバイダに期待することは非常に難しい。また携帯電話向けコンテンツは、それ自体をビジネスとして掲げている会社(モバイルコンテンツプロバイダ)だけではなく、マーケティング的なソリューションを求めて参入する場合もあれば、インターネット総合サービスの一環として参入するケースもある。そうした勢力にとって携帯電話コンテンツ開発現場のこうした事情は、コンテンツ参入への大きな足かせとなる。

 そこで彼らがとる典型的な手段といえば、最も市場が大きくコンテンツ開発が容易である(情報が幅広く出回っている、PC向けWebコンテンツと比較して最も開発工程が類似している)との観点から、iモード向けにまず対応し、余力があればほかのキャリア向けに対応するというものだ。

 コンテンツ変換ミドルウェアは、まさにこうした現状に対応して登場したものといえ、主に次のような機能が必要とされる。

  1. 記述言語・画像フォーマットのテクニカルな変換
  2. 端末ごとの細かい対応
  3. 社内データベースシステム、暗号化処理・セッション管理・SSL対応などとのシームレスな連携・開発

 コンテンツ変換という意味合いでは、1の機能が重要となるのはいうまでもない。しかし、今後記述言語は統一される方向に向かうことを考えると、23の機能も重要なファクターとなる。123の機能を組み合わせ、上記で述べた携帯電話コンテンツをめぐる3つのハードルを解決するソリューションウェアとして提案することができれば、まだまだその市場の潜在性は高いといえるのではないだろうか。

 それでは、次のページで、現在発売されている主なコンテンツ変換ミドルウェアを順に見ていくことにしよう。

  1/2 コンテンツ変換ミドルウェア

Index
コンテンツ変換ミドルウェカタログ
コンテンツ変換が必要となる3つの理由
  コンテンツ変換ミドルウェア
CAFEMOON C3GATE Sever/バーテックスリンク
x-Servlet/フレックスファーム
UbiquinoX AnyMobile/アルゴグループ
cMagic for WTP、cMagic.i for WTP/プロファイブ
MobilenetServer/WEB/NECソリューションズ
OpenKSP/京セラコミュニケーションシステム
コンテンツ変換の今後
 

 



 


 
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