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2000年を振り返ると、さまざまな無線通信規格が具体化し、対応製品も数多く登場した年だった。そうした規格の1つにBluetoothがある。Bluetoothは近距離無線通信の本命と目されており、特にPCとそれ以外の機器を相互接続する無線規格として期待されている。2000年には、PCカードなどPCの周辺機器として製品化されたが、2001年には携帯電話などのモバイル機器や家電製品などにもBluetoothが搭載され、PCも含めて無線で相互接続されることが予定されている。 本書は、このBluetoothの仕組みや技術を比較的易しく解説している入門書である。想定している対象読者は、これからBluetoothに対応するハードウェア/ソフトウェアを開発する技術者だ。しかし、開発者でない人にとっても、Bluetoothを知らない状態から、その技術を大まかに把握するにはちょうどよい内容になっている。 1章では、イーサネットなど従来のネットワーク規格とBluetoothを比較し、規格策定面でのBluetoothの特徴をまとめている。2章では、IEEE 802.11やIrDAなどほかの無線通信規格とBluetoothを技術面で比較することで、その違いや特徴を明らかにしている。 3章からは具体的なBluetoothの技術解説で、ネットワークや無線通信の専門用語に慣れていないと読み進めるのに多少苦労するかもしれないが、内容自体はポイントを押さえて簡潔にまとめられている。Bluetoothの重要な特徴であるプロファイルについては、4章で解説している。 5章には実社会へ及ぼすBluetoothの影響について記されているが、電波法や人体への影響など興味深い事柄だけに、もうすこし詳しく解説してほしかった。6章は開発者向けにBluetoothの規格策定や認定の仕組みを記している。開発者でない読者には、7章にあるBluetoothの試作品や製品の紹介の方が興味深いだろう。ここでは、さまざまな分野の製品にBluetoothが実装され、どのような使用方法が想定されているのかが分かる。最後の8章では、Bluetoothの最新動向や将来の性能向上の予定などが記されている。 新規格の解説書といえば、技術に絡まない表層的な解説と将来予測に終始しているものか、あるいは非常に詳細な技術解説のオンパレードで開発者以外の人には読み難いものか、という両極端な場合が多い。その点本書は、その中間に位置する本といえる。開発者ではないが、Bluetoothの概念・技術を手っ取り早く把握したい、という人には最適な書籍だ。比較的安価な点も評価できる。
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