Windowsを使っていて厄介だと感じるのは、新しいハードウェアをPCに接続してデバイス・ドライバを組み込むときだ。もっとも「MS-DOSの時代に比べれば、ずいぶんと容易になった」という意見もあるだろう。確かに、Windowsは新しいハードウェアを自動的に見つけ、最適なデバイス・ドライバをインストールしようとする。Windows側が想定しているシナリオのまま、デバイス・ドライバがインストールされ、正常にハードウェアが動作するのなら、何も難しいことはない。ユーザーはウィザードに従って「次へ」ボタンを押し続ければよい。問題はうまくいかなかったときだ。一見、正常にインストールが済んだように見えても、実際にはドライバが正しく動作せず、デバイス・マネージャに「!」や「?」マークが表示されてしまうことがある。また、新しいドライバを見つけても、組み込み方がいけないのか、ドライバがインストールされないこともある。意外に多くのWindowsユーザーがこうした経験をしているのではないだろうか?
本書は、Windowsのデバイス・ドライバのインストールや設定などといったデバイス・ドライバの管理方法について徹底的に解説し、上記のようなトラブルを解消するための本である。「徹底的」とは、「こうしたトラブルならこのように操作して解決する」といった表層的な解説に終始していない、ということだ。例えば第1〜2章では、ドライバの正体や役割などその基礎知識について解説し、なぜドライバを組み込むと再起動が必要なのか、といった根本的な疑問に答えている。第3章では、ドライバのインストールにおいてWindowsがどのように動作しているかについて触れられている。ここでは、ドライバの組み込みで重要な役割を果たす、拡張子.INFのテキストファイルに記述されている内容まで取り上げている。第4章は、ハードウェアを自動認識するPlug
and Playの仕組みを、また第5〜6章では、デバイス・マネージャでエラーと表示されているハードウェアをどのようにして正しく動作させるか、その作業手順やテクニックを解説している。第7章には、ドライバのアップデート方法が記されているが、ハードウェア・ベンダのWebサイトからデバイス・ドライバを探してダウンロードする過程まで、図版入りで詳しく解説されている。
全章を通して本書から感じるのは、Windowsのデバイス・ドライバについて簡易な理解では済ませない、という印象だ。ほかの書籍に比べると、PCのハードウェアやWindowsに関する原理的な部分の解説が豊富であり、根本から理解してほしいという、読者に対する筆者の希望を感じる。1つ1つの事柄に関する解説の分量が多いので、読み進むのが少々大変かもしれないが、より深くPCハードウェアとWindowsのデバイス・ドライバを理解したい人なら、読みごたえを感じるだろう。
企業内でWindows搭載PCをメンテナンスする管理者はもちろん、SOHOやホビー・ユースでも、新しいデバイスなどを追加するときに、必要なデバイス・ドライバを組み込んだり、設定したりする機会が必ず生じるはずだ。ドライバ関連のトラブルに遭遇しても、それを素早くかつ的確に解消したいと思うなら、事前に本書でWindowsのデバイス・ドライバに関してのより深い知識を得ておくとよいだろう。
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