キーワード

IP接続サービス

2000/05/22

 ISDNを使った通信料定額のインターネット接続サービスの仮称。NTT地域会社(NTT東日本とNTT西日本)が提供する。このIP接続サービスを利用すれば、インターネット サービス プロバイダ(ISP)に接続する際の通信料金が定額になる。INSテレホーダイをインターネット接続に限定し、24時間化したものともいえるだろう。インターネットへの接続には、別途ISPへの接続料金が必要になる。現在、このIP接続サービスに対応したISPの接続料金は、ASAHIネットの450円が最も安価で、平均して2000円前後となっている。なお、IP接続サービスは、データ転送にISDNのBチャンネルを1本使用し、最大64Kbits/sの転送速度を実現する。現在のところ、マルチリンクPPP(MP)による128Kbits/sでのデータ転送には対応していない。

 1999年11月に新宿区、渋谷区、大田区の3区(NTT東日本)と、大阪市の北区と中央区、大阪府吹田市(NTT西日本)の地区に限定して試験サービスの提供が開始された。2000年5月11日からは、NTT東日本は市外局番03地域に、NTT西日本は大阪府下33市に対象地域を広げ、試験サービスを行っている。当初、通信料金は月額8000円であったが、対象地域の拡大と合わせて4500円への値下げが行われている。また、ISPがNTT地域会社の交換局に専用線を引き込むか、交換局のエリアにアクセス ポイントを設置することで、接続料金を2900円と低価格にできる「IP接続サービス(タイプ2)」と呼ぶサービスを新たに追加した。IP接続サービス(タイプ2)はISPが対応する必要があり、ユーザーは対応プロバイダを選択することで利用可能になる。ただし、IP接続サービス(タイプ2)はNTTとISPの相互接続環境が整った時点からの提供となり、現時点ではサービスを提供するISPや対象となる交換局などについての発表はされていない。

IP接続サービスのタイプ1とタイプ2の違い
タイプ2では、加入者モジュール(NTTの収容局)で直接ISPと接続することで、安価なサービスが可能となっている。ただし、ISP側は、NTTの各収容局まで専用線で接続する必要があり、負担が重くなる。

 IP接続サービスによるISPとの接続の手順は以下のとおりだ。まず、既存のTAもしくはISDNルータで、NTTの収容局に置かれているリモート アクセス サーバ(RAS)に各ユーザー専用のダイヤルアップ番号でPPP接続する。このサーバに接続する際に使われるユーザーIDには、ISPを識別するための文字列が含まれており、RASサーバはISPと通信し、ISPでユーザー認証を行う。NTTとISPの間は、「地域IP網」と呼ぶNTT地域会社のインターネット回線で接続する。IPアドレスは、ISPがグローバル IPアドレスを割り当てるようになっているが、固定アドレスかどうかはISPの設定によるので注意が必要だ。基本的にはダイヤルアップ接続の延長で、IPアドレスは接続のたびに変更されると考えたほうがよいだろう。

 NTT地域会社によれば、2000年11月を目途に本格サービスに移行し、順次各県庁所在地レベルにまでサービス範囲を広げる予定だという。CATVインターネットやADSLなどは、地域や建物の状況でサービスを受けられないことがあるが、IP接続サービスはNTT地域会社のサービスが提供されれば、ほとんどの地域や建物で利用可能になる。手軽な常時接続サービスであるのは間違いない。記事の終わり

 

「PC Insider キーワード」


System Insider フォーラム 新着記事
  • Intelと互換プロセッサとの戦いの歴史を振り返る (2017/6/28)
     Intelのx86が誕生して約40年たつという。x86プロセッサは、互換プロセッサとの戦いでもあった。その歴史を簡単に振り返ってみよう
  • 第204回 人工知能がFPGAに恋する理由 (2017/5/25)
     最近、人工知能(AI)のアクセラレータとしてFPGAを活用する動きがある。なぜCPUやGPUに加えて、FPGAが人工知能に活用されるのだろうか。その理由は?
  • IoT実用化への号砲は鳴った (2017/4/27)
     スタートの号砲が鳴ったようだ。多くのベンダーからIoTを使った実証実験の発表が相次いでいる。あと半年もすれば、実用化へのゴールも見えてくるのだろうか?
  • スパコンの新しい潮流は人工知能にあり? (2017/3/29)
     スパコン関連の発表が続いている。多くが「人工知能」をターゲットにしているようだ。人工知能向けのスパコンとはどのようなものなのか、最近の発表から見ていこう
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

注目のテーマ

System Insider 記事ランキング

本日 月間