5万円PCがオフィスを変える
1.低価格PCの中身を探る
デジタルアドバンテージ
2000/09/13
|
|
|
|
今回取り上げたエプソンダイレクトのTC535LN |
イーサネット カードとOSのライセンスが付いて4万9800円という破格値を実現したPC。超低価格の秘密はいったい何か? |
5万円などという低価格を売り物にしたPCは、メモリやハードディスクの容量が少なかったり、Windows 98のライセンスが別途必要になったりと、低価格なりの理由があった。実用になるようにメモリを増やしたり、OSを導入したりすると、結局は7万円以上の価格になってしまい、大手PCベンダが販売しているエントリPCとそれほど変わらない価格になってしまうものが多かった。
ところが、エプソンダイレクトが2000年8月21日に発表した「EDiCube
TC535MN/TC535LN」は、カタログ スペックを見ると、これまで10万円前後で販売されてきたデスクトップPCと変わらない内容を持っている。それでいながら4万9800円と、低価格PCを前面に押し出して販売しているPCベンダと同等の価格を実現した。もちろん、OSとしてWindows
98 SEのライセンスも付属している。さらに、TC535MNにはFAXモデムが、TC535LNには100BASE-TXのイーサネットが、それぞれPCIカードで実装されている。以下、両モデルを合わせてTC535Nと記すことにする。
|
CPU |
|
Celeron-533MHz |
2次キャッシュ |
128Kbytes |
チップセット |
Intel 810-DC100
|
BIOS |
AWARD BIOS |
メモリ |
64Mbytes SDRAM(PC100対応)
|
グラフィックス機能 |
グラフィックス メモリ |
メイン メモリのうち最大11Mbytesを使用 |
コントローラ |
Intel 810内蔵 |
サウンド機能 |
Crystal CS4280 |
ストレージ デバイス |
フロッピー ドライブ |
3.5インチ フロッピー ドライブ(2モード) |
ハードディスク |
Ultra ATA/66対応 容量15Gbytes |
CD-ROMドライブ |
40倍速CD-ROMドライブ |
拡張インタフェース |
PS/2キーボード/マウス、シリアル、パラレル、ディスプレイ、サウンド、USBX2
|
ドライブベイ |
前面アクセス可能なドライブベイ |
3.5インチX1 (フロッピー ドライブで使用済み) |
5.25インチX2 (1つはCD-ROMドライブで使用済み) |
HDD専用ドライブ ベイ |
1インチ ハイト3.5インチX1 (内蔵ハードディスクで使用済み) |
拡張スロット |
PCIX4(カード長175mmまで)、うち1本は使用済み
|
メモリソケット |
DIMMソケット× 2 |
外形寸法 (W×D×H) |
180×392×365mm (本体のみ) |
重量 |
約8.6kg(本体のみ) |
電源 |
電源容量:142W |
消費電力 |
最大230W(待機時消費電力29W) |
|
EDiCube TC535Nの主な仕様
|
低価格ながらも十分な信頼性を実現
エプソンダイレクトが、なぜこのような低価格を実現できたのかを調べるため、早速編集部でTC535LNを購入し、採用しているパーツを調べてみた。その結果は、以下の表のとおり。
|
プロセッサ |
Intel Celeron-533MHz |
メモリ |
Samsung製PC 100 SDRAM DIMM |
マザーボード |
ASUSTeK Computer製MEW-AML |
ハードディスク |
Samsung製SpinPoint SV1533D |
CD-ROMドライブ |
松下寿製CR-593-B |
イーサネット カード |
ノーブランド(コントローラ:Realtek Semiconductor RTL8139B)
|
|
TC535LNで採用されていた主なパーツ |
|
|
|
TC535LNで採用されているイーサネット カード |
TC535Nに搭載されているハードディスクとCD-ROMドライブ |
TC535Nに付属のキーボード、マウス、スピーカー |
イーサネット インターフェイスは、PCIカードで提供されている。イーサネット カード自体はノーブランド製品だ。コントローラは、Realtek
Semiconductor製のRTL8139Bを搭載している。 |
ハードディスクとしては、容量15GbytesのSamsung製SpinPoint
SV1533Dが搭載されている。Samsung製ディスクは、日本国内ではあまり人気がないが、米国の大手PCベンダではコンシューマ向けPCに採用している例が多い。また、CD-ROMドライブは老舗の松下寿製CR-593-Bであった。低価格PCとはいえ、意外と評判の高いデバイスが採用されている。 |
正直なところ、キーボードは極限までコストダウンを進めたもので、キー ストロークは短く、長時間の使用は困難だろう。このキーボードをサーバ向けの緊急用にして、新しいキーボードを購入することをすすめたい。マウス、スピーカーは、質の高いものではないが、一般的な用途としては必要十分な機能・性能を持っている。 |
やはり低価格PCなりに、ノーブランドのイーサネット カードやSamsung製のハードディスク「SpinPoint SV1533D」、キーボード/マウスなど比較的安価なパーツが採用されている。とはいえ、機能的に不満足なものや、すぐに壊れてしまいそうな不安になるようなパーツは使われていなかった。むしろ、これらのパーツを秋葉原や日本橋のPCショップで購入すると、軽く5万円を超えてしまいそうだ。これにWindows
98 SEのライセンスも付属しているのだから、間違いなくTC535Nの価格は安い。
|
|
TC535Nに採用されていたメモリ |
TC535LNのマザーボード |
メモリはノーブランドだと予想していたが、Samsung製のPC100 SDRAMが採用されていた。 |
マザーボードは、ASUSTeK Computer製の「MEW-AML」。ディスプレイ
キャッシュは実装されていないが、チップセットにi810を採用したマザーボードとしては、平均的な構成になっている。 |
マザーボードは、ASUSTeK Computerの「MEW-AML」を採用している(ASUSTeK
ComputerのMEW-AMLのホームページ)。チップセットのi810-DC100は、エントリPCではスタンダードともいえるものだ。ディスプレイ
キャッシュが実装されていない点が若干気になるが、3Dグラフィックス ゲームでは性能差があるものの、ビジネス アプリケーション用途ではキャッシュの効果はほとんどないだろう。実際、i810と同様のグラフィックス機能を持つ、i815を使って、ディスプレイ
キャッシュの有用性を検証したが、ビジネス アプリケーション用途ではほとんど効果がなかった。
更新履歴 |
【2000/09/14】 TC535LNにハードディスクとしてSamsung製の「SpinPoint
SV1532D」を搭載しているとありましたが、「SpinPoint SV1533D」の誤りでした。訂正させていただきます。
|
System Insider フォーラム 新着記事
- Intelと互換プロセッサとの戦いの歴史を振り返る (2017/6/28)
Intelのx86が誕生して約40年たつという。x86プロセッサは、互換プロセッサとの戦いでもあった。その歴史を簡単に振り返ってみよう
- 第204回 人工知能がFPGAに恋する理由 (2017/5/25)
最近、人工知能(AI)のアクセラレータとしてFPGAを活用する動きがある。なぜCPUやGPUに加えて、FPGAが人工知能に活用されるのだろうか。その理由は?
- IoT実用化への号砲は鳴った (2017/4/27)
スタートの号砲が鳴ったようだ。多くのベンダーからIoTを使った実証実験の発表が相次いでいる。あと半年もすれば、実用化へのゴールも見えてくるのだろうか?
- スパコンの新しい潮流は人工知能にあり? (2017/3/29)
スパコン関連の発表が続いている。多くが「人工知能」をターゲットにしているようだ。人工知能向けのスパコンとはどのようなものなのか、最近の発表から見ていこう
System Insider 記事ランキング
本日
月間