
第4回 どうすれば、管理していることになるのだろうか?
松下 勉
ビューローベリタスジャパン株式会社
システム認証事業本部 製品開発部
ITプロダクトマネジャー
CISA(公認情報システム監査人)
2008/4/11
管理せよ! 管理せよ! 管理せよ!
内部統制、ISMS、ITサービスマネジメントなど、IT管理に関連した枠組みが次々と登場しています。これらに基づき、情報システムならびに関連する装置や媒体の管理が日々行われていることでしょう。ISO/IEC 27001:2005(以下、ISMS)でも、付属書Aにて情報セキュリティの管理目的および管理策が明確に記されています。
ところで、「管理する」とはそもそもどういうことを指すのでしょうか。
ここでは、付属書Aの中から、すでに「管理しなければならない」と表現されているものをいくつかピックアップします。ただし、ここで「管理しなければならない」という表現の管理策だけが、ルールを決め、実施し、見直しするまでを要求されているということではありません。選択した管理策すべてを「管理」していかなければなりません。
●A.10.1.2 変更管理 ●A.10.2.3 第三者サービスが提供するサービスの変更に対する管理 ●A.10.6.1 ネットワーク管理策 ●A.11.2.2 特権管理 ●A.11.2.3 利用者のパスワード管理 ●A.11.5.4 システムユーティリティの使用 ●A.12.3.2 かぎ(鍵)管理 ●A.12.4.2 システム試験データの保護 ●A.12.5.2 変更管理手順
●A.12.5.3 パッケージソフトウェアの変更に対する制限 |
ISMSでは、これらのように「管理しなければならない」という表現があるか否かによらず、実施している内容がうまくいっているかどうか確認する仕組みで運用できることが必要です。
必要なのはその「管理」と「実施内容の確認」
しかし、ここで考えてみてください。皆さんが日ごろ業務や対策、ルールを実施している内容は、ただ実施して終わりでしょうか?
実施している内容は、導入前はそのルールや調達品を確保したり、そのとおり動いているか日々監視したりします。また、定期的にその内容を見直したり、エラーが頻繁に出ていれば設定を変更したりしているはずです。日々のルーチンワークやモニタリング事項、期間を設けた確認などを行うこと自体が、「管理しなければならない」ということに対する回答となり、実施できていることになります。
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Index | |
どうすれば、管理していることになるのだろうか? | |
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Page1 管理せよ! 管理せよ! 管理せよ! 必要なのはその「管理」と「実施内容の確認」 |
Page2 その管理策、「実施した価値」測ってますか? 狙いどおりの効果を得るために |
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Page3 実施だけはなく、PDCAを回し状況を把握することが重要 |
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ISMSで考える運用管理のヒント 連載インデックス |
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