いまどきのサーババックアップ戦略入門(1)
サーババックアップ戦略を左右する基本要素
株式会社シマンテック
成田 雅和
2007/9/7
新たな要求や課題が生じたことで、業務サーバのバックアップ態勢を再考しなければならないケースが増えている。ではサーバのバックアップ戦略を確立するにはどうすればいいのか。今回は連載の第1回として、バックアップ/リストア要件からのバックアップ設計を考える
これから5回の連載で、「いまどきのサーババックアップ戦略入門」と題して、サーバのバックアップをどのように考えていけばよいかを解説する。
「IT部門にバックアップ専任の担当者はいない」というのが一部の企業を除いた大多数の現実だ。サーバ管理者やアプリケーション管理者がバックアップ業務を兼務し、日々起こるバックアップの諸問題に対応しているのがいまどきの現場であろう。現場担当者もIT部門管理者も、バックアップの技術動向や最新技術について日々時間を割いて勉強することが難しい。そこで、この連載ではそのようなIT部門管理者を想定読者とし、バックアップを再考してより簡単な運用を実現するための最新情報を提供していく。
サーババックアップにおけるいまどきの課題
なぜいま、バックアップを再考する必要があるのかというと、既存のバックアップの考え方や設備では対応できないような要求の変化や課題が多くの現場に共通して起こってきているからである。その共通の課題は、以下の3点に収斂(しゅうれん)する。
- データ容量増大への対応
- コストダウン(特に人件費)
- データ保護に対する新たな要件
それぞれについて、以下に説明する。
1. データ容量増大への対応
いまどきのシステム環境では、データ量は年率60%以上で増加することも珍しくなく、少なめに見ても2年で倍増する勢いである。データ量増大が課題になるのは、そのためのストレージ増設のコストや管理コスト、設置場所などの問題だけでなく、バックアップ処理時間が増え、バックアップウィンドウ(バックアップ処理のためにサーバに負荷を与えたり停止したりすることが許される時間枠)内でバックアップ処理が終わらなくなるからである。また、バックアップデータが増加することで、1つのファイルをリストアするといった単純な操作も、許容されないほど長時間化することがあるからである。そのため高速なバックアップ/リストアを可能にする新技術の導入が不可欠となってきている。
2. コストダウン
また、データ量が増加しストレージが増え、管理が複雑化・煩雑化したからといってIT部門の予算が大幅に増加したり増員されたりというケースは少なく、以前と同じ予算・メンバーで増加する設備の管理業務をこなさなければいけない。コンプライアンス対応などによる新たな管理業務の追加もある。業務の効率化のために既存のバックアップのやり方を見直す必要がある。
3. データ保護に対する新たな要件
データ保護に対する新たな要件とは、例えばデータの超長期保管であったり、バックアップデータの暗号化、遠隔拠点のリモートバックアップだったりするだろう。昨日のデータではなく、より新しいデータをリストアしてほしいという要求もあるだろう。そういった新しい要件に対応するには新技術の導入はもちろん、その新しい技術をどう生かしていくかという運用面での見直しも避けられない。
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Index | |
サーババックアップ戦略を左右する基本要素 | |
Page1 サーババックアップにおけるいまどきの課題 |
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Page2 リストア要件からのバックアップ設計 |
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Page3 バックアップのいろいろな選択肢 本連載の今後の記事予定 |
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