システムインフラベンダ ブリーフィング(2)
富士通、階層型ストレージ管理への道筋
三木 泉
@IT編集部
2008/9/22
エコは新しいインフラのスタイルにつながる
では、国内ユーザーがストレージについて新たな動きをするとしたら、きっかけは何なのだろうか。
エコに関しては、日本企業のお客様の反応が、欧米企業に比べて早い。いわゆる「もったいない」の精神は日本の文化に合っている。われわれは約3年前に、「MAID」という言葉も知らないうちにディスクの回転を止める機能を製品に搭載したが、グリーンIT推進協議会など、日本には世界的に見ても進んだ活動をしている団体がある。これは今後もおもしろい切り口になっていくと思う。場合によっては、日本のIT業界を変える動きになっていくかもしれない。
シン・プロビジョニングについては、多くのお客様はこれを使いこなせるほど情報データの統合が進んでいない。また、情報システムを管理する部門とユーザー部門の関係がまだシン・プロビジョニングに適していない。しかし、重複除外は分かりやすい。バックアップやアーカイブのところで、無駄なデータを排除して、容量を節約できる。これは分かりやすいので、「ストレージの三種の神器」とされる仮想化、シン・プロビジョニング、重複除外のうちでは、重複除外はナンバーワンだろう。
まず情報システム部門が重複除外でデータの節約効果をユーザー部門に示し、これを基に次の段階でストレージ容量をサービスとして提供するようなことができるようになっていくかもしれない。
あえて順位をつけるならば1番浸透しやすいのはグリーンITだ。エコのために新しい技術を使ってもらえる。MAIDやSSDなどを使っていくことができる。これを推進していくと、階層化ストレージ管理がどうしても必要になってくる。うまくエコを実現しようとすると、ポリシーに従ってストレージの階層を制御していかなければならないからだ。その先に、重複除外やシン・プロビジョニングが入ってくる。
つまり、まずお客様のシステムをエコという切り口で見たときに、どこに課題があって、どう改善すれば、年間の電力消費またはCO2をこれだけ削減できますよ、運用管理者のコストも下げられますよ、という診断をするための見える化を進めていきたい。見える化で診断し、エコのソリューション、そして階層ストレージということで、新しいインフラのパターンを作り出していきたい。
しかし、ストレージは複雑で面倒だというイメージを持つユーザーは多い。ストレージを使いやすいものにするための工夫はどのように進めているのか。
その質問には2つの答え方がある。1つはインフラを含めた運用管理をしている方にとって、よりシンプルな、より使いやすいものを提供しなければならない。設定するのに1日掛かって、LUNを切るのに3日掛かっているのではだめだ。ETERNUS 2000では、われわれはこの点での管理の容易性を徹底的に追求した。GUIで簡単に新規インストールができるとか、構成が簡単に組めるとか、こうした工夫をさらに進めていく。もう1つは、今度は使う側のエンドユーザーにとって、自分のデータを格納することがどんなに簡単で安心かということを追求しなければならない。これは運用管理者には多少苦労してもらわなければならないが、冒頭で話したファイル仮想化の世界、グローバルネームスペースを採用することによって、エンドユーザーにとっては、古いディスクから最新のETERNUSにマイグレーションしても、何も気にする必要がない。月曜日の朝会社に来てみると、なんか先週より速いよね、なんか検索機能が新しく入ったよね、というようにストレージを意識させないということを実現していく。
富士通のストレージビジネスで「当社しかできない」という差別化ポイントは何だろうか。
例えばサーバのブレードの仮想化、そのなかでストレージが何を提供するか、という点だ。EMCはもともとハードのベンダとしてスタートした。その後ミドルウェア、ソフトウェア、セキュリティと買収を繰り返して、システム志向に変わっていった。われわれから見ると、EMCのアプローチはもともと富士通の組織としてあるものだ。いわゆるシステムベンダでなければ提供できない領域。これが今後お客様が求めていくものだと考えている。サーバ、ソフトウェア、ネットワーク、ストレージと、一気通貫で持っている富士通という会社の強みを生かせる。そのなかで、ETERNUSという製品をどう提供するか。特に国内のお客様に対してシステムベンダとして出せる訴求力、これは間違いなく競合他社に対して大きな優位性を持っている。これをきっちりお客様に伝えていきたい。
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Index | |
富士通、階層型ストレージ管理への道筋 | |
Page1 ユーザーが意識しなくていい階層型ストレージ管理とは 国内でストレージ統合は進むか |
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Page2 エコは新しいインフラのスタイルにつながる |
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