サーバ仮想化のリスクを業務部門に押し付けるな
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サーバ仮想化では、「大きく始めろ」という人がたくさんいますが、これについてはどう思いますか?
計画をはっきりとさせたほうがいいのだと思います。大きな目標に向かって進むのなら大きく始めるべきでしょうが、すべてを一度にやらなくてはならない必要性はないと思います。確実に効果が出せてやりやすいものから始め、メリットの50〜60%をまず手にし、これを確認してから次に移るというほうが進めやすいと思います。
サーバ仮想化の欠点はどこにあると思いますか?
障害の発生する箇所が増えることです。ハイパーバイザで障害が発生する場合もありますし、ハードウェアに多くのサーバが載るということは、その故障による影響も大きくなります。複雑さも増大し、管理者が間違って別のマシンに設定してしまうこともあり得ます。
セキュリティ確保もより困難になります。だれかがサーバを乗っ取り、ほかのサーバを攻撃したとしましょう。ネットワークから侵入検知の警告が上がってきた場合、最近までは仮想マシン単位で見えなかったために、セキュリティソフトウェアもどこから攻撃がなされているかを検知できませんでした。
仮想化はいろいろな意味で運用に影響を与え、いろいろな結果をもたらします。これほど速いスピードで普及しているのは、いま言ったような頭痛の種や複雑さといった不便にまさる、十分なメリットをもたらすからです。
最初はだれでも、サーバ仮想化は非常に大規模なサーバに実装されるのが自然だと考えます。企業が大規模サーバに移行するのではないかと予想します。しかし、市場はそれほど変化していません。売れ筋は大部分が2ソケットサーバと一部4ソケットサーバです。8ソケットサーバ市場にはあまり動きが見られません。しかし、いまお話ししたようなリスクはある程度大きいため、16ソケットサーバに仮想化を実装したいという人が少ないのです。導入するサーバのサイズはあまり変えずにサーバ仮想化を利用し始めています。
一方、ストレージの利用を簡略化する技術が進化しています。例えばブレードサーバにおけるI/O仮想化で、単一の物理接続を論理的に(分割し)切り替えて使えます。ワークロード(仮想マシン)がどのように移動しても、World Wide Nameは同一のままで接続できます。
シスコは「ユニファイド・コンピューティング」をコンセプトに掲げていますが、これらすべてを連携して管理し、複雑で高価な仕組みを回避することを狙っています。1つの接続を通じて、アプリケーションがどこにあってもストレージと話せるというものです。
仮想化による複雑さを軽減するための取り組みは活発に進められています 。
社内政治的な側面から来るリスクについてはどう考えますか?
業務部門が専用サーバでを運用してきた環境から移行する場合、それまで業務部門はアプリケーションを制御できていたものが、別の業務部門とサーバを共有するということになると、十分にコントロールできなくなってしまうと考えるかもしれません。社内請求が来ても、運用がほかの部門と一緒に行われていると、請求額が正しいのかが分かりにくいということがあります。
ですから、共有環境に移行する場合は、請求のしかたやサービスレベル、優先度に関する考え方に変化が求められます。仮想化プロジェクトを成功に導くには、こうした点をまず最初に話し、「うち(情報システム部門)はこういうサービスレベルを約束します。申請があれば2時間以内に仮想サーバを用意します。障害が発生した場合などにおける請求のしかたはこうです」などと交渉しておけば、ユーザーの安心感は増します。単純に移行しようとすれば、拒否されるだけです。
一番現実的ないいかたをすれば、サーバ仮想化のメリットはIT予算にもたらされますが、リスクは業務部門がこうむるということです。業務部門が、サーバ仮想化への移行リスク分を負担するということになってしまうのです。メリットを業務部門に与えずに、IT部門にとどまらせれば、拒否されるのは当たり前です。
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Index | |
続・サーバ仮想化の普及は混乱への道筋? | |
Page1 企業におけるクラウド利用はどう進むか |
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Page2 サーバ仮想化のリスクを業務部門に押し付けるな |
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