FCoEプロトコル速解

連載:FCoEプロトコル速解(3)

FCoEをめぐる課題と未来


ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社
小今井 裕
2009/2/17

FCoEと呼ばれる技術が注目を集めるようになってきた、これは現在、独立したストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)上でストレージへのアクセスのために利用されているファイバチャネル・プロトコルを、LANで広く使われているイーサネット上で動かすというものだ。今回はFCoE普及の促進要因と阻害要因、今後の動向予測などについて紹介する
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 前回まではCEE/FCoEが必要とされている背景や、既存のファイバチャネルやイーサネットと比較して、FCoEや10Gbpsイーサネットが拡張されたCEEがどのようなプロトコルであるかについて説明した。今回はFCoEを構成するコンポーネントとその管理、さらにはFCoEを導入する際の課題、今後の動向予測などについて説明する。

 FCoEの構成と管理

 これまでに説明してきた通り、FCoEを利用するには下位ネットワークプロトコルとして既存の10Gbpsイーサネットを拡張した新しいCEEが必要となる。これにより、FCoEを利用するにはネットワーク機器としてCEE/FCoE対応スイッチ(図1)が必要となり、サーバ側インターフェイスとしてはCNA(Converged Network Adapter)」(図2)が必要となる CEE/FCoE対応スイッチとは、CEEスイッチならびにFCスイッチ(FCファブリックサービスを提供)として単体としても動作可能であり、かつCEEパケットとFCフレームをマッピングする機能(FCoE Mapper)を提供する。CNAは1枚で今までのイーサネットNICとファイバチャネルHBAの両方の機能を兼ね備えたアダプタであり、サーバのオペレーティングシステムからすると「ネットワークアダプタ」と「SCSIコントローラ」として別々に認識され、イーサネットNICとファイバチャネルHBAが独立して存在しているかのように見える。

図1 CEE/FCoEスイッチの概要図

図2 CNAの概要図

 これら新しいコンポーネントの運用・管理については、CEEに関わる部分でいままでと異なる対応が必要となる。既存イーサネットで行っている、VLANやリンクアグリゲーション、QoSなどの管理に加え、前回説明したPFCやETSなどについての考慮が必要となる。特にETSなどでは、プライオリティグループの定義やどのプライオリティグループにどれだけの帯域を割り当てるかなど、複数のプロトコルを1つの物理リンクに通すことにより、いままでのファイバチャネルやイーサネットの管理のほかに、設計や設定が追加で必要となる(ファイバチャネルの管理であればPFCやETSに該当するような機能は、QoS以外ほぼすべて自動的に提供されている)。

 ただし、CEEを用いても上位のプロトコル(ファイバチャネルやIP)やアプリケーションからすれば透過的であるために、アプリケーションサーバの上位レイヤのドライバやアプリケーションインターフェイスに変更を加えることなく新しいインフラを使用できるようになる。また、管理アプリケーションの観点からも、現在ファイバチャネルを使用したSANで行われているネームサービスやゾーニングサービスなどもそのまま使用できるため、IQN(iSCSI qualified Names)などの名前管理、デバイス検出やパラメータ管理など新しい仕組みが必要なiSCSIと比較すると、既存のFC管理フレームワークを維持できることは非常に大きなメリットといえる。

 
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Index
FCoEをめぐる課題と未来
Page1
FCoEの構成と管理
  Page2
FCoEの普及に向けた課題
FCoEの導入フェイズ
今後の動向

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