セキュアライブマイグレーション
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ライブマイグレーションは仮想マシンを稼働させたまま、ほかのVM Serverに移動させるというもので、仮想化特有の機能として一般的です。この機能を実現しているのはメモリのネットワークを通じたコピーです。稼働中の仮想マシンのメモリイメージをほかのVM Serverにネットワーク経由で転送することで、生の状態情報を引き継ぎながら仮想マシンを移動することができるようになっています。このときにメモリのイメージを平文で流すのではなく、SSLで暗号化してからネットワーク経由で転送するのがセキュアライブマイグレーションです。
ほかの仮想化製品のライブマイグレーション機能ではこのような措置は図られていませんが、このあたりはエンタープライズユースを強く意識したオラクルらしい拡張ですね。
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図4 セキュアライブマイグレーション |
ネットワーク、ストレージパスの二重化
HAクラスタのところでも言及しましたが、仮想化システムではこれまで以上にハードウェア障害に対して敏感になる必要があります。Oracle VMではネットワークスイッチの故障やネットワークカードの故障、あるいはLANケーブル断線による障害に対してBondingをサポートすることで単一障害点を取り除いています。手順もしっかり用意されているため設定に迷うことはありません。
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図5 Bonding |
また、SAN(Storage Area Network)の利用を想定し、ストレージネットワークについても同様にdevice-mapper-multipathやRDACといった汎用的なマルチパス技術をサポートしています。
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図6 マルチパス |
Oracle VMのシステム構成
次にOracle VMを使用した仮想化システムの構成を見ていきましょう。まず最小構成で考えると、Oracle VMは大きくVM ServerとVM Managerという2つのコンポーネントから成ります。
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図7 スタンドアロン構成 |
VM Serverはその上で仮想マシンを稼働させるコンポーネントであり、最も重要なサーバです。そしてこのVM Serverと仮想マシンを管理するためのコンポーネントがVM Managerです。VM ManagerはWebベースのGUIを提供し、管理者はブラウザを使ってVM Serverや仮想マシンなどの管理を行うことができます。VM Managerは複数のVM Serverを一元的に管理することができます。したがってVM Serverを必要に応じて増設していっても、VM Managerは1台あれば全VM Serverおよび仮想マシンを管理することができます。これらがOracle VMのスタンドアロン構成を組む上で必要となるものです。
また、Oracle VMだけでなく多くの仮想化システムはこのスタンドアロン構成はもちろんのこと、共有ストレージを用いた構成を想定しています。一般的にはこの共有ストレージ構成の方が仮想化システムの理想的な姿として言及されることが多く、ポピュラーな構成といえます。Oracle VMももちろんこの共有ストレージ構成をサポートしています。
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図8 共有ストレージ構成 |
物理的な構成としては大きく変わることはなく、単に共有ストレージが追加され、その共有ストレージとVM Serverをつなぐネットワークが必要になるだけです。なお、Oracle VMでは共有ストレージとして、ファイバチャネル、iSCSI、NFSがサポートされています。
機能的にはスタンドアロン構成と共有ストレージ構成には少し違いが出てきます。共有ストレージを用いた場合、Oracle VMではServer Poolというグループを構成することができるようになります。これは、端的にいえば仮想マシンを共有できるVM Serverのグループのことです。
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図9 Server Pool |
*実際には仮想マシンのほかにもテンプレートやISOイメージなどのリソースも共有の対象になります。
同じServer Pool内であれば、仮想マシンはどのVM Serverでも起動することができます。これは全てのVM Serverが、仮想マシンを格納している1つのボリューム(共有ストレージ上の)を共有しているからです。そしてライブマイグレーション(セキュアライブマイグレーションも含まれる)などの機能もこのServer Pool内で行うことができます。逆にいえば、スタンドアロン構成ではライブマイグレーションーションや仮想マシンを起動させるVM Serverを都度選択するような操作を実施できません。このあたりが「物理的なリソースを抽象化する」という仮想化のメリットを最大限享受できる共有ストレージ構成が注目される由縁です。
ただし共有ストレージ構成は1台のストレージに対するVM Serverの数が増えるほど、ディスクI/Oがそのストレージに集中してしまうため、性能的なボトルネックになりやすい構成であるともいえます。また、コスト的にも往々にしてスタンドアロン構成より割高になります。そのようなことも総合的に鑑みて、スタンドアロン構成と共有ストレージ構成のどちらを採用するか、そのサイトの要件に照らし合わせて判断することが必要です。確かにライブマイグレーションのような機能は独特で、仮想化するなら使ってみたいと思う機能ですが、実際の運用を想定したときに必要があまりないのであれば、スタンドアロン構成も十分検討に値します。
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Index | |
Oracle VMの概要と特徴 | |
Page1 Oracle VMの正体 GUI QoS HAクラスタ P2V、V2V |
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Page2 セキュアライブマイグレーション ネットワーク、ストレージパスの二重化 Oracle VMのシステム構成 |
Page3 Oracle VMの差別化ポイント |
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