連載:ストレージ・アーキテクトになろう(2)
ストレージ・アーキテクトはどう要件をまとめるか
EMCジャパン株式会社
グローバル・サービス統括本部
マネージド・サービス部 部長
森山 輝彦
2008/11/13
ITインフラの統合と最適化は、多くの企業にとって重要な課題となってきている。ストレージ統合に関しては、特に米国では「ストレージ・アーキテクト」と呼ばれる人々が、スペシャリストとしての立場から社内プロジェクトに深く関与するケースが増えている。日本でも「SNIA認定アーキテクト」などの資格が整備されつつあるストレージ・アーキテクトの職務内容を通じ、統合ストレージの導入プロセスを解説する |
統合ストレージの利用計画
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第1回目は、統合ストレージの採用を特定の業務システム向けに構築するか、共用サービスとして提供していくかなど、統合ストレージ基盤を利用する対象を明確にし、利害関係者や影響範囲を理解することの重要性に触れました。
今回は、統合ストレージを調達していくに当たり、その基本となる“論理要件整備”もしくは、“論理アーキテクチャ定義”の実施に関して述べたいと思います。話題を発散させないため、複数業務システムを対象とした共用サービスとして位置付けられる統合ストレージの調達に向けた検討とします。
ITの利用、投資には、1. 業務効率向上、2. 戦略的投資、3. 基盤やセキュリティなどに対する投資、の3種類があります。1と2が積極的投資(攻撃的投資)として考えられ、3は守備的な投資と考えられます。1、2の目的を達成するため、3は“安定性”、“安全性”、“信頼性”、“効率性”を重視し、かつそれを適切な費用で、調達、構築、運用していくことが求められます。統合ストレージ基盤は、企業の4大資産の1つ“情報“の存在する場所であり、最重要基盤であるといえます。この統合ストレージ基盤に対する要件を、機能要件と非機能要件に分類した場合、今回の“論理要件”が、機能要件に相当し、“物理的な要件”と“構築、運用、保守上の要件”が非機能要件に相当します。
調達までに整理すべき要件(RFPに盛り込むべき要件)は、機能要件、非機能要件双方となりますが、非機能要件に関しては、次回以降で触れていきます。
さて、統合ストレージ基盤における論理要件(機能要件)は、以下の項目に代表されます
- 利用業務と全体容量の把握
- 接続要件
- バックアップ/アーカイブ要件
- サービスレベルの検討
可用性
性能と共有レベル
サービス提供までのリードタイム - 災害対策に関する要件
- セキュリティ要件
これらの項目を整理した結果は、統合ストレージ基盤サービス・カタログ(サービス・メニュー)のドラフト版となります。
1. 利用業務と全体容量の把握
まず、統合ストレージ基盤の利用対象となるデータが、どのような規模で存在するかを確認することが出発点です。アンケートをとる方法が最も典型的ですが、市販のツールや、ベンダー提供のデータ収集用のツールなどを利用し、より、正確な情報収集を実施する方法もあります。全体容量を把握する際は、予定されている業務や新システム等が利用するデータ量も含めておくことも重要です。
可能であれば、過去の傾向値などから、年間データ増加率も併せて確認しておくことをお勧めします。
データ収集の際は、システム/ツール用、データベース用、ファイル用、ワーク用、ログ用等、用途別に容量を区別しておくことも有効です。
統合ストレージ基盤を利用する業務システムを概ね確定し、その業務の特徴を整備してグループ分けをしていきます。
データ収集の結果として、
- 業務グループ毎のデータ量
- 業務システム毎のデータ量
- 用途別のデータ量
- それぞれの年間データ増加率
- 予定されている業務とその予想データ容量
の概算容量が整理されます。
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Index | |
ストレージ・アーキテクトはどう要件をまとめるか | |
Page1 統合ストレージの利用計画 1. 利用業務と全体容量の把握 |
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Page2 2. 接続要件 3. バックアップ/アーカイブ要件 |
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Page3 4. サービスレベルの検討 可用性 性能と共有レベル サービス提供までのリードタイム 5. 災害対策に関する要件 6. セキュリティ要件 |
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