第2回 XenServerは何を目指しているか
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社
2008/8/21
GUIによる管理が可能
OSS Xenはコマンドで管理を行うことが基本となる。コマンドは使い慣れた人には非常に便利であるが、一方でこれから仮想環境を使う人にとっては苦痛でしかない。XenServerはXenCenterと呼ばれる日本語化されたGUIの管理ツールが用意されている。XenCenterではコマンドで可能なすべての機能を網羅しているわけではなく、XenServerを使用した仮想環境で必要と思われる機能だけを厳選して組み込んでいる。非常に分かりやすいGUIと必要な機能だけをカバーしているため、容易にXenServer仮想環境を導入することができるはずだ。ほとんどの場合、XenCenterからのみで仮想化運用が可能であるが、より詳細な設定が必要な場合には、コマンドを使用して管理できる。
XenCenterは、XenServerに直接接続して管理を行う。XenServer Enterprise Edition以上には複数のXenServerをプール化することが一般的だが、XenCenterからはプール内のマスターサーバにのみ接続を行うことで、プール内のすべてのXenServerと仮想マシンが管理できる。マスターサーバはプールの中の唯一のサーバで、プールに参加しているXenServerの調整を行っている。しかし、プール内のXenServerは、設定情報をすべてのXenServerにわたって持っているため、万が一マスターXenServerが障害となっても、ほかのメンバーXenServerをマスターにすることによって、継続してXenCenterからの管理が可能となる。
図3 XenCenterからマスターとなるXenServerに接続すれば、ほかのXenServerを併せて管理できる |
小さく始めて大きく育てられる運用性
仮想化を導入するに当たり、最初から共有ストレージを用意し、社内の数百台の物理マシンを仮想化することは、かなりのチャレンジである。どの企業でも部門サーバから、またはクリティカルではないサーバから仮想化を行いたいのではないだろうか。XenServerは小さく始めて、順次大きくしていくことが可能である。以下は、XenServerのエディションである。
エディション |
Express |
Standard | Enterprise | Premium |
管理モデル | シングルサーバ | 複数サーバ | 複数サーバ | 複数サーバ |
同時実行仮想マシン数 | 4 |
制限なし | 制限なし | 制限なし |
物理メモリ量の制限 | 4GB | 制限なし | 制限なし | 制限なし |
物理CPU数の制限 | 2ソケット | 2ソケット | 制限なし | 制限なし |
VLAN |
|
YES | YES | YES |
共有ストレージとリソースプール |
|
YES | YES | |
QoSサポート |
|
YES | YES | |
XenMotion | YES | YES | ||
サーバ・プロビジョニング | YES |
現在4つのエディションがあるが、すべてのエディションは同じバイナリを使用している。すなわち、Express Editionで評価を行い、本番で4台以上の仮想マシンを動かすときに、Standard EditionのライセンスをXenCenterから認識させるだけで、Express EditionからStandard Editionにアップグレードできる。このとき、XenServerの再インストールや再設定、また仮想マシンの再インストールなどは一切発生しない。これは、Enterprise EditionやPlatinum Editionにアップグレードする場合も同じである。すなわち、仮想環境の規模や使用したい機能によって、いつでもエディションをアップグレードすることが可能なのである。
仮想化を導入すると、それまで物理マシンで使用できなかったことが容易に行えるため、運用性を高めることができる。
1. 仮想マシンのテンプレート
あらかじめ作成しておいた仮想マシンをテンプレート化しておくことにより、新たな仮想マシンはOSのインストール、パッチ、アップデートなどを行わず、テンプレートから作成することができる。テンプレートは複数作成することができるため、OSのみ、OS+サービスパック、OS+サービスパック+アプリケーションなどを用意しておくと便利である。
図4 何種類ものテンプレートが作成できる |
2. 仮想アプライアンス
仮想マシンはXenCenterのWindows環境にエクスポートすることができる。このエクスポートファイルはxvaの拡張子が付与され、仮想ディスクと仮想マシンのコンフィグレーション情報を圧縮し、1つのファイルとして保存する。仮想マシンはハードウェアに依存しないため、ほかのXenServerにインポートすればその仮想マシンはそのまま起動する。ディザスターリカバリーやバックアップだけでなく、個人の仮想マシンを手元に持っておきたい場合などに便利である。XenServerでは、エクスポートを行ったxvaファイルのことを仮想アプライアンスと呼ぶ。
3. ライブマイグレーション
仮想化の代名詞ともいえるものがライブマイグレーション機能である。仮想マシンを動かしたまま、ほかのXenServerに移動させる技術であり、移動中もゲストOSの処理は停止せず、クライアントからのセッションも切断されない。ライブマイグレーションは複数のXenServer間でロードバランスを行う場合や、仮想マシンの停止を伴わないハードウェアメンテナンスなどで使用される。
XenServerでは、このライブマイグレーションを「XenMotion」と呼ぶ。XenMotionのアーキテクチャについては次回、詳細に解説する。
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第2回 XenServerは何を目指しているか | |
Page1 導入、運用、管理でオープンソースXenを改良 インストール作業を大幅に簡素化 |
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