@IT Smart&Social読者調査

Androidが業務システム開発者に
大人気な理由とは


@IT Smart&Social第1回読者調査結果

@IT編集部
2012/2/13

スマソ1周年記念!スマホアプリ開発調査の結果発表!

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 2011年12月14日から2012年1月10日までの約1カ月間、「@IT Smart&Social(スマソ)フォーラム」1周年を記念して読者調査「スマソ1周年記念!スマホアプリ開発調査をスマす!〜@IT Smart&Social第1回読者調査」を実施しました。応募総数512、回答完了数328で、回答完了率は64.1%でした。最大で21問もの質問に回答する長丁場の調査でしたので、途中で離脱する方も多かったと思いますが、ご回答いただきありがとうございました。

 本稿では、その主要な結果を紹介することで、スマートフォンアプリ開発のトレンドを探ります。

基本データ

 まずは、基本的な回答者の属性などです。

お勤め先の主な業種に当てはまるものを、1つだけお選びください(n=511)

 ソフトウェア受託開発業やSIが多く4割を占めています。その他は、パッケージ開発やハードウェア製造、Web制作、IT以外の製造業やサービス業、学生などが多いようです。

あなたの年齢に当てはまるものを、1つだけお選びください(n=511)

 次に年齢です。スマートフォンアプリ開発には、幅広い年代の方が関心があるようです。20代で2割、30代で4割近く、40代が3割近くとなっています。

あなたはアプリケーション開発に、主にどのような立場でかかわっていますか?(複数回答可、n=511)

 スマートフォンアプリ開発に関心がある方は、やはりプログラマが多いです。半数以上がプログラミングに関わっています。一方で、マーケターや解析をする方は、まだまだ少ないようです。

あなたは現在、主にどのようなアプリケーションの開発にかかわっていますか?(複数回答可、n=511)

 業務用Webアプリを作る方が4割を超え一番多いですが、すでに何らかのスマートデバイス向けのアプリを作っている方も多いようです。特に、Androidの人気が高いです。

取り組む/取り組まない理由・課題


あなたは現在スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末用のアプリケーション開発(以下、モバイルアプリ開発)に取り組んでいますか? 当てはまるものを、1つだけお選びください(n=511)

 すでにスマートデバイス向けのアプリを作っている方は約半数で、1年以内で取り組む方を入れると、7割近くに達します。

あなたがモバイルアプリ開発に興味を持つ理由を、いくつでもお選びください(複数回答可、n=252)

 アプリ開発に興味を持つ理由は、「話題が多いから」という理由が多く、7割を超えます。スマートフォンの流行により、アプリ開発をしていてもいなくても、興味を持たざるを得ない状況のようです。また、「顧客から引き合いが出てきている」という理由が4割近くになっています。今後、案件としても増加する傾向にありそうです。

モバイルアプリ開発であなたが課題に感じることはなんでしょうか。いくつでもお選びください(複数回答可、n=238)

 アプリ開発で課題に感じることは、スキル/ノウハウ不足というのが、7割近くでダントツです。今後、開発現場で培われることが増えてくるかもしれませんが、直近でスキル/ノウハウを身に付けるには、実践あるのみでしょう。そんなときに、@IT記事をお役立ていただきたいものです。また他にも、さまざまな実践的課題8つが3割を超え、開発現場の悩み種となっているようです。

あなたがモバイルアプリ開発に取り組まない理由はなんでしょうか? 当てはまるものを、1つだけお選びください(n=119)

 モバイルアプリ開発に取り組まない方にも、その理由を聞いてみました。取り組んでいる業務システムでモバイル端末を使う場面がないという理由が半数近くです。やはり、冒頭のデータ通り業務システム開発者が多いからでしょう。

今後作るアプリ/プラットフォーム


今後開発を予定・検討しているモバイルアプリのプラットフォームを、いくつでもお選びください(複数回答可、n=251)

 今後、開発を予定・検討しているプラットフォームは、Androidが圧倒的に多いです。iOSも、それに次いでいます。業務システム開発者はiOSよりもAndroidの方が好きみたいです。

モバイルアプリのプラットフォーム選定で、あなたが重視する要件をいくつでもお選びください(複数回答可、n=248)

 理由としては、将来性/今後のロードマップが1番多く、6割に達しています。次いで、現在の普及率というところですが、Androidは、普及率・将来性ともに多くの方に認められているようです。一方で、その自由度の高さゆえに、Androidは何かとセキュリティや端末ごとの機能の違いが問題にされますが、重視しているのは、4分の1ほどの方だけみたいです。

今後開発を予定・検討しているモバイルアプリのカテゴリを、いくつでもお選びください(仕事用)(複数回答可、n=249)

 開発を予定・検討しているアプリのカテゴリも、やはり「特定業種/業務用アプリ」「基幹系システム」「営業支援、管理システム」が多いです。

今後開発を予定・検討しているモバイルアプリのカテゴリを、いくつでもお選びください(コンシューマ用)(複数回答可、n=242)

 コンシューマ用のアプリは何を作るか、「分からない・未定」が多いです。やはり、業務システム開発者には、コンシューマ用のアプリについては、あまりアイデアがないようです。そんな中でも、UIカスタマイズや写真、医療、ショッピング、教育、など比較的業務用途でも使えそうなものが多いです。一方で、ゲーム(カジュアル)やおばかアプリなども多いのが、目を引きます。

使用を予定・検討している言語、技術やツール


モバイルアプリ開発で採用したいプログラミング言語を、いくつでもお選びください(複数回答可、n=250)

 使いたいプログラミング言語は、Javaが6割を超すなど人気です。やはり、業務システム開発でJavaのWebアプリ開発を行う人が多いからでしょうか。Androidを採用する方が多いのもJavaに慣れている方が多いからではないでしょうか。

 また、HTML/CSSやJavaScriptを使いたいという意見が多いのも同様に業務システム開発でWebアプリ開発に慣れているからが多いからではないでしょうか。Webアプリならば、PC向けの開発に慣れている方もスマートデバイス向けを開発しやすいと思われます。

 iOSアプリ開発で使うObjective-CやWindows Phoneアプリ開発で使うC#、プラットフォームに限らずネイティブ機能を使うのに必要なC++も人気です。

モバイルアプリ開発で使用を予定・検討しているテクノロジーやツールを、いくつでもお選びください(複数回答可、n=240)

 使いたい技術としては、HTML5やCSS3が6割、JavaScriptフレームワークが4割と多いです。やはり、Webアプリを開発したい方が多いようです。

 一方で、GPS/ロケーション情報、カメラ、ジャイロセンサ/加速度センサ、AR(拡張現実)など、スマートフォンのネイティブアプリならではの技術を使うのも人気です。

 また、これまで業務システム開発者がスマートデバイス向けアプリ開発をどのように取り組むかが見えてきましたが、既存の業務システムとの連携については、2割とそれほど多くないようです。

 以降、いくつかの技術をドリルダウンして見ていきます。

ネイティブアプリ開発ツール編(複数回答可、n=241)

 上記質問で開発ツールやコンポーネントを使いたいという方は27.9%でしたが、その内訳を見てみると、Eclipseが6割を超えています。これもやはり、業務システム開発でJavaのWebアプリ開発を行う人が多いからでしょうか。Androidの開発には、Eclipseのプラグインで標準でサポートされていたり、Adobe Flash BuilderもEclipseベースなので、Eclipseが回答として多いのは、これまでの流れからいっても当然の結果といえます。

 iOS SDK/XcodeやWindows Phoneアプリ開発に使うMicrosoft Visual StudioやMicrosoft Windows Phone SDK、Microsoft Silverlightも人気です。Visual Studioはスマートデバイス向けのWebアプリ開発で使うという意味でも、人気なのかもしれません。

JavaScriptフレームワーク編(複数回答可、n=168)

 上記質問でJavaScriptフレームワークを使いたいという方は11.7%でしたが、その内訳を見てみると、jQuery Mobileが7割を超えています。やはり、PC向けJavaScriptフレームワークでも圧倒的人気があるjQueryはモバイル版でも大人気です。

Flash/Flash Lite→HTML5/JavaScript変換編(複数回答可、n=105)

 上記質問でFlash/Flash Lite→HTML5/JavaScript変換を使いたいという方は8.3%でしたが、その内訳を見てみると、Google SwiffyやAdobe Wallabyが人気です。こちらは、まだまだ発展途上の技術でこれから他にもツールが出てきそうですが、そもそも8.3%というところから考えると、変換するよりも一から作り直すという方が多いのかもしれません。

JavaScriptテストフレームワーク編(複数回答可、n=121)

 上記質問でJavaScriptテストフレームワークを使いたいという方は11.7%でしたが、その内訳を見てみると、jQuery向けテストフレームワークであるQUnitが4割近くと人気があります。やはりテストフレームワークからも、jQuery/jQuery Mobileの人気が見て取れます。

 こちらも、そもそも11.7%というところから考えると、まだまだJavaScriptをしっかりとテストしようという方が多くないのかもしれません。

ネイティブアプリのテスト/解析系ツール編(複数回答可、n=148)

 上記質問でネイティブアプリのテスト/解析系ツールを使いたいという方は6.3%でしたが、その内訳を見てみると、Google Analytics SDK for iPhone/Androidが4割越えで人気です。やはり、ユーザーの使用状況を取得するのは需要が多いようです。またAndroidの開発には、JUnitが標準でサポートされているので、業務システム開発でJavaのWebアプリ開発を行う人が多いためか、Java開発で人気のJUnitも3割を超えています。

 また、Android MockやAdobe Device Centralなどテストを便利に行えるツール、HadoopやMongoDBなど解析用途で使うであろうビッグデータ処理技術も人気です。

 こちらも、そもそも6.3%というところから考えると、まだまだネイティブアプリをしっかりとテストしようという方は少ないようです。

その他ネイティブアプリ開発用フレームワーク/コンポーネント編(複数回答可、n=157)

 最後に、その他の技術を深堀りすると、Android NDKやOpenGL ES、OpenCV、OpenCLの需要が多いです。ネイティブ機能を使うのに必要なこれらに人気があるというのは、まだまだプラットフォーム側が提供するSDKの機能だけでは足りない部分が多いということなのでしょうか。

 Adobe Flexやクラウドベンダが提供する連携用SDK/Toolkitは、その足りない部分を埋めるツールとして需要があるようです。

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