System Insider 編集後記 2002年5月
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安全神話の崩壊
自慢にもならない話だが、先日、盗難に遭ってしまった。打ち合わせのため、クルマで事務所近くのファミリ・レストランに行ったのだが、そこでいわゆる「車上荒らし」に幾ばくばかりの現金と銀行のキャッシュ・カード数枚が盗まれてしまったのだ。助手席にカバンを置いたまま、レストランで食事していたのが敗因(?)なのだが、何とも悔しい限りである。犯人は、カバンの中からシステム手帳を抜き、そこからさらにキャッシュ・カードと現金だけを奪い、システム手帳をカバンに戻すという手の込んだやり方で、自宅に帰るまで盗まれたことに気づかなかったほど。自宅近くの交番に盗難届けを出したのだが、もはやこの程度の犯罪では犯人を捕まえる気もないような対応で、日本の安全神話の崩壊を身を持って感じた次第だ。 インターネットの世界も、コンピュータ・ウイルスの蔓延が証明するようにもはや安全とは程遠くなってしまった。10年ほど前、まだインターネットで電子メールがやりとりできる程度だったころは、ウイルスの発生は懸念されていたものの、これほどまでに蔓延するとは考えられていなかった。常時接続インターネットが安価になり、コンピュータに関する知識がそれほど豊富でない人もインターネットを利用するようになった現在、ウイルスの培養培地はいたるところに存在する。悪意のない第三者が、いつの間にかウイルスを大量に撒き散らかしている状態となっており、もはやだれにもウイルスを止めることはできないだろう。そのうえ、これまで英語のメッセージのウイルスしかなかったのに、このところ日本語で「至急!」とか「重要連絡」といったサブジェクトが電子メールに付けられたものまで登場してくる始末。「英語のメールはすべてウイルスかスパムだから読まない」という主張していた人までも被害に遭いつつある。 もちろんウイルスの被害に遭わないようにアンチウイルス・ソフトウェアを導入するのはもちろん、常時接続環境であればブロードバンド・ルータのセキュリティ機能を有効にしたり、セキュリティ・ゲートウェイを導入したりすべきだろう。ただ、本格的なセキュリティ・ゲートウェイ製品は、SOHOや小規模事業者が導入できるような価格帯の製品はほとんどなく、主に大企業向けとなっている。今後、PtoPやIPv6といったインターネット環境の普及を考えると、SOHOや小規模事業者でも導入可能な価格帯で性能の高いセキュリティ・ゲートウェイ製品が販売されることを望みたい。 残念ながら、リアル・ワールドもネットワーク・ワールドも安全はタダではなくなってしまった。まず、自らの安全を守るためにも、普段からの注意と備えを十分に持ちたいと思う今日このごろである。
(System Insider 小林章彦) |
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