PDFによるJ2EEリッチクライアント計画（2） Page 2/3
J2EEを拡張するAdobe LiveCycleの全容
アドビ システムズ小島 英揮
2005/10/27
■PDFファイルへの「フラグ」打ち込みで情報共有とセキュリティを実現
表1で紹介したLiveCycle製品の中で、最も特徴的な製品が「LiveCycle Reader Extensions」（以下、Reader Extensions）と「LiveCycle Policy Server」（以下、Policy Server）である。これら2つは、情報共有とセキュリティという、相反する機能を提供する製品であるが、PDFに「フラグ」を打ち込むことで機能を提供するというところでは、基本的なアーキテクチャは似通っている。
PDFの機能拡張を施すReader Extensions
まずReader Extensionsであるが、これはPDFに「機能拡張」を施すソリューションである。通常、PDFフォームへの記入内容の保存や、電子署名、またPDFドキュメントへのコメント付与やファイル添付などの操作は、ユーザー側が「Adobe Acrobat」（以下、Acrobat）を利用できるPCが必要である。しかし、顧客からの申し込み受け付けや協力会社とのドキュメントのレビューなどの場合、できれば無償配布されている「Adobe Reader」でこれらの機能が実現できることが望ましい。そうすれば、原則的には不特定多数の相手に対して、リッチなフォームやドキュメント処理の機能を提供することができる。
Reader Extensionsでは、PDFにAdobe Reader上で使わせたい機能を選択して埋め込むことができる。図2を参照いただければ分かりやすいが、フォームやドキュメントの作成者が、相手方に許可したい機能を選択して付与することができる。
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| 図2 Reader ExtensionsによるPDFへの機能拡張設定（クリックで拡大します） |
これにより、利用者はAdobe Readerさえ持っていれば（なければAdobe.co.jpからダウンロード可能）、Webサービスや電子署名などを利用した高度な電子フォームアプリケーションを利用することができる。またこの電子フォームはオフラインでも作業が可能なため、途中まで記入した内容を保存したり、一度申請した内容を違う申請に流用することも容易に行える。またレビュープロセスに使えば、PDFに付箋紙やマーカー感覚でコメントを付与して戻してもらうことができる。
- Reader
Extensionsサンプルファイル
（Reader Extensionsでコメントやファイル添付が可能なPDFをご利用になれます。PDF文書、2.57Mbytes。別ウィンドウで開きます。Adobe Reader 7.0／Acrobat 7.0でご覧ください）
Reader Extensionsで許諾される機能と、通常のAdobe ReaderやAcrobatの機能比較については表2を参照されたい。
| Acrobat 7.0 Std／Pro |
機能拡張されたPDF ＋ Adobe Reader 7.0 |
通常のPDF ＋ Adobe Reader 7.0 |
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| PDF作成（File to PDF） | ○ | ||
| PDF作成（Scan to PDF with OCR） | ○ | ||
| PDF表示・印刷 | ○ | ○ | ○ |
| PDFフォーム記入 | ○ | ○ | ○ |
| フォーム記入内容の保存 | ○ | ○ | |
| Webサービスでのフォーム情報送受信 | ○ | ○ | |
| ファイル添付 | ○ | ○ | |
| コメント付与 | ○ | ○ | |
| フォーム記入、コメント、ファイル付与後のPDF送信 | ○ | ○ | |
| 電子署名付与 | ○ | ○ | |
| 表2 Reader Extensionsにより付与される拡張機能 |
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このようにAdobe Readerしかない環境でも、PDFをリッチに扱うことができるのがReader Extensionsの機能であるのに対し、Policy Serverはその逆で、利用範囲を制限する機能を持つ。具体的にはPDFを「だれが」「いつ」「どのように」利用できるかを動的にコントロールすることが可能だ。
前回もご紹介したとおり、こうしたコントロールのためのフラグを「セキュリティポリシー」と呼んでいる。このセキュリティポリシーを1度PDFに埋め込んでおけば、PDFがどこに配布されようとも、その利用範囲をコントロールすることができる。そのセキュリティポリシーの設定、管理を行うのがPolicy Serverの役目である。（次ページへ続く）
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INDEX |
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| PDFによるJ2EEリッチクライアント計画（2） J2EEを拡張するAdobe LiveCycleの全容 |
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| Page1 LiveCycleで実現する4つのソリューション |
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Page2 PDFファイルへの「フラグ」打ち込みで情報共有とセキュリティを実現 ・PDFの機能拡張を施すReader Extensions |
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| Page3 ・PDFの利用範囲を制限するPolicy Server Webサービスとドキュメントサービスの統合ソリューションを実現する「QPAC」 |
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