野村総合研究所 情報技術本部
主任研究員 田中 達雄
2005/10/14
次世代デスクトップ環境への応用 |
次世代デスクトップ環境は、スタンドアロン型リッチクライアントを応用した利用形態の1つで、PCのリソースを主たるアクセス先とするが、WebサービスやHttpRequestを使うことで、イントラネットやインターネット上の情報やサービスにアクセスすることもできるといった特徴を持つ。
実際のリッチクライアント・アプリケーションは、スタンドアロン型リッチクライアントの実行環境上で動作するミニアプリケーションであり、それをデスクトップ上に配置して利用する。ミニアプリケーションは個人の好みに合わせたカスタマイズが可能で、個人の便利ツールといった位置付けだ。
例えば、カレンダーやメモリ容量などのPC内部の情報やインターネットやイントラネット上の株価や天気、ニュースなど、さまざまな情報をビジュアルに表示/処理するものがすでに提供されている。
主なプレイヤや製品を以下に示す。
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表1 主なスタンドアロン型リッチクライアント 出所)野村総合研究所 |
スタンドアロン型リッチクライアント普及時の課題 |
ここまでは、最近のスタンドアロン型リッチクライアントの気になる動向について解説したが、ここからはスタンドアロン型リッチクライアントの普及時の課題について触れていきたいと思う。
スタンドアロン型リッチクライアントが普及した場合に想定される課題として、まず、異なる複数のスタンドアロン型リッチクライアントの実行環境が1つのクライアント端末上に混在し運用管理を煩雑なものにしてしまう懸念がある。
リッチクライアントの将来を予測した場合、XML技術をベースにしたリッチクライアントに収斂されていくが、実行環境の統一については当分の間困難であると予測している。Javaアプリケーション系のリッチクライアントに関しては「Java VM」や「Eclipse Rich Client Platform」といった共通の実行環境を持つが、マイクロソフトの「Windows Presentation Foundation(WPF)」やマクロメディアの「Flash Player」までも同じ共通の実行環境に統合されることは現時点では考えづらい。
また、実行環境のバージョン管理も複雑なものとなる可能性が高い。スタンドアロン型リッチクライアント製品によっては、異なるバージョンの実行環境を複数インストールできる製品もあり、実行環境のバージョンアップによるリッチクライアント・アプリケーションへの影響を和らげることができるが、そうでない製品の場合、実行環境のバージョンとリッチクライアント・アプリケーションとの関係を管理したうえでリッチクライアント・アプリケーションや実行環境のバージョンアップを継続的に行っていかなくてはならない。
懸念される異種混在のスタンドアロン型実行環境 |
ユーザー企業側では、バージョン管理が容易などれか1つのスタンドアロン型リッチクライアントに使用を制限してしまう選択肢もあるが、既存資産の活用や外部企業との関係、さらにインターネット上のリッチクライアントを従業員が個別に利用することを考慮するとたやすいことではない。過去のC/Sシステムのときと比べ、簡単に実行環境をインストールできることがかえって統制を難しくする可能性がある。
スタンドアロン型リッチクライアントの導入においては、ある程度異なる実行環境が混在する環境を想定しておく必要があるだろう。
また、リッチクライアントだけでなく、クライアント/サーバシステムのクライアントであるファットクライアントやHTMLクライアントが混在する環境への対応も必要である。これまでの導入事例でもすべてリッチクライアントに変更した例はなく、適材適所でクライアントの技術を選択している。今後もこの傾向は変わらず、これらが混在した環境は維持されていくだろう。
よって、スタンドアロン型リッチクライアント製品も含めクライアント側の技術(リッチ、ファット、HTML)がその時々によってすげ替えられ得たとしても、その影響範囲を限定的なものにできる仕組みが必要となるだろう。
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INDEX |
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スタンドアロン型の次世代デスクトップ環境を占う | ||
Page1 最近のスタンドアロン型リッチクライアントの動向/User Experience性重視への対応/ブラウザ型リッチクライアントによるスタンドアロン型への対応 |
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Page2 次世代デスクトップ環境への応用/スタンドアロン型リッチクライアント普及時の課題/懸念される異種混在のスタンドアロン型実行環境 |
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Page3 リッチクライアント開発における共通課題/Rich Client Frameworkの必要性/スタンドアロン型リッチクライアントの将来 |
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