ユーザー自らDB連動型のWebアプリを作る
Web 2.0アプリ自動生成ツール“Tuigwaa”
四次元データ西岡 悠平/染田 貴志
2006/6/23
■ユーザーが自らWebアプリを作成するツール“Tuigwaa”
Tuigwaaはまずその基本理念として、Webアプリケーションを作成する際にユーザーに対してはブラウザ以外の特別なツールは要求しません。これにより、極力クライアントに依存せず、ブラウザさえ使える環境ならばOSを問わずその機能を利用できます。
Tuigwaaの主要な要素としては
- コンテンツ管理
- データベース管理
- ロジック管理
が三本柱として存在します。まずコンテンツ管理においては、ページの作成や編集、フォルダによる階層管理機能などを提供します。この機能を用いて、従来のwikiやblogといった感覚で非定型の文書を扱うことができます。そして、データベース管理ではデータモデルの定義やデータの入力・編集・削除といった機能を提供しており、Excelのような画面にてデータ編集をするといった機能も持ち合わせています。ロジック管理では、イベントベースで処理を指定する機能などが提供されています。これらの機能の組み合わせにより、
- あるページに、テーブルの一覧を表示する(図3)
- あるページでは、テーブルのレコードの内容を詳細に表示する(図4)
- あるページのフォームの入力後に別のページに遷移して、入力データに従った表示をする(図5〜7)
- あるテーブルのレコードの一部を編集するフォームを出力する
- あるURLにアクセスされた場合にテーブルの内容を変更する
- あるテーブルにデータが入力された場合にメール送信をする
- あるページにアクセスした際に、データ数が一定値を超えた場合、別のページに遷移する
といったことが可能となります。これらの機能を柔軟に組み合わせることにより、冒頭の例のような名簿管理システムや説明会受け付けシステムなどの構築が可能です。
図3 データベースに格納されたテーブルの一覧を表示 (画像をクリックすると拡大します) |
図4 図3のリストから「詳細」ボタンをクリックすることで別ページに遷移 (画像をクリックすると拡大します) |
図5 申し込みフォーム (画像をクリックすると拡大します) |
図6 フォーム入力後の別ページへの遷移(正常フロー) (画像をクリックすると拡大します) |
図7 フォーム入力後の別ページへの遷移(例外フロー) (画像をクリックすると拡大します) |
また前項で説明したように「バイトコードエンジニアリング」という技術を用いて、開発者が作成するWebアプリケーションと同等のものが内部的に生成されるという仕組みになっており、より自由度の高い形でデータを扱うことが可能となっています。一般的にリレーショナルデータベースシステムの設計で検討されることの多い1対多、多対1、多対多の関連などを表現することも可能です。これらの各機能の詳細に関しては、Tuigwaaの公式サイトを参照してください。
本稿の執筆時点ではベータ版として0.8がリリースされていますが、2006年夏には安定版である1.0のリリースを予定しています。
■ゆめ
Tuigwaaが目指すのは、売上管理などといった基幹システムを構築することではありません。日常にあふれているさまざまな情報のやりとりの中で、これまでは解決できなかったような、もしくはシステム化の観点からは見向きもされなかったような煩雑な作業・業務をWebアプリケーション化することです。
そして、こうしたシステム化の取り組み自体が、通常のトップダウンではなく、現場のユーザーの手により行われる、という仕組みの実現を目指しています。
その結果、業務の隅々まで適切にシステム化され、現場の皆さんの日常業務が少しずつ改善されることを望みます。そして「本来の業務に集中できたり、家族と過ごす時間が増えたり」、そんな豊かな情報社会の一助となるツールを目指しています。
筆者プロフィール |
四次元データ 西岡 悠平/染田 貴志 2005年度上期未踏ソフトウェア創造事業に採択され、2005年7月から2006年2月までTuigwaaの開発を2人で行う。現在はともに株式会社四次元データに所属し、Tuigwaaのビジネスを展開中。 |
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INDEX |
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ユーザー自らDB連動型のWebアプリを作る Web 2.0アプリ自動生成ツール“Tuigwaa” |
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Page1 いつまでもWebアプリ化されない現場 |
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