.NET「本音」相談室(第1回)

―― 誤解を恐れず大胆解説。これで分かった.NET ――

塩田 紳二
2007/10/31

.NETっていったい何?

 はっきりいって、「.NET(ドットネット)」が何だか分からないという人は少なくないと思う。マイクロソフトのサイトを見れば、あちこちに.NETというキーワードはあるし、本屋に行けばそれなりに本もいっぱいある。しかし、大半は、ソフトウェア開発者向けのものであり、いきなりプログラミングの話である。ソフトウェア開発者にとってはメリットがあるのかもしれないが、ITにかかわるそれ以外のユーザーには何がメリットなのか、そもそも、.NET自体が、何なのかがよく分からない。

 筆者も実は、最初は何だか全然分からなかった。だいたい、マイクロソフトの発表は、具体的な製品以外は、分かりにくいのが常である。.NETの前は、「Windows DNA」だの「デジタル神経何とか」*1だの何だかよく分からない話をしていたし、.NETも最初の発表(2000年6月)を見ると「マイクロソフト、次世代インターネットのビジョンを発表」となっている(この発表に関連する記事)。また、同じ年の11月にビル・ゲイツがイベントで.NETについて語ったプレス発表も「マイクロソフトのチーフ・ソフトウェア・アーキテクト 未来のインターネット構想を語る」となっている。しかし、いまのところインターネットが次世代になったという話は聞かないし、ビジョンが実現したような気配もない。

*1 デジタル・ナーバス・システム(digital nervous system)。人間の神経系に例えて、マイクロソフトが目指す次世代情報システムを表現したもの。しかし、いつのまにか使われなくなった。

 この連載は、システム管理者を中心に、ITにはかかわっているがソフトウェア開発者ではないといった人向けに、こんな分かりにくい.NETを解説し、積極的な活用を前提に、あくまで前向きに理解しようというものだ。

 しかしもともとが分かりにくいので、普通に記事を書いていると、どれだけ書いても書き足りなくなってしまうし、読者の方も長い記事を延々と読まされてまた来週、では疲れてしまうだろう。そこで本稿は、全体をQ&A形式にして、小さな記事をたくさん作って、少しずつ理解できるような構成を取ることにした。1つの記事で読み切りなので、記事が公開されるごとに順次読んでもよいし、ある程度数が増えてから一気に読んでもよい。

 できるだけコンパクトな記事を目指すので、あるところでは非常に大ざっぱな記述になるが、別のところではそれを細かく説明という感じになる。学校の授業みたいに、低学年では、「植物には太陽の光が必要です」とまずは大ざっぱに説明しておき、後で「植物は光合成をします」になり、「光合成は葉緑体が……」といった感じで段階を追って詳細に説明される感じである。

 また説明に当たって、「分かりやすさ」と「厳密な表記」がトレードオフになってしまう場合や、状況証拠からの推測が必要な場合などは、あくまで「分かりやすさ」を優先し、誤解を恐れることなく、筆者の独断で説明させていただく。この記事は、あくまで筆者と編集部の責任で書いているので、その点お間違えのないように願いたい。

 もちろん、ソフトウェア開発者の方が読んでいただいても構わないが、管理者の方などをメインに考えているため、開発者視点で見ると、説明が少し冗長に感じられるかもしれない。

 能書きはこのくらいにして、さっそく記事の方を始めることにしよう。

 

 INDEX
.NET「本音」相談室(第1回)
    Q1:.NETとは何か?
    Q2:.NETはなぜ分かりにくいのか?
    Q3:どうしていま、.NETなのか?
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