検証 2.アプリケーション テスト デジタルアドバンテージ2000/03/25 |
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Word 2000テスト
Word 2000テストでは、本サイトで現在公開している「特集:Windows 2000とは何か?」のHTMLデータ(画像を含む、約740Kbytesのデータ。A4判77ページ分のデータに相当する)をWord 2000で読み込み、VBAスクリプトで以下の処理を連続的に実行する。
- 表示されたドキュメントを最下部まで順次スクロール表示
- 最終ページ(約1ページ分)をカットし、ドキュメントの先頭部分にペースト
- 今ペーストした部分を再度選択してカット
- カットした部分を最初の位置(最終ページ)に戻すために、近辺にあった文字列を検索。文字列が検索されたら、その位置にクリップボードの内容(前にカットした内容)をペースト
- ドキュメントを逆にスクロールさせて先頭位置に戻り、文章全体を選択
- カット&ペーストを2回繰り返す
- 表示モードをWebレイアウトから印刷レイアウト、下書きにそれぞれに変更する
- 「Windows 2000」をすべて「Windows2000」に文字列置換(「Windows」と「2000」の間にあるスペースを取り除く)
- 「Windows2000」をすべて「Windows 2000」に文字列置換(スペースを元どおりに挿入する)
- ドキュメント中にスペースを60個挿入した後、バック スペースですべて削除
- ファイルとして保存されたビットマップ(約960Kbytes)を6回繰り返してドキュメント中に読み込み
- 貼り付けたビットマップの拡大と縮小
ベンチマーク テストでは、以上の処理を3回繰り返して実行し、テスト プログラムが終了するまでの時間を計測した。なお、以下のExcel 2000テストやPowerPoint 2000テストも同様だが、アプリケーション設定はすべてインストール直後のデフォルトの状態のまま、テストを実施している。
テストで行っている処理自体は前述したとおりだが、実際にテストを行ってみると、スクロール処理に全体の80%程度の時間がかかっている。ワードプロセッサを実際に利用する場合、スクロール処理はかなりの頻度で実行されるものと思われるが、テストのバランスとして適切かどうかは意見が分かれるところかもしれない。いずれにせよ今回のWord 2000テストでは、スクロールによるBitBlt(ビットブリット)描画処理の性能が結果に大きな影響を及ぼすことになる。
Word 2000のベンチマークテスト |
ドキュメントのスクロールやカット&ペースト、文字列置換などを連続して行う。処理項目は多岐にわたるが、処理時間全体の約80%はスクロールに当てられており、BitBltの性能が結果に大きな影響を及ぼす。 |
Excel 2000テスト
Excel 2000テストでは、東京都人口統計情報(約24Kbytes:140行×11列のシート。)を読み込み、やはりVBAスクリプトを使って次のような一連の処理を行う。
- 区部における各区別の人口に関するパイ グラフを作成
- 静的な数値として挿入されている各種データの合計や男女比などの値を計算式に変更
- 描画したグラフを移動、拡大、余白などの整形
- 別シートに人口男女比の3D棒グラフを作成
- 描画したグラフの拡大、縮小、移動、回転
- これまで作業していたファイルを一度閉じ、同じファイルを再度開く
- 東京都全体の市区町村(離島を含む)のシートを表示し、これを拡大・縮小表示
- このシートの空行を削除するなどし、シートを整形する
- シート全体を選択し、セル幅を自動調整
- オート フォーマットの実行(あらかじめ定義されたデザインに自動変更)
- 総人口、男女比、人口密度などの各項目について、昇順と降順でソート
- 全市区のパイ グラフの作成
- シートからデータ部分のみを選択し、新しいシートにコピー
- 新しいシート上で全データを対象とする棒グラフを作成
- 作成した棒グラフを拡大・縮小、余白などを整形
- ファイルを閉じる
- スクリプトから新しいブック(ファイル)を作成し、140行×13列のセルで構成されるローン計算処理用のシートを自動生成(約1000個の計算項目を含む)
- シートの数値を変更し、再計算を6回繰り返す
以上の処理を20回繰り返し実行する。
Excel 2000のベンチマークテスト |
東京都人口統計情報を元にグラフの描画や表の整形などを行うことで、スプレッドシート操作の実環境をシミュレートした。Word 2000のテストに比べ、描画処理の比率が高く、その影響が現れやすい。 |
PowerPoint 2000テスト
グラフィックス プレゼンテーション アプリケーションのPowerPoint 2000テストでは、直線や楕円、図形の描画と塗りつぶし処理など、主に2Dグラフィックス描画処理をVBAを使用して繰り返し実行した。具体的な処理内容は次のとおり。
- スライド1に直線を120本、内部を塗りつぶした長方形、内部塗りつぶした楕円形をそれぞれ15個描画し、長方形および楕円形の内部に文字列を描画
- スライド1をスライド2にコピー
- スライド1上で続けて3Dワードアート(3D表現された文字)を描画
- さらにスライド1上で長方形と楕円形80個をそれぞれらせん状に描画。この際、図形を1つ描画するたびに、3Dワードアートを回転させる
- スライド1全体にテキストを描画して埋め尽くす
- スライド1をスライド3にコピー
- スライド1上で3Dワードアートを移動、拡大、回転
- スライド1をスライド4にコピー
- スライド1〜4の表示を21回繰り返す
このようにPowerPoint 2000テストでは、ファイル アクセスなどは行わず、もっぱら図形の描画を繰り返している(テスト回数は1回で、繰り返し実行はなし)。PowerPoint自体の処理も行われるが、ほとんどの時間はグラフィックス描画と文字列描画処理に費やされると考えてよいだろう。したがってこのテスト結果から、各OSのグラフィックス描画性能を比較できるはずだ。
PowerPoint 2000テスト |
このテストでは、直線や楕円の描画、図形の塗りつぶし、文字の描画など、VBAを使ってグラフィックス描画を繰り返し実行している。テスト途中でのファイル アクセスなどはほとんど行われず、テスト時間の大部分はグラフィックス描画に費やされている。 |
アプリケーションテストの結果
以上のアプリケーション テストの結果を下のグラフに示す。このグラフでは、各OSの差に注目するために、Windows 98 SEのテスト結果を1として、各OSでの実行結果を比で表した。そして性能が高かったものほど(テストの実行時間が短かったものほど)結果の数値が大きくなるように(棒グラフが長くなるように)している。
Word 2000テストの結果 |
BitBlt処理が多いWord 2000テストでは、NTWS 4.0およびWindows 2000 ProがWindows 98 SEを凌駕する結果となった。BitBlt処理では、フル32bit環境が有利ということか。 |
Excel 2000テストの結果 |
このテストでは、NTWS 4.0がWindows 98 SEやWindows 2000 Proを抑え、抜きんでて高速という結果になった。PowerPoint 2000テストとWord 2000テストの結果を勘案すれば、NTWS 4.0の好成績は、BitBlt性能の高さによるものと推定される。これに対しWindows 2000 Proが振るわないのは、2Dグラフィックス描画性能が影響したからだろう。 |
PowerPoint 2000のテスト結果 |
このテストでは、もっぱらグラフィックス描画を繰り返しており、各OSのグラフィックス サブシステムの性能差が顕著に現れる。OSが高機能化、巨大化している分、NTWS 4.0やWindows 2000 Proのグラフィックス処理もそれに伴ってオーバーヘッドが大きくなってしまったというところだろうか(まだチューニングが十分でないということも考えられる)。 |
グラフの順番どおりではないが、まずはテストでの処理内容が最もグラフィックス描画処理に特化されているPowerPoint 2000テストに注目してみよう。前述したとおり、このテストでは、もっぱらグラフィックス描画を繰り返しており、各OSのグラフィックス サブシステムの性能差が顕著に現れるはずだ(デバイス ドライバ レイヤの性能を含む)。グラフから分かるとおり、NTWS 4.0はWindows 98 SEと比較して約9%遅く、Windows 2000 ProはこのNTWS 4.0からさらに約8%遅いという結果になった。Windows 98 SEとWindows 2000 Proを比較すると、Windows 2000 Proは約17%遅いということになる。OSが高機能化、巨大化している分、NTWS 4.0やWindows 2000 Proのグラフィックス処理もそれに伴ってオーバーヘッドが大きくなってしまったというところだろうか(まだチューニングが十分でないということも考えられる)。ただし、他のテストを見れば分かるとおり、これはあくまでグラフィックス処理に大きく傾倒したテストの結果であり、この差がそのままアプリケーションの利用環境として現れるわけではない。あくまで2Dグラフィックスの描画性能だけに特化された結果だと理解すべきである。
この結果を踏まえたうえで、前者2つのWord 2000テストとExcel 2000テストの結果を見てみよう。まずWord 2000テストだが、PowerPoint 2000テストからは一転して、NTWS 4.0およびWindows 2000 Proが、いずれもWindows 98 SEを凌駕する結果となった。Windows 98 SEとの差は、NTWS 4.0で約32%、Windows 2000で約29%である。最初に述べたとおり、このWord 2000テストでは、ドキュメントのカット&ペーストや検索、文字入力など、テスト項目としてはさまざまな処理を行っているが、処理全体の約80%はドキュメントをスクロールするためのBitBlt処理に費やされており、PowerPointテストで中心となった2Dグラフィック描画はほとんど行われていない。グラフィックス カードとデバイス ドライバの影響もあるので、一概にOS自身のグラフィックス サブシステムの性能差とは断定できないが、ことBitBlt処理性能に関しては、Windows 98 SEよりも、フル32bit環境であるNTWS 4.0やWindows 2000 Proのほうが有利で、NTWS 4.0およびWindows 2000 Pro間ではそれほどの性能差がないと言えそうだ。
次はExcel2000テストだが、このテストでは、NTWS 4.0がWindows 98 SEやWindows 2000 Proを抑え、抜きんでて高速という結果になった。具体的にはNTWS 4.0は、Windows 98 SEに比較すると約25%高速、Windows 2000に比較すると約28%高速という結果である。このExcel2000テストでは、2Dグラフィックス処理を多用するグラフの描画と、描画したグラフやシートの拡大・縮小などのBitBlt処理が組み合わされている。PowerPoint 2000テストとWord 2000テストの結果を勘案すれば、NTWS 4.0の好成績は、BitBlt性能の高さによるものと推定される。これに対しWindows 2000 Proが振るわないのは、2Dグラフィックス描画性能が影響したからだろう。しかし、Word 2000テストおよびPowerPoint 2000テストの双方とも、NTWS 4.0とWindows 2000 Proはいずれも結果が近かったことを考えると、Excel 2000テストで両者の結果がこれだけ開く理由は不明である。
INDEX | ||
[検証]Windows 2000の性能を評価する | ||
1.テスト環境とテスト概要 | ||
2.アプリケーション テスト | ||
3.マルチタスクテスト/ファイルI/O、ネットワークI/Oテスト | ||
検証 |
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