検証
Windows 2000の性能を評価する

1.テスト環境とテスト概要

デジタルアドバンテージ
2000/03/25

 今回のテストでは、大手メーカー製品ではないジェネリックなPCを使用した。基本仕様は以下のとおりである。

デバイス 仕様
マザーボード Intel CA810
CPU Celeron-433MHz
メモリ 64Mbytes(PC100 SDRAM)
チップセット i810-DC
グラフィックス i810内蔵(ディスプレイ キャッシュ:4Mbytes)
ハードディスク IBM DPTA-351500(UltraDMA/66対応15Gbytes)
CD-ROMドライブ LITE-ON Technology LTN-382(最大40倍速)
ネットワーク インターフェイス メルコ LGY-PCI-TXR(100BASE-TX)
テストマシンの主な仕様

 ハードディスク容量が15Gbytesと少々多いことを除けば、この原稿執筆時点(2000年3月)で市販されている7万円程度のエントリPCの仕様に近い。またCeleronは存在しなかったが、1年半ほど前に販売されていたミドルレンジPCの性能がこの程度だったと考えられる。つまり今回のテストでは、(1)現在市販されているエントリPCでWindows 2000は実用になるのか、(2)1年半ほど前に購入したミドルレンジPCをWindows 2000に移行するのが現実的かどうか、という2つの側面を知ることができる。

 なおテストでは、まったく同じハードディスクを3台用意し、内部をOSインストール用のパーティション(4Gbytes)と、テスト用のデータなどを保存する5Gbytesのパーティションに分割した(残る6Gbytesは未使用のまま)。このようにOS用の領域とデータ用の領域を別パーティションにしたのは、ファイルI/O性能をテストする際に、結果がディスク中の物理的なトラックの位置に影響されないように、読み書きされるデータの物理的な位置を統一するためである。

 こうしてパーティションを分割した3つのハードディスクのOS用領域に対し、それぞれWindows 98 SEとNTWS 4.0(Service Pack 5を組み込み済)、Windows 2000 Proをインストールする。各ディスクの論理フォーマットは、インストールするOSごとに次のようにした。

  Windows 98 SE NTWS 4.0 Windows 2000 Pro
OS用(C:ドライブ) FAT32(4Gbytes) NTFS 4(4Gbytes) NTFS 2000(4Gbytes)
データ用(D:ドライブ) FAT32(5Gbytes NTFS 4(5Gbytes) NTFS 2000(5Gbytes)
クラスタ サイズ C:4Kbytes/ D:4Kbytes C:512bytes/ D:4Kbytes C:4Kbytes/ D:4Kbytes
ディスクDMAモード Ultra DMA/33 Ultra DMA/33 Ultra DMA/33
グラフィックス ドライバ マザーボードに付属のもの マザーボードに付属のもの Windows 2000に標準で付属するもの
ネットワーク カード ドライバ カードに付属のもの カードに付属のもの Windows 2000に標準で付属するもの
各OSのテスト環境
各OSで標準的なファイル システムとクラスタ サイズを選択した。OS用とデータ用を分けたのは、ファイルI/Oの性能を調べるときに、書き込み/読み出しの物理的なデータの位置を各OSで同じにするため。

 各パーティションのクラスタ サイズは、デフォルトの値をそのまま使用した。この結果、NTWS 4.0のC:ドライブが512bytesだった以外は、すべて1クラスタ4Kbytesになった。

 Windows 98 SEとNTWS 4.0については、グラフィックス ドライバはマザーボード付属のものを、ネットワーク カード ドライバはカード付属のものをそれぞれ組み込んだ。これら双方とも、Windows 2000 Proについては、Windows 2000 Proに標準で付属するデバイス ドライバを組み込んでいる。なおIDEドライバは、すべてDMAモード(Ultra DMA/33)で動作していた。

ベンチマーク テストの概要

 冒頭でも述べているとおり、今回はアプリケーション レベルにおけるWindows 98 SEとNTWS 4.0、Windows 2000 Proの性能比較を行う。具体的には、最も典型的なビジネス アプリケーションとしてMicrosoft Office 2000を使用し、この中からワードプロセッサのWord 2000、スプレッド シート(表計算)のExcel 2000、ビジネス プレゼンテーション ソフトウェアのPowerPoint 2000を使用して、各アプリケーションにおける特徴的な一連の処理を自動実行するプログラムをVBA(Visual Basic Application)で作成した。テスト内容によって度合いは異なるが、このアプリケーション ベンチマークでは、メモリやグラフィックス、ディスクのアクセス性能が総合的に結果に影響を及ぼすことになる。

 また各OSのマルチタスク性能を調査する目的で、上記WordテストとExcelテストを同時に実行し(Wordをフォアグラウンド側、Excelをバックグラウンド側で実行)、双方のテストが完了するまでの時間を計測した。

 さらにアプリケーション テストとは別に、ファイルI/OとネットワークI/Oを調査するためのテストも行った。これら2つのテスト内容はまったく同じもので、後者のネットワーク テストでは、共有フォルダ上のファイルに対して、ファイルI/Oテストと同じテストを実行している。

 各テストの詳細は追って詳しく解説するとして、ここでは各テストの内容と、目的を簡単にまとめておこう。

テスト項目 テストの内容
Word 2000テスト 741Kbytes(A4判77ページ分)のWordファイルを読み込み、スクロールやカット&ペースト、検索、図版の貼り付け、図版の拡大、文字の削除など、一連の文書処理を3回繰り返し行う。これにより、文字処理を中心とするアプリケーションの実行性能が分かる。
Excel 2000テスト 140行X11列を含むシートを使用して、シートのスクロールやグラフの描画、表示サイズの変更などを行い、さらに6行×13列のセルを別のシートからコピーし、合計値を再計算するという処理を20回繰り返し実行する。基本的な処理は上のWord 2000テストとあまり変わらないが、このExcel 2000テストでは、2Dグラフィックスによるグラフ描画を繰り返し行っている(Word 2000テストでは2Dグラフィックス描画はあまり含まれていない)。
PowerPoint 2000 テスト 4枚のスライドに対し、スクリプトを使って多数の四角形や楕円、直線などの図形(や文字)を描画し、出来上がったスライドを順に20回繰り返し表示させる。これにより、2Dグラフィックスの描画性能を調べることができる。
マルチタスク テスト バックグラウンド側(背面側ウィンドウ)で上記Excel 2000テストを実行しながら、フォアグラウンド側(前面側のウィンドウ)で同じくWord 2000のテストを実施する。各テストの進捗状況などをテスト中に監視するとともに、各テストの実行時間を計測することで、フォアグラウンド/バックグラウンド アプリケーションのタスク スイッチのスムースさや、いずれの側にプライオリティを置いているか(どちらを優先的に実行しているか)などが分かる。
ファイル テスト1 多数のフォルダやファイル(全体では681個)を含むフォルダ(総計16Mbytes。ファイル1つの平均サイズは約24Kbytes)をツリーごと別フォルダにコピーした後、元のファイルを削除し、さらにコピーしたファイルを再び元のフォルダに書き戻す。多段にわたるフォルダ ツリーの走査や、ディレクトリ エントリの走査など、ファイルに含まれるデータの単純な転送性能だけでなく、多数の小さなファイルをアクセスする場合の性能を評価できる。
ファイル テスト2 約57Mbytesの1つのファイルを別フォルダにコピーし、元のファイルをいったん削除、再びコピー先から書き戻す。ファイルは1つしかないので、ディレクトリ エントリの走査などはほとんど発生しない。動画や音声など、大容量のファイルを転送する場合の性能を知ることができる。
ネットワーク テスト1 ローカル ディスクとネットワーク上の共有フォルダ間でファイル テスト1を実行する。相手のサーバーはWindows 2000 Serverで、ネットワークには100BASE-TXを使用している。
ネットワーク テスト2 同じく、ローカル ディスクとネットワーク上の共有フォルダ間でファイル テスト2を実行する。大容量ファイルを転送する場合のネットワークI/O性能を知ることができる。


 INDEX
  [検証]Windows 2000の性能を評価する
  1.テスト環境とテスト概要
    2.アプリケーション テスト
    3.マルチタスクテスト/ファイルI/O、ネットワークI/Oテスト

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