最大深刻度 |
警告 |
報告日 |
2004/06/09 |
MS Security# |
MS04-017 |
MSKB# |
842689 |
対象環境 |
Visual Studio .NET 2003 |
再起動 |
なし(ただしファイルが使用中の場合は再起動が必要) |
セキュリティ・ホールの概要と影響度
マイクロソフトの最新のソフトウェア開発環境であるVisual Studio .NET 2003(以下VS.NET 2003)に付属のレポート・ツール「Crystal Report」に脆弱性があり、情報漏えいやサービス拒否攻撃の危険があることが公表された。Crystal Reportは、米Business Objects社が開発したレポーティング・ツールで、これを利用することで、Webアプリケーションにチャートや帳票などの出力機能を簡単に追加できる。Crystal Reportの詳細については関連記事を参照されたい。
このCrystal Reportの脆弱性は、特定のHTTP要求を処理する際に適切な入力検査を実施していないことに起因する。このためCrystal Reportを実行しているコンピュータから、ファイルの取得や削除が実行されたり、サービス拒否攻撃を許容したりする。マイクロソフトは、Crystal Reportのカスタム版を自社のいくつかの製品に添付している。しかし日本語版が提供されているのはVS.NET 2003のみである(ほかはOutlook 2003 with Business Contact ManagerとMicrosoft Business Solutions CRM 1.2がある)。
今回の脆弱性の影響を受けるコンピュータは、VS.NET 2003をインストールして(Crystal Reportコンポーネントはデフォルトでインストールされる)、かつWebサーバであるIISを実行しているものに限られる。一般にWebアプリケーションの開発者は、自身のコンピュータにIISをインストールして、Webアプリケーションの実行テストを行う。このようなコンピュータは攻撃対象になるので、修正プログラムを適用して脆弱性を解消する必要がある。VS.NET 2003をインストールしていても、IISをインストールしていない場合は脆弱性の影響は受けない。従ってIISを無効にすれば、修正プログラムを適用しなくても、一時的に脆弱性の影響を回避できる。
また開発環境だけでなく、VS.NET 2003でCrystal Reportsを利用したカスタム・ソリューションを作成した場合、今回の脆弱性の影響を受ける可能性がある。VS.NET 2003からCrystal_Managed2003.msmマージ・モジュールを使用した場合には、回避策の情報や修正プログラムをマイクロソフトやCrystal Reportの開発元であるBusiness Objects社から取得し、対応する必要がある。ただしカスタム・ソリューションと修正プログラムの互換性はマイクロソフトもBusiness Objects社も保証しないとしている。
対象プラットフォーム
今回修正プログラムが提供される環境はVS.NET 2003のみである。
影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Visual Studio .NET 2003 |
Visual Studio .NET 2003 |
なお修正プログラムの適用時には、VS.NET 2003インストールCDが要求されるので、インストールCDをCD-ROMドライブに挿入してから適用作業を開始する。CD-ROMドライブのないノートPCなどに適用する場合には、VS.NET 2003のインストールCDから必要なファイル(Disc1の「vs_setup.msi」)を事前にハードディスクにコピーしておくとよい。
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