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マイクロソフト、Windows 2000を正式出荷

―― 恒例のカウントダウン イベントは盛況なるも、翌日の記者向け説明会では、「企業向けOS」であることを強調。果たしてその真意は? ――

デジタルアドバンテージ
2000/02/19

 2000年2月18日、マイクロソフトは、Windows 2000 Professional、Windows 2000 Server、Windows 2000 Advanced Serverの正式出荷を開始した(Windows 2000の発売開始に関するマイクロソフトのニュースリリース米Microsoftのニュースリリース)。

 2月18日午前零時からは、恒例となったカウントダウン販売が秋葉原などのパソコン ショップで実施された。またこのカウントダウン販売から一夜開けた18日午前には、報道関係者向けの記者発表会が、午後にはマイクロソフトの企業顧客や一部の報道関係者などを招いたWindows 2000の出荷イベント(Windows 2000 Enterprise Summit)がそれぞれ開催された。

1時間で1500本を販売? 秋葉原では、恒例のカウント ダウン販売が実施

 2月18日午前零時、東京秋葉原や新宿など、全国各地のPCショップでは、Windows 95やWindows 98で恒例となったカウントダウン販売が実施された。実数は明らかではないが、人出はWindows 98発売時と同程度だった模様だ。当日はマイクロソフト代表取締役社長の成毛 真 氏を始め、東芝やNECなどの主要PCベンダの幹部たちが各ショップのイベントに参加し、お祭りムードを盛り上げていた。

 情報筋によれば、秋葉原地区のカウントダウン販売では、午前零時からの1時間で約1500本が売れたという。最も売れ行きが好調だったのは、「抽選で100名にプレイステーション2が当たる」という販売キャンペーンを展開したソフマップだったという。

 米Microsoftは、「世界で開催されたWindows 2000の出荷イベント(Windows 2000 Launch Events Link Customers, Partners Around the World)」というニュースリリースの中で、この秋葉原でのカウントダウン イベントの内容を写真入りで紹介している。

一夜明けた記者発表では、一転して「企業向けOSである」と強調

 前出のカウントダウン イベントから一夜明けた18日午前、マイクロソフトは、報道関係者向けの記者発表会を開催した。カウントダウン イベント自体は、Windows 95/Windows 98のそれと変わらない盛り上がりをみせたにもかかわらず、一夜明けたこの記者発表会において成毛氏は、一転して「Windows 2000は『企業向けOS』であり、初心者にお勧めするものではない」と発言して記者団を驚かせた。

 これは、「初心者ユーザーの中には、Windows 2000をWindows 98の後継OSだと考えている人が少なくない。混乱を招いているのではないか?」という記者からの質問に対する答えの中で発言されたものである。さらに成毛氏は、「Windows 98の後継はWindows 2000ではなく、2000年中の出荷が予定されているMillenniumだ」と述べた。

 PC関連雑誌の付録CD-ROMを媒介としたRC2バージョンの大量配布や、これらRC2ユーザーに対する特典の付与(特典の詳細については別稿を参照)、前出のカウントダウン イベントなど、明らかに個人ユーザー向けの数々の施策が行われてきただけに、上記発言は意外なものとして受け止められた。発言の真意のほどは定かでない。しかしWindows 2000は、当初のマーケット調査の段階から、「マイクロソフトの新しいWindows OS」と捉えるユーザーが大勢を占めたと言われる。OSの安定性やセキュリティ機能ではWindows 9xを凌駕するWindows 2000ではあるが、少なくとも当初は、デバイスドライバ サポートなどの点で不安が残る。数々のマーケティング施策が功を奏し、前夜のカウントダウン イベントの反響が予想外に大きかったために、ドライバ サポートや互換性問題に対する懸念が急速に拡大したのかもしれない。

 確かに、Windows 2000関連のニュースグループなどを見ても、インストールでトラブルに遭遇する人も少なくないようだ(msnews.microsoft.comのmicrosoft.public.jp.win2000など)。幸いなことに、ニュース グループでは、こうしたトラブルの解決法などをアドバイスしてくれるパワー ユーザーの力を借りることが可能だ。しかしこれとて、ある程度PCやWindowsに関する知識は必須である。このようなニュースグループのメッセージを見ても、内容がちんぷんかんぷんというユーザーは、あきらめてWindows 9xを使い続けるか、どうしてもWindows 2000が必要だというなら、動作保証のあるプレインストール マシンを購入すべきだろう。主要PCベンダ各社は、自社のPCラインアップにWindows 2000のプレインストール モデルを設定し、販売を開始または発売を予定している。

データベース トランザクションのベンチマーク テストにて、驚異的な結果をマーク

「Windows 2000は、TPC-Cベンチマーク テストで驚異的な結果を叩き出した」と語るマイクロソフト(株) 代表取締役社長 成毛 真 氏

 この記者向け発表会に続き、午後からは、Windows 2000の導入を予定している顧客や、今後の導入を検討している顧客、一部の報道関係者ら約300名を招待し、「Windows 2000 Enterprise Summit」という発表イベントを開催した。このイベントでは、参加者全員に対し、Windows 2000 Professionalをインストールし、ネットワーク接続されたノートPCを用意し、これをクライアントとして参加者自身がデモに参加するという、珍しいユーザー参加型のデモンストレーションが実施された 。

 デモに先立って挨拶に立った成毛氏は、「Windows 2000は、インターネット時代のビジネス ソリューションを提供するために開発されたOSだ」と述べ、続いて米国の著名な評価機関によるデータベース システムのベンチマークテストにおいて、Windows 2000 Advanced Server+SQL Server 2000の組み合わせが、従来は考えられなかった驚異的な好成績を叩き出したことを紹介した。これはデータベース システムの評価としては著名なTPC-Cで、このテストによれば、Windows 2000 Advanced Server+SQL Server 2000の組み合わせによって、1分間に22万7079トランザクションという結果をマークしたとされる。従来最速だったIBM AIX+Oracle 8iの組み合わせでは13万5815トランザクション、Sun Solaris+Oracle 8iの組み合わせでは13万5461トランザクションだったので、Windows 2000はこれらよりも約167%高速だということになる。

 成毛氏の発表によれば、1分あたり22万7079トランザクションという数値は、著名なオークション サイトであるe-Bayと、インターネット上の書籍販売大手のamazon.comで発生するトランザクションを合計したものの600倍に相当する規模だという。また1トランザクションあたりにかかるコストも、Windows 2000 Advanced Server+SQL Server 2000の組み合わせでは19.12ドルなのに対し、IBM AIX+Oracle 8iの組み合わせでは52.7ドル、Sun Solaris+Oracle 8iの組み合わせで97.1ドルと、Windows 2000は圧倒的に優位な結果となった。

256クライアントをネットワーク接続した、珍しいユーザー参加型デモンストレーションを実施

Microsoft Windows 2000 Enterprise Summit会場
このイベントでは、イベント参加者自身が机上に用意されたクライアントPCを操作し、デモンストレーションに参加するという珍しい試みがなされた。

 Enterprise Summitの会場には、2Tbytesという大規模なデータベースなどを含むサーバシステムが持ち込まれ、これに各参加者が操作する256台のクライアントPCをGigabit Ethernetネットワークで接続した仮想的な情報システムが構築された。このクライアントPCには、スマート カード リーダーが接続されおり、参加者は受付で渡されたスマート カードをこれに挿入し、ユーザー認証を受けるようになっていた。

 具体的なデモンストレーションとしては、Active DirectoryやIntelliMirrorの機能性を体感できるものに加え、仮想的に構築された2Tbytesのデータベースに対し、参加者が各自のクライアントPCから、トランザクションを発生させるというものが紹介された。これは仮想的に構築されたオンライン書籍販売用のデータベースで、参加者はクライアントPCから書籍発注を行い、同時にソフトウェアで擬似的なトランザクションを発生させることで、数千人規模のユーザーがサーバに同時アクセスしている状況をシミュレートした。

 このデータベース システムでは、IISによるWebサービスの負荷分散や、Application Center Server 2000によるCOM+アプリケーション サービスの負荷分散を行っており、デモンストレーションでは、データベース システム全体のサービスを停止することなく、一部のサーバに接続されたネットワークケーブルを切断するなどして、擬似的にサーバ トラブルを発生させ、それでもなおデータベース システム全体としてはサービスを続行できるということを実演していた。マイクロソフトの説明によれば、インターネット ビジネスでは、24時間、365日停止せずに運用できるシステムが求められており、Windows 2000は、こうした要求に高いコストパフォーマンスで応えることができるとする。デモでは、Windows 2000は万一のトラブル時にもサービスを続行でき、あるいは必要なら、サービスを停止することなくサーバ システムを増強できる(負荷を分散するサーバを追加できる)という点を強くアピールしていた。End of Article

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  関連リンク
  Microsoft Windows 2000 」日本語版 2月18日(金)発売開始(マイクロソフトのニュース リリース)
  Windows 2000 Now Broadly Available(Windows 2000の出荷を開始)(米Microsoftのニュース リリース)
  Windows 2000 Launch Events Link Customers, Partners Around the World(世界で開催されたWindows 2000出荷イベント)(米Microsoftのニュース リリース)
  Win2000j.com(マイクロソフトのWindows 2000オフィシャル サイト)のイベント レポート
  Win2000j.comのイベント レポート(メーキング レポート)
     
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