Insider's Eye新世代SANの普及を目指す「Simple SAN」とは何か?(2)Peter Pawlak2005/06/01 Copyright (C) 2005, Redmond Communications Inc. and Mediaselect Inc. |
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MSのSimple SANイニシアティブの狙い
Windows Server 2003にはSANサポートが組み込まれているほか、以下のようなストレージ関連の機能強化が多数施されている。
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ボリューム・シャドウ・コピー・サービス(VSS)によるスナップショットのサポート。これにより、バックアップや、古いバージョンへのロールバック機能が大幅に向上している。
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仮想ディスク・サービス。DASおよびSANの両方のディスクとコントローラの管理に使用できる標準のAPIを提供する。
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SCSIやマルチ・ホスト・バス・アダプタのサポートなど、SANシナリオを支援する機能の追加(詳細については、「WindowsにおけるiSCSIサポートの強化」を参照)。
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Simple SANプログラムは、主にSANの構築に必要な手順を整理し、複雑さを隠すことで、SANの導入を簡素化し、コストを抑えることを目的としている。このため、ユーザー側で選択しなければならない機能の数を制限し、中小企業で必要とされる機能のみにフォーカスしている。同プログラムには、Microsoftまたはサードパーティの新しいテクノロジは含まれない。基本的には、次の3つの目標を達成するためのロゴ・プログラムという位置付けである。
●SANとWindows Server 2003の相互運用性の確保
Microsoftは、SANハードウェアおよびソフトウェア・ベンダに「Plugfest」と呼ばれる相互運用性テストなどの技術サポートを提供していくことで、Simple
SANロゴを取得したSANにおけるWindows Server 2003の完全な相互運用性を確保できるようにする。
●セットアップの簡素化
ベンダと協力してSANの各コンポーネントのセットアップ・プロセスとドキュメントを簡素化することで、SAN構築に必要な設定作業の軽減と、誤った設定を行う可能性を排除する。Microsoftは、PCハードウェアのインストールと設定を容易にしたプラグ・アンド・プレイと同じことを実現しようとしている。
●SANデバイスの購入ガイダンスの提供
Simple SANのロゴ・パートナー・プログラムを導入して、シンプルで展開しやすいSAN用ハードウェア・ソリューションをユーザーが特定できるようにする。
Simple SANプログラムへは、Brocade、Dell、EMC、Emulex、Engenio、EqualLogic、Hitachi Data Systems、Hewlett-Packard(HP)、Lefthand Networks、Network Appliance、NSI、QLogic、StorageTek、Yosemite Technologies、Xiotechといった、事実上SAN業界の大手ベンダが軒並み参加を表明している。
SAN導入の障害はやはり高コスト
激しさを増す競争とiSCSI技術の成熟により、すでにSANのコストはかなり下がってきている。iSCSIは、複雑で高価なファイバ・チャネル機器ではなく、より一般的なイーサネットのネットワーク・ケーブルやスイッチを使用して、サーバをストレージ・アレイに接続する技術だ。
しかし、DellとHPの現在のエントリ・レベル製品価格を基に算出すると、0.5Tbytes規模のSAN導入に掛かるコストは約1万5000ドルである。また、これはSANを利用する最大の理由であるが、高可用性や恐らくクラスタリングなどを実現するために、追加のディスク、バックアップ・サーバ、冗長ネットワーク、アダプタ、コントローラ、Windows Server Enterprise Editionのライセンス(クラスタリングが必要な場合)のコストが発生することになり、最終的なコストはこれよりもはるかに高くなるだろう。
現在、300Gbytes(0.3Tbytes)のSCSIハード・ドライブは1500ドル、RAIDコントローラは約1000ドル、600Gbytesのフォールト・トレランスを備えたDASアレイは約5500ドルであるから、SANベースのストレージには導入時点で大きな出費を強いられる。また、Simple SANを適用した場合でも、DASに比べると導入コストも保守コストも依然として高い。単純にMbytes当たりのコストを考えた場合は、DASベースのディスク・ストレージを余分に購入する方が、SANを構築するよりもコストを大幅に抑えることができる。このため、Simple SANのターゲットとなるのは、DASでは実現できないストレージ機能を必要とする企業に限られることになるだろう。
コラム Microsoft iSCSI Software Initiator 2.0 for Windows Server 2003のダウンロード提供が開始された。これは、iSCSIベースのSANの構築を可能にする重要なリリースであり、高価なファイバ・チャネル・ベースのSANと同程度の冗長性を実現する。 iSCSI Software Initiatorは、Windows 2000 ServerおよびWindows Server 2003からiSCSI SANへのアクセスを可能にするドライバである。このドライバは、ファイル・システムの読み取り/書き込み要求をiSCSIコマンドに変換して、TCP/IPプロトコルと、サーバを物理的にSANに接続している特定のギガビット・イーサネット用ネットワーク・インターフェイス・カード(NIC)またはiSCSIホスト・バス・アダプタ(HBA)に渡す。iSCSI HBAは特殊なNICだ。一部のストレージやネットワーキング関連タスクをOS(ソフトウェア)側に処理させるのではなく、iSCSI HBA(ハードウェア)側で処理を行い、その後データを標準のイーサネットNICを使って送信する。 ストレージ・アレイでは、送られてきたiSCSI要求を各ストレージ・アレイ専用のストレージ・コントローラ要求に変換する。 iSCSI Software Initiator 2.0には、マルチパスI/O(MPIO)のサポートのほか、重要な機能強化が施されている。 ●MPIOのサポート Microsoftとパートナーは、「Multipath I/O(MPIO)」と呼ばれるハードウェアに依存しないAPIを定義している。これは、デュアルHBAや、サーバとSANストレージ・ユニットとの間を結ぶ独立冗長ネットワーク・パスの使用を可能にするために必要なものだ。MPIOの実装は、各ストレージ・ベンダが各社の製品に合わせて、Multipath I/Oと各デバイス間で働く独自の「デバイス固有モジュール(DSM:Device-specific module)」を開発することで行う。これは、同じコード・ベースで共通機能を実現したうえで、ベンダ各社のドライバを調整することにより、ベンダ固有のドライバに信頼性を持たせることを狙ったものだ。 Microsoftの最初のMPIO実装では、ファイバ・チャネルHBAしかサポートされていなかった。iSCSI Software Initiator 2.0では、使用されているHBAやNICの種類を問わず、iSCSI SANへのMPIOを可能にする「汎用DSM」を提供している(図「マルチパスI/Oの仕組み」を参照)。
●そのほかの機能強化 |
参考リンク
参考資料
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MicrosoftのiSCSIサポート
- Directions on Microsoft2003年4月号の「Windowsのストレージ新提案、iSCSIを正式サポート
- Directions on Microsoft2004年7月号の「Windowsネットワーク・ストレージを強化、NASデバイスでのExchangeサポートへ」
- WindowsのSANおよびNASサポート
- Directions on Microsoft2002年12月号の「.NET Serverでエンタープライズ・ストレージをサポート」
Directions on Microsoft日本語版 本記事は、(株)メディアセレクトが発行するマイクロソフト技術戦略情報誌「Directions on Microsoft日本語版」から、同社の許可を得て内容を転載したものです。『Directions on Microsoft 日本語版』は、同社のWebサイトより定期購読の申し込みができます。 |
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