連載
SE ハジメくん物語

― 新米SEのActive Directory導入奮闘記 ―

【第1話】 親会社のシステムを担当することになったSE ハジメくん(2)

高添 修
マイクロソフト株式会社 IT Pro エバンジェリスト
2006/03/17

【第1話】
親会社のシステムを担当することになったSE ハジメくん

SE ハジメくんは大手企業START自動車のIT子会社STARTシステムズの社員。新人研修後、自社システムやお客様先でお手伝い程度の作業をこなすという日々を送り、残暑厳しい9月のある日、上司に呼ばれて会議室に行くと、とうとう念願のSTART自動車のシステムを担当することになったと聞かされます。

(今日はSTART自動車のシステム部門への初出社の朝。ハジメくんのまくらの近くで目覚ましが鳴る)

ん〜、今日から親会社だ、いきなり遅刻はまずいからな。早く起きなきゃ。

(ハジメくんは眠い目をこすりながらSTART自動車に向かった)



おはようございます。あの〜、細井課長いらっしゃいますでしょうか?

 
受付

おはようございます。失礼ですが・・・

 

あっ、STARTシステムズの元(ハジメ)と申します。す、すいません。

 
受付

はい、少々お待ちください。

(電話口で)細井課長、STARTシステムズの元さんがお見えになりました。

元さん、9階に上がっていただけますか? エレベータホールまで細井がお迎えに上がりますので。

 
はい、分かりました。ありがとうございます。
 

元(ハジメ)さん、おはようございます。

お、おはようございます。

先輩の村山さんはもう作業に入っているので、今日は私から簡単に会社の説明をしますね。

お忙しいのに、どうもありがとうございます。


(ハジメくんは、START自動車の会社説明に加え、ハジメくんがSEとして仕事をするために必要な情報の場所やサーバの名前など、細井課長からとても丁寧な説明を受けた。START自動車はIT投資にも積極的で非常に多くのサーバを導入しており、バックアップやトラブル対応など日々の運用はとても大変だが、それが会社を支えていると考えるとやりがいがある。しかも、メンバー同士は仲も良くてやりやすい職場のようなので、うまくやっていけそうな第一印象である)

村山さん、ハジメさんが来たよ。ひととおり説明はしたけど、あとでハジメさんがサーバにアクセスできるように設定しといてね。

 

細井課長、いつもありがとうございます。ハジメくん、会社から聞いてると思うけど、君と同じSTARTシステムズからこっちに来てる村山です。よろしくね。

 

はい、何でも村山さんに聞けっていわれました・・・。どうぞよろしくお願いします。

 

マジ?(汗) まあいいか。これがハジメくんのマシンね。Windows 2000にExcelとWordが入ってるから、そのまますぐに使えるよ。ちなみに、アドミニストレータのパスワードは「Password8」だから。

 

Windows XPじゃないんですか? START自動車さんでは、てっきり最新版のWindowsを使ってると思ってました。

 

新しいのはいいけど、システムを運用する側からすると、入れ替えが大変なんだよね。それに、ここのユーザーはいままでのWindows 2000でも取りあえず仕事は出来てるしね。

 

じゃあ、みんなWindows 2000なんですか?

 

俺たちIT部門のメンバーは、テスト導入とかいいながらWindows XPを使ってるよ。ハジメくんもすぐにWindows XPにすればいいよ。

 

やったあ!

 

それから、何かと新しいのを使いたがる役員とか、家からPCを持ってきた人もWindows XPを使ってるかな。たまにWindows XPの問い合わせも来るから。

 

Windows 2000とXPって、たいして違わないようでいて、細かいところでは便利な機能がたくさん追加されてますし、使い勝手もよくなってますよね。いちどXPを触っちゃうと2000には戻れませんね。

 

そうそう、Officeも同じだね。このハジメくんのマシンはOffice XPが入ってるけど、Officeも新しいバージョンが使えるから安心してね。

 

はい。でも、みんなに新しいのを使わせてあげたいですね。

 

そうなんだけど、IT部門の人数は経費削減でどんどん減らされてるし、これ以上俺たちの仕事を増やすわけにもいかないから仕方がないよ。

   

うーん。START自動車はもっと戦略的にITを使っているとばかり思っていたんですけど・・・

ま、会社なんてそんなもんさ。

ありがとうございます。勉強になります。さっき細井課長からサーバのリストもらったので、このPC使っていろいろ試してみます。

(遠くから村山を呼ぶ声が聞こえた。「村山さ〜ん、メールが届かないって・・・」「村山さん、営業部長のPCが壊れたらしいですよ」・・・)

あ〜忙しいな、まったく。ハジメくん、俺行かなきゃ。どこかのサーバにアクセスできなかったらいってね。設定するから。

   

はい。

(さっそくいろんなサーバにアクセスしてみるハジメくん。でもほとんどのサーバにアクセスできない)

ここにアクセスして・・・、あっ駄目だ。じゃあこっちに・・・、やっぱり駄目だ。ボクのやり方が悪いのかなあ? あっ村山さんだ。あの〜、このサーバにアクセスしたいんですけど・・・

 

ああそのサーバね。了解! で、パスワードは何にする?

 

じゃあ、somenosukeでお願いします。

(村山は、別々の場所にあった2つサーバにハジメくんを登録した)

ここにユーザーを追加して、ハジメくんが入るグループはこれと。よしできた。

すいません、忙しいのに。

平気・平気。仕事で必要なんだからさ・・・。 遠慮しなくていいよ。

おっ、アクセスできた。それじゃあ、今度はここに。うわっ、またアクセスできないよ…。あの〜、村山さん…。

ごめん、ちょっと忙しいから後にして。


(席を外し、しばらくして帰ってきた村山は少し不機嫌だった)

さっきはゴメン、その後どうだい?

 

アクセスしたい別のサーバがあるんですが・・・。

 

どれどれ? 今日中には設定しとくから。それでいいよね? あ〜あ、誰かに管理者権限与えようかな。

 

お忙しいのに本当にすいません。

 

まあ、いいって。

 

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  [連載]SE ハジメくん物語 【第1話】
     親会社のシステムを担当することになったSE ハジメくん(1)
   親会社のシステムを担当することになったSE ハジメくん(2)
     親会社のシステムを担当することになったSE ハジメくん(3)
 
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