Windows 2000 キーワード

分散リンク トラッキング
distributed link tracking

デジタルアドバンテージ


 Windows 2000で新たに実装された、ショートカットのリンク先やOLEのリンク先のファイルをトラッキング(追跡)するサービス。たとえばあるショートカットのリンク先として使われているファイルを、エクスプローラでドラッグして他のフォルダにドロップ(移動)したり、ファイル名を変更したり([名前の変更]を行う)、Wordの文書中からリンクしているExcelのファイルを移動したり、名前を変えたりしたとしても、このサービスによって、移動先や変更後の名前を正しく追跡して、リンク先が正しく元のファイルを反映するように、自動的に更新することができる。Windows 2000とNTFS5ファイル システムの組み合わせでのみ利用可能なサービス。

 NTFSファイル システムでは、各ファイルに対して、一意なオブジェクト識別番号を付けて管理しているが、分散リンク トラッキング サービスでは、このオブジェクト番号を追跡管理することにより、あるファイルをNTFS5ボリューム上で移動させたり、ファイル名を変更させても、その移動先や変更後の名前を正しく検出して、リンク元のショートカットを正しく(すぐに)更新できるようにしている。また、同一ボリューム上だけではなく、異なるNTFS5ボリューム間で移動させてもよいし、同じドメイン内の異なるWindows 2000マシン上のNTFS5ボリュームへ移動させても、それを正しく検出して、ショートカットの更新などを行うことができる。さらに、フォルダの共有名やマシン名を変更してもかまわない(公開されていないNTFSボリューム上への移動の場合は、「\\server\d$\data\file.xls」などのように、デフォルトの暗黙の共有名(ここでは「D$」)が使われる)。このような機能を実現するために、各Windows 2000クライアント上では、「Distributed Link Tracking Client」サービスが、ドメイン コントローラ上では「Distributed Link Tracking Server」サービスがそれぞれ稼動している。これらのサービスが連携することにより、ショートカットやOLEオブジェクトのリンク先を追跡して、常に正しいリンク先を見つけることができる。ただし、実際にリンク先を追跡して更新するのは、ユーザーがショートカットの[リンク先を探す]を実行するか(プログラム メニューなどに登録されたショートカットをダブルクリックして、リンク先のプログラムを起動するのもこれに含まれる)、OLEのリンク先オブジェクトを更新や編集しようとした場合などに限られる。

 なお、ファイルをWindows 2000以外のマシン(Windows 9xやNTマシン)へ移動させたり、NTFS5以外のボリューム(FATボリュームなど)へ移動させたりした場合、およびそのようなボリュームからWindows 2000マシンのNTFS5ボリューム上へ移動させた場合には、このリンクの追跡機能は利用できない。その場合は、従来のように、各ディレクトリをすべて走査して、同じ(もしくは、同じような)ファイル名やサイズ、属性を持つファイルを探し出すことになっている。この場合の検索アルゴリズムは、従来と同様に、まず元のファイルのあったフォルダの近辺を再帰的に検索し(数レベル程度の制限あり)、さらにローカルのすべてのボリューム上を再帰的に検索することになっている。そして似ている名前やサイズ、属性を持つファイルを検索して、適合しそうなものがあればユーザーに提示する。

分散リンク トラッキングの使用例

ショートカットのリンク先を他のマシンのNTFS5ボリューム上へ移動させても、分散リンク トラッキング機能のおかげで、すぐに見つけることができる。
  [リンク先を探す]をクリックすると、まず分散リンク トラッキング機能で検索が行われ、見つかればすぐに表示される。→

 もし見つからなければ、従来のように、各フォルダを総スキャンして、リンク先のファイルを検索する。

リンク先の検索

分散リンク トラッキングで見つけることができなければ、従来のように、各フォルダを再帰的にスキャンして正しいファイル(と思われるもの)を検索する。


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