製品レビュー
Co-StandbyServer 2000 日本語版

3.ミラーリングの設定

デジタルアドバンテージ
2004/02/27
Co-StandbyServer 2000 日本語版

パーティションのミラーリングを設定する

 次は保護すべきパーティションのミラーリングを設定する。それには、プライマリ・サーバ側の「ディスク」リソースから、事前に作成しておいたパーティションを選択してグループに追加する。

ミラー・パーティションをグループに追加する
ミラー・パーティションをグループに追加する
プライマリ・サーバ側の非管理リソースからミラーリングするパーティションを選択し、グループに追加(移動)する。

 するとセットアップ用のウィザードが開始される。この過程で、セカンダリ・サーバ側のミラー・パーティションのドライブ名が問い合わせられるので、正しいドライブ名を指定する。これでパーティションが「非管理リソース」からグループに移動される。この後セカンダリ・サーバ側のパーティションは初期化され、プライマリ・サーバ側のミラー・パーティションの内容がコピーされる(従ってセカンダリ・サーバのパーティション指定を間違えると、パーティションの内容が失われてしまうので注意すること)。

ミラー・パーティションの初期化
ミラー・パーティションの初期化
グループにミラー・パーティションが移動されると、セカンダリ・サーバ側のミラー・パーティションは初期化され、プライマリ・サーバ側の内容で上書きされる。
  グループに移動され、初期化中のパーティション。

 ここで、セカンダリ・サーバ側のミラー用パーティションは、エクスプローラでアクセスできなくなる。プライマリ・サーバ側がオンラインになっているため、オフラインであるセカンダリ・サーバ側はローカルでもアクセスできなくなるという仕様だ。管理コンソールからオンラインにすることが可能で、こうすればセカンダリ・サーバ側でアクセス可能になるが、その場合はプライマリ・サーバ側が逆にオフラインになり、アクセス不可になる。従って、各サーバに固有の設定を変更する際、それがミラー用パーティションに関係するなら、いったん管理コンソールでオンラインにしてパーティションにアクセスできるようにしてから設定を変更しなければならない場合がある。

フェイルオーバーをテストする

 以上で基本的なCSBS2000の初期設定は完了である。ほかのリソースもクラスタ化したければ、同様の方法で希望のリソースをグループに追加していけばよい。1台構成で運用しているサーバから、ごく少ない工数でクラスタ・システムを構築できることがお分かりいただけただろう。

 最後に、今回構築したクラスタ・システムで、プライマリ・サーバ(SERVER-01)の電源をいきなり遮断して、フェイルオーバーが正しく機能するかをテストしてみた。電源遮断後に管理コンソールで状態を確認したのが次の画面である。この場合、プライマリ・サーバ(SERVER-01)と管理コンソールの接続はいったん切断される、手動でセカンダリ・サーバ(SERVER-02)に再接続すると、画面のようなクラスタの状態が表示される。SERVER-01がオフラインになり、SERVER-02の「Group01」がオンラインになっていることが分かる。

フェイルオーバー・テスト
フェイルオーバー・テスト
プライマリ・サーバの電源をいきなり遮断し、フェイルオーバーが正しく行われるかをテストしてみた。SERVER-01がオフラインになり、SERVER-02の「Group01」がオンラインになっていることが分かる。
  プライマリ・サーバのアイコン(およびグループ・アイコン)はオフラインを示す淡色表示になっている。
  代わってセカンダリ・サーバのアイコンとグループ・アイコンがカラーになり、処理を引き継いだことが分かる。

 今回は複雑なデータベース・アクセスやサーバへの負荷などはかけていない単純なフェイルオーバー・テストしかしなかったが、フェイルオーバーによる切り替え処理は非常にスムースで、連続してサーバにアクセスしていない限り、クライアントPCからはほとんど障害が発生したことは分からない。

 Webサーバなどでは、ユーザーには障害を発生したことをほとんど意識させることなく、セカンダリ・サーバでサービスを継続できるだろう。特にCookieを利用してセッション管理を行っている場合、障害発生時もユーザーは再ログオンなどせずに、そのままサービスを使い続けられる。

 だが例えば、データベースの処理がトランザクション途中で障害が発生してしまったような場合、そのトランザクションをセカンダリ・サーバで継続させることはできない。この場合でも、障害発生の瞬間までのデータはミラーリングされているので、システムの再起動時にデータベース・システムがロール・バック、ロール・フォワードを行って復旧する。

 なおフェイルオーバーが発生したという情報は、デフォルトではイベント・ログに書き込まれる。このとき必要なら、適当なコマンドなどを設定することで、管理者への通知を行うなどもできる。

一部制限はあるが手軽なクラスタリングが可能

 システム・ボリュームがクラスタ化されない、アプリケーションによってはクラスタ化がサポートされない(レジストリにリアルタイムにデータを書き込むものなど)などの弱点もあるが、セットアップは非常に容易で手軽だった。現状は1台構成で運用しているサーバがあるが、少ない投資で手軽に可用性を向上させたいと考えているなら、CSBS2000は魅力的な選択肢だろう。

 システムの重大な障害でなくても、サービスを停止することなくホットフィックス管理を行いたいといった場合にも使える。特に、インターネットに接続されるサーバでは、発見されたセキュリティ・ホール(脆弱性)を早期に修正しておかないと攻撃を受ける危険がある。しかしホットフィックスの適用により、システムが障害を起こすケースは少なくない(具体的な事例についてはHotFix Briefingsを参照)。このようなケースでもCSBS2000でクラスタリングしているなら、まずはプライマリ・サーバにホットフィックスを適用し、ある程度様子を見てからセカンダリ・サーバに適用するという時間差の管理ができるだろう。このときホットフィックス適用によってプライマリ・サーバで障害が発生したら、まだホットフィックスを適用していないセカンダリ・サーバ側でサービスは継続させておき、その間にプライマリ・サーバの復旧を行える。

 サーバの可用性に不安を感じているなら、CSBS2000の試用版を試してみる価値はあるだろう。End of Article

【コラム】CSBS2000でクラスタ化可能なリソース

 CSBS2000では、クラスタによってフェイルオーバーの対象にできる資源を「リソース」と呼んでいる。具体的には次のものがある。

アプリケーション
 SQL Server 7.0/2000やExchange Server 5.5など、CSBS2000が設定支援などをあらかじめ提供するアプリケーション。インストール時にアプリケーション用モジュールを組み込んでおくと、そのアプリケーションをグループに追加してクラスタ化できる。「アプリケーション」リソースには、データを保存しているパス(通常はミラー用パーティション)などの情報が含まれる。

「アプリケーション」リソース
「アプリケーション」リソース
CSBS2000のインストール時にアプリケーション用モジュールを組み込むと、そのアプリケーションがリソースとして登録される。
  アプリケーションの管理情報。データ保存用パスなどが表示される。

パーティション(ディスク)
 ミラーの対象となるパーティション。

コマンド・ファイル
 フェイルオーバーが発生したとき、復旧したときにキックして、サービスの起動や停止を始めとする、さまざまな事前処理/事後処理を行うための.cmd/.batファイルを登録する。後述の遅延タイマなどと組み合わせて、正常にフェイルオーバーの処理を行うためのシーケンスを組み立てるのに役立つ。

「コマンド・ファイル」リソース
「コマンド・ファイル」リソース
フェイルオーバー発生時、復旧時にキックするプログラムなどを指定できる。

IPアドレス
 仮想的なクラスタおよび各サーバに割り当てられるIPアドレス。下の画面では「10.10.1.19」がクラスタ化されたシステム自体に割り当て可能なIPアドレスである。通行禁止のマークが付いているIPアドレスは、それぞれプライマリ・サーバのLAN側アドレスと専用リンク用アドレスで、これらはクラスタ化できないことを示している。

「IPアドレス」リソース
「IPアドレス」リソース
フェイルオーバーによってセカンダリ・サーバに引き継がれるIPアドレス(クラスタのIPアドレス)を指定する。
  クラスタ化可能なIPアドレス。
  クラスタ化不可能なIPアドレス。それぞれサーバのLAN側アドレスと専用リンク用アドレス。

サーバ・エイリアス
 NetBIOSのコンピュータ名のこと。画面では「LABCLUST-01」が、クラスタ化したシステムに割り当て可能な仮想的なコンピュータ名である(実体はNetBIOSの別名機能を利用しているようだ)。左のツリー一覧の「LABCLUST-01」アイコンに通行禁止のマークが付いていないことから、クラスタ化可能であることが分かる。「SERVER-01」はこのPCに最初から付けられているコンピュータ名。

「サーバ・エイリアス」リソース
「サーバ・エイリアス」リソース
NetBIOSのコンピュータ名。ここで指定した名前がクラスタのコンピュータ名となる。

遅延タイマ
 一定の時間をおいて、リソースを安全かつ安定的にオンライン/オフラインにするためのもの。コマンド・ファイルと一緒にグループへ組み込み、順番に実行することで、正常にフェイルオーバーの処理を行うなどができるようになる。

ネットワーク・サービス
 デフォルトではプリント・スプーラが登録されている(つまりプリント・スプーラもクラスタ化できる)。「アプリケーション」リソースとほぼ同じ扱いのようだが、Print Spoolerだけこちらに配置されている。

サービス
 Windowsの「サービス」と同義。いずれかのWindowsサービスをクラスタ化したい場合は、サービスを選択してグループに移動すればよい。


 

 INDEX
  [製品レビュー]Co-StandbyServer 2000 日本語版
    1.Co-StandbyServer 2000の動作原理
    2.事前準備とインストール
  3.ミラーリングの設定

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