第4回 読者調査結果
― Office XPの普及を妨げる、内なる敵とは?―

@IT マーケティングサービス
小柴 豊
2001/07/26

 Windows Server Insiderフォーラムにおいて、第4回目となる読者調査を実施した。今回は発売開始直後のOffice XPに対する受容性および最近何かと話題のIM(インスタント・メッセージング)の利用状況について、読者の声を伺った。では早速その主要な結果を紹介しよう。

賛否分かれるOffice XPの導入意向

 2001年6月8日に発売されたOffice XPの導入予定を見ると、「早速導入した」という早期導入者(7%)を含め、具体的な導入予定者(6カ月以内)が全体の16%。これに「時期は未定だが導入する予定」を加えた49%が、Office XPに前向きな受容性を示した(図1)。一方「態度未定(保留)」という浮動層は35%、「導入しない予定」のネガティブ層も具体的な導入予定者と同数(16%)存在している。Office XP普及のカギは、浮動層をどこまで取り込めるかにかかっているようだ。

図1 Office XP導入予定(N=196)

Office XP の敵は Office?

 では「態度未定」や「導入しない」と答えた人は、何がネックとなっているのだろうか? 発売後間もないため「Office XPのことをまだよく知らないから」という答えが多いことを予想したのだが、実際はその2倍を上回って、「仕事を進める上で、今使っているバージョンで充分だから」を選んだ人が過半数に達した(図2)。別の質問で聞いた現在のMS Office使用状況を見ると、回答者全体の71%が「Office 2000」、23%が「Office 97」を使っている。Office XPは「未開拓の余地が少なく、過去製品の満足度が新バージョンへの移行を妨げる」、高シェア製品ならではのジレンマを抱えているようだ。

図2 Office XPを導入しない・未定とする理由(複数回答 N=100)

 ここで視点を変えて、Office XPの機能面に関する読者の評価を見てみよう。10個の主な新機能から興味があるものを選んでもらったところ、「アプリケーション異常終了時にファイルを復元するクラッシュ回復機能」「ExcelおよびAccessによるXMLサポート」の2点が、他を大きく上回る結果となった(図3)。しかしこれらは、上記アップグレード保留層の心をどれくらい動かせるだろうか? 「クラッシュ回復機能」はそもそもクラッシュが前提となっている点が対症療法的だし、「XMLサポート」についてもそれによってユーザーが具体的にどのような恩恵に浴せるかは、現在のところ不鮮明だ。例えばXMLとそれを用いたフレームワークによって、ユーザーのビジネス・プロセスそのものを変革できれば、フロントエンドとしてのOfficeのアップグレード意向も高まるかもしれない。そのためにはMicrosoft .NET の登場を待たねばならないのかもしれないが……。

図3 Office XPで興味のある新機能(3つまでの複数回答 N=196)

IM用途はプライベートからコラボレーションへ拡大?

 さて話題は変わって後半は、Windows XPへの搭載や常時接続時代に適したアプリケーションとして注目されるインスタント・メッセージング(以下IM)について、読者の利用状況などを紹介しよう。まずIMの現在の用途、および今後希望する用途を聞いた結果が図4である。現在は「IMを利用していない」人が5割を超え、また用途も「プライベートな友人・知人との連絡」が中心となるなど、IMはあくまでパーソナル・コミュニケーションの1ツールであることが分かる。しかし「今後希望する用途」を見ると、「社内の業務連絡や協働作業」に使いたい人が約3割に達するなど、プライベートを超えた業務利用への意向が高まっているようだ。

図4 IM利用用途(複数回答 N=196)

IM普及の条件は標準化とメッセージ連携

 次に今後IMに期待する機能や方向性を尋ねたところ、「異なるメッセンジャー間での相互通信/プロトコルの標準化」および「電子メールやグループウェアとの連携/統合」への期待度が高いことが分かった(図5)。特に企業での利用を考えると、マルチメディア対応などの付加価値的な機能強化よりも、メッセージグ手段としての環境整備が優先されるべきであろう。標準化については各IMベンダー間での調整が難航しているが、Windows XPへのIM搭載がMicrosoft勝利の方程式をなぞるのか、標準団体の仕様に準拠した第3者ソフトウェアが頭角を現すのか、今後の成り行きが引き続き注目される。End of Article

図5 IMに期待する機能・方向性(3つまでの複数回答 N=196)
 
調査概要
調査方法
Windows Server InsiderサイトからリンクしたWebアンケート
調査期間
2001年6月12日〜7月2日
有効回答数
196件
 
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