特集
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ドメインを取得することが決まったら、次は実際にそのドメインを運営するために必要なサービスの種類と、サーバの配置、運用方法などを決める必要がある。ここでは、「DNSサービス」と「Webサービス(ここでいう「Webサービス」とはSOAP/XMLベースのものではない)/FTPサービス」、「メール・サービス」の3つのサービスを考えてみよう。現在ではドメインを取得、運営するといった場合、この3種類のサービスは必須のサービスといってよいだろう。
ドメイン内で必要なサービスとサーバの配置
これらのサービスを提供するためには、サーバをどこに設置して、どのようなソフトウェア(OSやDNS/Web/メール用の各サービスを提供するためのソフトウェア)を使うか、日常の管理はどうするか、などを最初に決めなければならない。これらのサービスは、いずれもインターネットの一番基本的なサービスであり、常時動作させておく必要がある。Webサーバなどはその必要がなければ用意する必要はないかもしれないが、DNSサーバやメール・サーバは、1日24時間、1年365日動作していなければ、自社宛にメールを送ろうとしている相手などにも迷惑がかかることになる。もしメール・サーバがダウンしていると、メールの送信元では何度も送信をリトライせねばならず、ネットワーク・トラフィックが増えたり、送信が完了するまでメールのスプール領域を無用に消費したりするからだ。また、送信のリトライ動作などはリアルタイムで常に行われているわけではないので(通常は数時間に1回ずつ試行し、失敗が続くと再試行の間隔がだんだん長くなる)、サーバをダウンから復旧させたからといっても、保留されていたメールがすぐ届くわけでもない。このように、DNSサーバやメール・サーバのダウンは、送信側と受信側の両方にとってその影響が大きいので、なるべく障害が起こらないように運営しなければならない。
サーバの設置、運営方法としては、大きく分けて2つの方法がある。自社内にサーバを用意して、ハードウェアやソフトウェアの導入、設定、メンテナンスなどをすべて自社で管理するという方法と、ISPに依頼して、サービスの設定、運営を代行してもらうという方法(「ホスティング・サービス」や「ハウジング・サービス」などと呼ぶ)の2通りである(ここでは、ISPといった場合、インターネット・データセンターのサービスも含むものとする)。コンピュータ・システムを年中無休で動作させるには、それなりのコストや手間がかかることは否めない事実である。システムを自前で維持、管理するスキルや設備、人員の確保、トラブル発生時の対応などが必要になるからである。そのうえ、たとえこれらをクリアしたとしても、停電や通信回線の障害などの外的な要因により、どうしてもサービスを提供できなくなることも少なくない。ホスティング・サービスやハウジング・サービスでは、これらの管理などを代行することにより、依頼したユーザーに対しても、そしてそのドメインを利用する(Webをアクセスしたり、メールを送受信したりする)顧客にとっても、そのメリットは多い。ただし依頼できる作業や環境、システム構成などには制約があり、どのような場合でも管理を委託できるわけではない。また、特別なソフトウェアを導入している場合や、設定や管理方法が特殊なものでは、対応できないことがある。
これに対して、各種のサーバやサービスを自社内に設置したシステムで提供する方法では、それらの制約はなく、自由に提供するサービスなどを選択することができる。ただしサーバの管理や運用、障害セキュリティ対策、アクセス数に応じた十分な帯域のインターネット・アクセス回線の用意など、技術的なハードルや必要なスキル、運営コストなどは高くなってくる。
サービスをすべてISP側でホスティングする方法
以下、もう少し詳しくこれらの2つの方法(と、そのバリエーション)についてみていこう。まずはすべてをISP側でホスティングしてもらう方法における、社内ネットワークの構築例である。
3種類のサーバをすべてISP側でホスティングする場合の例 |
これはISP側に3つのサーバをすべて置き、ISP側でシステムの運用などを行ってもらう方法である。社内にはサーバを置かず、ISPとの接続回線は、インターネット上のサービスを利用するために利用する。メールを読み書きしたりする場合でもISPへのアクセスが発生するが、社内でメール・サーバなどを管理する必要がない。ただしローカルにもExchange Serverを導入して、POP 3コネクタで社内にISPのメール・ボックスからメッセージを取り込んだり、社内での情報交換に利用したりすることも可能。 |
これはDNSサーバ、メール・サーバ、WebサーバをすべてISP側のホスティング・サービスを使って実現する場合の例である。自社ですべてのサーバを運営する場合と比べると、設定や提供できるサービスなどの自由度はやや少なくなるが、システムの管理、運営などをすべて任せることができるので、ユーザー側の負担が少なくて済むというメリットがある。ISP側では、管理の行き届いた設置場所や設置環境、安定した信頼性の高い広帯域のインターネット・アクセス回線などを用意してホスティングを行っているので、システム全体としての安定性や信頼性、(大量のアクセスをこなすという)性能などは非常に高くなる。
またメール・サーバやWebサーバなどの管理も依頼できるため、例えば各サーバのセキュリティ/クラッキング対策措置や、(可能ならば)メール・ボックスの自動的なウィルス・チェックなどのサービスも受けることができる。昨今のウィルスやセキュリティ・ホールをついたクラッキングなどの発生状況を考えると、これも大きな魅力であろう。自社内にサーバをホスティングする方式では、これらの対策はすべて自ら行う必要があるからだ。専任の管理者がいないような組織では、このようなネットワークの運用形態は最も推奨できる方法であるといえる。
INDEX | ||
[特集]インターネット「常時」接続計画 | ||
第2回 ドメイン構成のプランニング | ||
1.インターネット・ドメインで必要なサービスとその配置(1) | ||
2.インターネット・ドメインで必要なサービスとその配置(2) | ||
3.ホスティング・サービスと自社サーバの使い分け | ||
4.DNSサービスとは? | ||
5.階層化されたDNS名前空間 | ||
6.プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバ | ||
インターネット「常時」接続計画 |
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