特集インターネット「常時」接続計画(第2回)5.階層化されたDNS名前空間デジタルアドバンテージ |
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DNSで扱われる名前(ホスト名やドメイン名、サービス名など)はすべてツリー状に階層化されていて、その最上位にある名前(「.」)を「ルート」と呼ぶ。すべてのドメイン名は、このルートの元に階層的に構築されており、ルートから順番にたどることができる。ルートの直下にはトップ・レベル・ドメインがあり、その次には2LD(セカンド・レベル・ドメイン。SLDということもある)、そのさらに下には3LD(サード・レベル・ドメイン)、………、というふうに階層構造になっている。例えば、「www.atmarkit.co.jp」というWebサーバのFQDNドメイン名でいえば、TLDは「jp」、2LDは「co」、3LDは「atmarkit」である(この例では、先頭にある「www」はドメインを表す名前ではなく、そのドメイン内にある「ホスト」や「サービス」の名称)。
TLDには、.comや.net、.orgのようなgTLD(国別などによらないグローバルなTLD)のほか、.jpや.us、.ca、.twのようなccTLD(国別のTLD)があり、日本ではこの.jpドメインの下にさらにいくつかのサブ・ドメインが決められ、利用されている。
各ドメインにはそれぞれ(論理的に別の)DNSサーバが対応しており、例えばルートのDNSサーバは、その直下にある「.com」や「.net」、「.jp」などのドメインに関する情報を保持している。そして「jp」のDNSサーバは、その直下にある2LDのドメインに関する情報を保持している。
階層的なDNS名前空間 |
DNSによる名前空間は、ルート・ドメインである「.」を頂点として、その下に階層的に構築されている。それぞれの名前の部分には、さらにその下にあるノードを管理するためのDNSサーバが用意されている。ただし実際には必ずしも全ノードに個々のDNSサーバが用意されているわけではなく、複数のノードをまとめて1つのDNSサーバが担当することもあるし、複数の階層をまとめて1つのDNSサーバが管理している場合もある。 |
日本独自で割り当てられている.jpドメインは、当初は、.jpの下に「co.jp」や「ad.jp」、「ac.jp」、「or.jp」などのように、組織の種類を表す属性が付いた「属性型(組織種別型)」ドメインしかなかったが、その後地域型ドメインや汎用jpドメインなども利用できるようになってきた。
ドメイン名の種類 | ドメイン名 | 意味 |
属性型(組織種別型)jpドメイン | co.jp/ad.jp/go.jp/or.jp/ac.jp/ed.jp/ne.jp/gr.jp | 会社や政府関連組織、大学/教育機関、JPNIC会員組織、任意の団体などの組織の種別に応じて、第2レベル(2LD)が決まっているドメイン名 |
地域型jpドメイン | 地名.jp | shibuya.tokyo.jpやosaka.jpなど、地域の名称に基づいたドメイン名、もしくは地方公共団体などを表すドメイン名 |
汎用jpドメイン | .jp | 組織の種別や地名などを含まず、第2レベルに任意の文字列を利用することができるドメイン名。非常に短いのが特徴 |
.jpドメインの種類 | ||
当初は限られた属性型(組織種別型)ドメインしか利用できなかった日本の.jpドメインも、現在ではさまざまな種類のものが利用できるようになっている。また、当初は一組織一ドメインという厳しいルールがあったが、現在ではかなり緩和されている。 |
もっとも実際には日本国内の組織だからといって必ず.jpドメインである必要はなく、日本国内のユーザーでも.jp以外のドメイン(.comとか.net、.to、.tv、ほか)を使用している例は多い。だが、どのような種類のドメインを使うかということはDNSのプロトコル的な仕組みとはほとんど関係ないし、DNSサーバの設定方法からみても特に違いはない。どのようなドメインを使用するかとか、どのドメインを取得するかということは、実際には主に政治的、営業的な判断で決まることであり、この記事では特に触れないことにする。どのようなドメイン名でも、それを実現する仕組みは同じなので、とりあえず会社を設立したり、インターネットを使って新しいサービスを始めようとするならば、まずは希望のドメインが取得できるかどうかなども考慮して決めればよいであろう。
いずれにしろDNSによる名前空間は、「.」というルート・ドメインの下に、階層的にツリー状に構築されているということさえ理解していればよい。そして、各ノードごとにDNSサーバが用意されており、そのノード内における名前とホストの対応を管理しているのである。ただし実際には必ずしも全ノードに個々のDNSサーバが用意されているわけではなく、複数のノードをまとめて1つのDNSサーバが担当することもあるし、複数の階層をまとめて1つのDNSサーバが管理している場合もある。
INDEX | ||
[特集]インターネット「常時」接続計画 | ||
第2回 ドメイン構成のプランニング | ||
1.インターネット・ドメインで必要なサービスとその配置(1) | ||
2.インターネット・ドメインで必要なサービスとその配置(2) | ||
3.ホスティング・サービスと自社サーバの使い分け | ||
4.DNSサービスとは? | ||
5.階層化されたDNS名前空間 | ||
6.プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバ | ||
インターネット「常時」接続計画 |
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