技術解説

BizTalk Server 2004の機能と構造(前編)

―― 情報システム連携によるビジネス・プロセス設計を支援するツール、BizTalk Server 2004を理解する ――

デジタルアドバンテージ
2004/07/15

BizTalk Server 最新SPと今後のロードマップ

ビジネス情報のデジタル化と、コンピュータを利用した情報処理の自動化が急速に進行中である。この結果、机上のデスクトップ・コンピュータから実行できるデスクワークの種類と量は飛躍的に増大した。

 特に、Webアプリケーションの登場により、従来は情報システムごとに異なる専用端末(専用端末ソフト)が必要になるなどの不条理な現実が解消され、Webブラウザさえあれば、単一デスクトップから異なる複数のシステムにアクセスできるようになった点は大きい。

 多くの企業には、異なる複数の情報システムが存在しており、必要に応じてそれらを連携させる必要がある。例えば製造業において、最終製品の在庫管理システムと、部材発注システムを連携させれば、過剰在庫を防止するオンデマンド型の部材発注が可能になる。

 理屈では、これらの情報システム同士をネットワークで接続すれば、人手を介すことなく自動的な連携が可能なはずだ。しかし現実には、そのようなスマートな情報システム連携を達成している例は多くない。実際には、ある情報システムから別の情報システムへ、担当者がコピー/ペーストでデータを渡していたり、CSVファイルなどを経由させてデータをエクスポート/インポートしていたり、最悪の場合は印刷や表示結果を手入力していたりする。生産性が低いのはもちろん、オペレーション・ミスや入力ミスなどが発生する危険がある。

情報システム連携の現実
情報処理のシステム化とネットワーク化は進んだものの、異なるシステム間の連携は、人間が臨機応変に手作業で実行しているケースが少なくない。作業効率が上がらないことはもちろん、作業漏れやオペレーション・ミスが発生する危険が高い。
 
SharePointサイトからメール・メッセージへの変換
編集部内で使用しているSharePointサイト・ベースの記事企画管理リストからメールにドラッグ&ドロップして手作業で簡単に編集して送信する。SharePointにプログラミング・レベルの本格的なカスタマイズを施せば自動処理が可能になるものと思われるが、それほど頻繁に使うわけでもないので、このように運用方法を工夫することでしのいでいる。現実のシステム運用でも、こういった例は少なくない。

 読者がプログラマなら、こうした不条理を解消するために、ソフトウェアで業務システム連携を実現しようと考えるかもしれない。CORBADCOMといった伝統的なアプリケーション連携の技術に加え、.NET Frameworkでの強力なサポートのおかげで、最近ではWebサービスを利用したアプリケーション連携が大変容易になってきた。ファイアウォールを越えて接続可能なWebサービスを使えば、社内システムばかりでなく、社外の取引先にある情報システムとの連携も可能になる。

 しかし情報システム連携では、異なるプラットフォームやテクノロジ、設計思想を持ったシステム同士で情報を交換しなければならない。具体的には、通信プロトコルや取り扱い可能なデータ・フォーマットなどがまちまちなシステムを接続する必要に迫られる。

 また複数の情報システムがかかわる処理の完全性を保証するには、トランザクション管理や、万一の障害時もロールバックなどが可能なログ管理が必要不可欠である。またミッションクリティカルな情報の取り扱いでは、セキュリティ機能によってデータを保護しなければならない。一対一の接続だけならともかく、刻々と要求が変わるビジネスの現場では、将来に向けて、より複雑なシステム連携をリーズナブルなコストで対応できる柔軟性も求められる。現場のプログラマは、ともすればシステム連携の開発コストを過小評価しがちだが、長期的な視野に立った検討とコスト評価を行わないと、後で連携がうまくいかなかったり、将来的に予想外の開発コストがかかったりする可能性が高い。

 こうした情報システム連携向けのプラットフォームとしてマイクロソフトが開発した製品がBizTalk Serverである。この最新版として、2004年3月から、Webサービス対応強化や処理性能の大幅な向上を達成したBizTalk Server 2004(以下BTS 2004)が発売された(BTS 2004のニュース・リリース)。BTS 2004は、EAI(Enterprise Application Integration)BtoBを実現するためのプラットフォームを提供し、BTS 2004上で構築されたビジネス・ロジック・フロー(業務処理手順)に応じて、複数の情報システムを確実かつ安全に連携させる(具体例についてはすぐ次で述べる)。

 BTS 2004の大きな特長の1つは、一般的なエンタープライズ向けEAI/BtoBソフトウェア(TIBCOやwebMethods、バーンなど)と比較すると、価格が大幅に安価なことだ。このため、従来の高価な支援ソフトウェアは適用不可能だった領域にもBTS 2004は適用できる可能性が高い。

 しかし抽象論は分かったとしても、具体的にBTS 2004とはどのようなプラットフォームで、どのような機能を、どのような仕組みで提供してくれるのかは分かりにくい。そこで本稿では、システム管理者やソフトウェア開発者など、情報システム連携の開発や運用管理に携わるエンジニアを対象として、BTS 2004の技術的な概要を解説する。

 

 INDEX
  [技術解説]
BizTalk Server 2004の機能と構造(前編)
    1.BTS 2004の基本機能と活用シナリオ
    2.BTS 2004エンジンのしくみ
  BizTalk Server 2004の機能と構造(後編)
    3.エンタープライズ・シングル・サインオン機能
    4.BTS 2004のスケーラビリティ
 
 技術解説


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