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Internet Explorerをサイレント・インストールする

解説をスキップして操作方法を読む

デジタルアドバンテージ 島田 広道
2009/04/24
対象ソフトウェア
Internet Explorer 6 SP1
Internet Explorer 7
Internet Explorer 8
Internet Explorer(IE)には複数のバージョンがあり、その仕様や機能の差がWebアプリケーションの挙動の違いなどの弊害を生むことがある。
これはIEのバージョンを揃えることで解決可能だが、代表的なIEのインストール方法は対話的操作を伴うため、複数のPCへの配布には適さない。
IEのインストーラにオプションを指定して実行することで、自動インストールや再起動の抑制などが可能となる。
解説

 Windows OSの標準WebブラウザであるInternet Explorer(IE)には複数のバージョンが存在し、Windows 2000/XP/Vistaのそれぞれでプレインストールされているバージョンが異なることもある。そのため、たとえ同じ部門/部署などのグループ内でも複数バージョンが混在していることが珍しくない。結果として、バージョンごとの仕様や機能の差により、例えば業務用Webアプリケーションの挙動が変わるといった弊害があり、管理者や開発者の手を煩わせる要因ともなっている。

 この問題の解決策の1つは、IEを単一バージョンに揃えることだ。Windows OSにプレインストールされているIEは、より上位のバージョンをインストールしてアップグレードできる場合がある。OS別のIEのインストール可否およびプレインストール状況の詳細は、TIPS「Internet Explorerのバージョンを確認する方法」を参照していただきたい。

 しかし、代表的なIEのインストール方法であるWindows Updateや自動更新では、管理者権限を持つユーザーによる対話的操作が必要で、複数のPCにIEを配布するのは非常に手間がかかる。またインストール対象PCからインターネット接続が必要な点も、インターネット接続帯域に余裕のない環境や接続先サイトを制限している環境では、インストールそのものが難しいだろう。結局、多数のPCを抱える企業などの組織では、非現実的なインストール方法といわざるを得ない。

 このような場合、マイクロソフトが提供しているIEのインストーラを入手し、対話的な操作なしで自動インストール(サイレント・インストール)するとよい。インストーラ実行時にコマンドライン・オプションを指定することで自動インストールが実現できる。インストール時にはインターネット接続も不要だ(オプション指定が必要な場合あり)。例えば、そのコマンドラインをバッチ・ファイルに記述して、インストーラとともにネットワーク共有フォルダあるいはCD-R/DVD-Rなどのリムーバブル・メディアで配布し、エンドユーザーに実行させることができる(管理者権限が必要)。あるいはソフトウェア配信ツールなどで自動実行用スクリプトを記述して配布してもよい。

操作方法

 本稿執筆時点で、各Internet Explorerをインストール可能なWindows OS(x86版)は次のとおりである。

IEのバージョン インストール可能なOS環境
Internet Explorer 6 SP1 Windows 2000 SP4
Internet Explorer 7 Windows XP SP2/SP3、Windows Server 2003 SP2
Internet Explorer 8 Windows XP SP2/SP3、Windows Server 2003 SP2、Windows Vista、Windows Server 2008
Internet Explorerをインストール(アップグレード)できるWindows OS(x86版)
すでにマイクロソフトのサポート期限が終了しているOSやService Packは除外した。

 本稿では、これらのWindows OS(x86版)を対象にIEを自動インストールする手順を説明する。

Internet Explorer 6 SP1の自動インストール

 Internet Explorer 6 SP1(IE6 SP1)の場合、まず複数のセットアップ・ファイルをダウンロードする必要がある。それには、以下のダウンロード・センターのページからie6setup.exeをダウンロードする。これは本来、オンラインでセットアップ・ファイルをダウンロードしつつインストールできるインストーラだが、セットアップ・ファイルのダウンロードだけにも利用できる(詳細はTIPS「IE 6.0 SP1のインストール用コンポーネントのダウンロードだけを行う」を参照)。

 このie6setup.exeを次のコマンドラインで実行すると、オフラインでのインストールに必要な複数のセットアップ・ファイルがダウンロードされる。ダブルクォート(二重引用符)の個数に注意されたい。

ie6setup.exe /c:"ie6wzd.exe /d /s:""#E"""

 「Windows Update: Internet Explorer とインターネット ツール」というウィザードが起動するので、使用許諾に同意して[次へ]ボタンをクリックし、ダウンロードの準備が完了するまで待つ。なお、このウィザードでIE6 SP1のインストール自体は行われない。またIE6 SP1をインストールできないWindows OSでも、このダウンロード作業は可能だ。

 次の画面が表示されたら、ダウンロード先フォルダとインストール対象のWindows OSをそれぞれ指定し、[次へ]ボタンをクリックする。

IE6 SP1のセットアップ・ファイルのダウンロード
前述のコマンドラインを実行して起動されたウィザードの一画面。
ダウンロードするセットアップ・ファイルを保存するフォルダを指定する。
インストール対象のWindows OSを選択する。デフォルトで[Windows 2000 と Windows XP]がチェックされている。

 しばらくするとダウンロードが始まるので、完了を表すメッセージ・ボックスが表示されるまで待ち、最後は[OK]ボタンをクリックして終了する。これでセットアップ・ファイルがで指定したフォルダにダウンロードされる。

 ダウンロードしたセットアップ・ファイルからIE6 SP1を自動インストールするには、その中にあるie6setup.exeを次のコマンドラインで実行する。

ie6setup.exe /q:a /r:n

 これでインストール中にダイアログ・ボックスなどのUIは表示されず、またインストール後の再起動も実行されない。ほとんどの場合、IE6 SP1のインストールを完了させるには再起動が必要なので、対象コンピュータの状況に合わせて別途実施する必要がある。インストール直後に自動再起動を強制的に実行するには、次のコマンドラインを実行する。

ie6setup.exe /q:a /r:a

 ie6setup.exeの主要なコマンドライン・オプションは以下のとおり。

オプション 機能
/q:u 対話的操作なしで自動インストールする。インストールの進行状況など一部の画面は表示される
/q:a 対話的操作なし、かつ画面表示なしで自動インストールする
/r:n インストール後に再起動を実行しない
/r:a インストール後、自動的に再起動を実行する
/r:i インストール後、再起動が必要な場合はユーザーに再起動を求めるメッセージを表示する(/q:a指定時は無効)
ie6setup.exeの主要なコマンドライン・オプション

Internet Explorer 7/8の自動インストール

 Internet Explorer 7/8(IE7/IE8)のコマンドライン・オプションは共通であり、同じ手順で自動インストールが可能だ。またIE6 SP1と違い、IE7/IE8ではオフラインでインストール可能なインストーラが単一パッケージのため、配布ツールでリモート・コンピュータに展開しやすい。各インストーラは以下のダウンロード・センターの各ページからダウンロードできる。

IEのバージョン ダウンロード・ページへのリンク インストーラのファイル名
Internet Explorer 7 Windows XP SP2/SP3向け IE7-WindowsXP-x86-jpn.exe
Windows Server 2003 SP2向け IE7-WindowsServer2003-x86-jpn.exe
Internet Explorer 8 Windows XP SP2/SP3向け IE8-WindowsXP-x86-JPN.exe
Windows Server 2003 SP2向け IE8-WindowsServer2003-x86-JPN.exe
Windows Vista/Windows Server 2008向け IE8-WindowsVista-x86-JPN.exe
IE7/IE8のインストーラのダウンロード・ページ(x86版)

 以下ではWindows XP向けIE8のインストーラIE8-WindowsXP-x86-JPN.exeを例に挙げる。そのほかのWindows OS/IEについては、以下のコマンドラインにて、上表の[インストーラのファイル名]欄のファイル名で「IE8-WindowsXP-x86-JPN.exe」を置き換えていただきたい。

 インストール後の自動再起動を抑制しつつ、IE8を自動インストールするには、以下のコマンドラインでインストーラを実行する。「/update-no」は、インストール中にIEの更新プログラムをオンラインで検索・適用するのを抑制するためのオプションだ。

IE8-WindowsXP-x86-JPN.exe /quiet /norestart /update-no

 インストール後に再起動を自動実行する場合は以下のとおり。

IE8-WindowsXP-x86-JPN.exe /quiet /forcerestart /update-no

 IE7/IE8のインストーラの主要なコマンドライン・オプションを以下に記す。End of Article

オプション 機能
/passive 対話的操作なしで自動インストールする。インストールの進行状況など一部の画面は表示される
/quiet 対話的操作なし、かつ画面表示なしで自動インストールする
/update-no インストール中にオンラインでIEの更新プログラムを検索・適用しない
/no-default インストール後、IEをデフォルトのブラウザにしない
/nobackup アンインストール用に古いIEのバックアップを作成しない。このオプションを指定するとアンインストールができなくなる
/norestart インストール後に再起動を実行しない
/forcerestart インストール後、自動的に再起動を実行する
/log:<ファイル名> <ファイル名>のファイルにインストール中のログを記録する
IE7/IE8のインストーラの主要なコマンドライン・オプション

「Windows TIPS」


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